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新型コロナの重症化リスクはネアンデルタール人由来。日本など東アジアは遺伝的影響をほぼ受けず

新型コロナウイルス重症化リスクの要因となるバリアントを持つ人の多さを地域で示した地図

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)は9月30日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の重症化リスクが、ネアンデルタール人由来のものであるとの研究結果がネイチャー誌に掲載されたことを報告している。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化は年齢や持病の有無などいくつかの要因があるが、遺伝的要因が影響することもわかっており、最近発表されたCOVID-19ホストジェネティクスイニシアチブの研究によると、3番染色体のある領域の遺伝子多様体(バリアント)が重症化リスクを高めているという。

 そしてネイチャー誌が9月30日に掲載した研究結果には、この遺伝子領域が南欧で発見された5万年前のネアンデルタール人のものとほぼ同じであること、さらにこのバリアントが約6万年前にネアンデルタール人との交配によって現代人の祖先に渡ったことが明らかになったと記されている。

 COVID-19ホストジェネティクスイニシアチブが、3,000人以上の感染者を対象に発見したバリアントのある領域は、49,400塩基対にまたがる非常に長い遺伝子領域で、重症化リスクをもたらすバリアント同士が強く結びついており、バリアントの1つを持つ人は13個すべてのバリアントを持っている可能性が非常に高いとする。

 なお、南欧で発見されたネアンデルタール人がほぼ同じ遺伝子領域を持っていたのに対し、シベリア南部のネアンデルタール人2人とデニソワ人1人にはなかったとし、研究者らはこれらのバリアントをネアンデルタール人から受け継いだものなのか、共通の祖先を介してネアンデルタール人と現生人類の両方から受け継いだものなのかを調べた。

 その結果、南欧のネアンデルタール人と現代人のバリアントが、長い遺伝子領域にわたって非常に似ていたため、交配によってもたらされた可能性が高いとし、2つのグループが出会った約6万年前に、南欧で発見された1人と血縁関係のあるネアンデルタール人が、この遺伝子領域を現生人類にもたらしたと結論づけた。

 このネアンデルタール人のバリアントを持つ人は、新型コロナウイルスに感染した場合に、人工呼吸器を必要とするリスクが最大3倍になるとし、年齢や疾患も影響を与えるが、遺伝的な要因のなかではこのバリアントがもっとも強力としている。

 これらのバリアント保有者は世界各地で大きな開きがあり、南アジアでは人口の約50%がバリアントを持っているのに対し、東アジア(中国、モンゴル、台湾、韓国、日本など)では保有者はほとんどいないという。また、アフリカでもほとんど見られず、一方でバングラデシュではもっとも高い頻度で出現しているとのこと。

 このネアンデルタール人由来の遺伝子領域がなぜ重症化リスクにつながるのかはまだわかっておらず、現在も解明に向けた取り組みが行なわれている。