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暗黒物質の正体は新粒子アクシオンか。東北大学が観測結果に合致する理論を提唱

 東北大学の研究グループは、宇宙に漂う未知の物質「ダークマター」(暗黒物質)は、新粒子「アクシオン」であるとの説を提唱した。

 人類が光学的に直接観測できる物質は、全宇宙が持つエネルギーの4%に過ぎないとされており、大半はダークエネルギーやダークマターである。このうちダークマターは質量を持つが、光学的に観測できないとされる、仮説上の物質である。

 2020年6月に液体キセノンを用いたダークマター探索実験である「XENON1T」では、素粒子の標準的な理論では説明がつかない電子反跳事象の兆候が得られた。東北大のグループは、この実験によって得られたシグナルは、アクシオンが電子に吸収されることによって生じた可能性を指摘。

 また、ダークマターがアクシオンであれば、冷却異常を起こしている白色矮星などの一部の天体の進化を、より良く説明でき、これにより、素粒子実験と天体観測という異なる分野で得られたシグナルが、共通のアクシオンという新粒子の存在によって説明できる可能性が明らかとなった。

 一般的にアクシオンは量子異常を通じて光子と相互作用を持つと考えられるため、さまざまな天体からのX線観測結果と矛盾するが、本研究では、ダークマターが量子異常を持たない特別なアクシオンであるとすることでこの矛盾を解消している。

 なお、このアクシオンも、あくまでも存在が期待される、未発見の素粒子である。