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Excelのありがた迷惑な機能で人間の遺伝子名が変更される

 海外メディアThe Vergeの報道によれば、Excelの“ありがた迷惑”な自動補正機能によって、人間の遺伝子名が変更されるに至ったという。

 ヒトゲノム命名法委員会(HGNC)によれば、人間の遺伝子名をExcelに入力すると、その一部が日付に勝手に変換されてしまい、論文のなかでミスを引き起こす原因となっていた。たとえば「MARCH1」を入力すると勝手に「1-Mar」、「SEPT1」を入力すると勝手に「1-Sep」になる、といったように、日付のフォーマットになってしまう。

 これらの“自動変換”は、そのセルに入力した時点で「書式」が「日付」であるとExcelに認識され、それに則って表示されるだけなので、オートコンプリートやオートコレクトをオフにしただけでは切ることができない。加えて、入力したあとに書式を「文字列」に設定しても数字となるので厄介だ。回避するには、あらかじめそのセルの書式を文字列として指定しておくしかない。

 ただ、今回HGNCはそうしたExcelの使い方をレクチャーするのではなく、遺伝子の名前を変更することで対応を行なうようだ。先述の「MARCH1」は「MARCHF1」、「SEPT1」は「SEPTIN1」といったように変更することで、自動変換されてしまうのを回避する。

 HGNCのコーディネータであるElspeth Bruford氏は、遺伝子の名前が変更になるのは珍しくないとし、遺伝子の名前の影響で「Excelの大規模なユーザーコミュニティで非常に広く使われている機能に変更を加えるほどではない」とThe Verge誌にコメントしている。

2019年にHGNCが公開した、Excelによる遺伝子入力時の注意喚起の動画