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「そば茹でロボット」がJR東小金井駅に登場
~4月15日まで実証実験
2020年3月16日 15:36
JR東日本スタートアップ株式会社と調理ロボットサービスを開発しているスタートアップのコネクテッドロボティクス株式会社は共同で、株式会社日本レストランエンタプライズ(NRE)と協力して駅そば自動ロボットによる店舗効率化を目指し、2020年3月16日(月)14:00から同4月15日(水)まで「そばいちnonowa東小金井店」で実証実験を開始すると発表し、3月16日に報道向けに公開を行なった。
ロボットアームを使って生そばを「てぼ」を使って茹で、洗いによるぬめり取り、冷水で締める工程を自動で行なう。1回の作業で3食分を扱うことができ、1時間あたりのそば生産量は40食分。店舗全体の約8時間分、従業員0.5人分相当の作業量を代替でき、人手不足の解消や従業員の負担軽減、安定した品質を提供できるという。
ロボットが茹でている様子は、注文後の店内でそばができ上がるのを待っている間にガラス越しに見ることができる。
調理ロボットで省人化と味の均一化を
コネクテッドロボティクスは、JR東日本による「JR東日本スタートアッププログラム2019」採択企業の1つ。コネクテッドロボティクスとJR東日本グループは「駅そば自動ロボットの開発による店舗効率化」に挑んでおり、人手不足の解決と味の均一化による飲食店の価値向上の実現を目指している。
厨房面積が限られていることから、今回はロボットアームを横向きに設置するかたちにして、ビジョンセンサーは使わず、簡易なセンサーと動きの再生で、そばの茹で作業の自動化を行なった。ロボットは3食分ずつ茹で作業を行なっていく。動作途中でライトが光るのは動作確認のため。基本的にFA(ファクトリーオートメーション)と同じ考え方でシステム全体を設計している。ロボットによって湯切り作業などが自動化されることで、従業員の肉体的負担は楽になるという。
コネクテッドロボティクスは調理領域にフォーカスしているロボットスタートアップだが、ロボットのハードウェアを作っているわけではなく、ハードウェアを制御するコントローラー(制御ソフトウェア)を開発している会社だ。
今回の「駅そばロボット」で使われているロボットアームは台湾TechMan Robot(達明機器人)製の協働ロボット「TMシリーズ」。ティーチングが容易なことに加え、最初からビジョンシステム内蔵であること、そして安価なことから利用が広まっている。なおTechManの親会社は大手EMSのQuanta Computer(広達電脳)だ。
繰り返し作業をロボットで代替
NRE代表取締役社長の日野正夫氏は、ロボットを使うことについて「お客様からすれば味が安定化することがメリット。また茹で作業は繰り返しの多い単調な重労働。この作業を自動化することで従業員の負担を軽くなれば」と述べた。
また今後の展望としては「一人分の作業の自動化が望ましい」と語った。人とどう組み合わせるか、オペレーションも考える必要があるという。目指しているのはあくまで省人化・軽労化であって、無人化は考えていないと述べた。
JR東日本スタートアップ株式会社 代表取締役社長の柴田裕氏は、「厨房にすっぽり入るようにシステムを組んでくれた」とコネクテッドロボティクスを評価。また「ロボットに合わせたオペレーションの改善もあり得る」と述べた。
現在は、工場から出荷した状態の蕎麦(5玉分が1つの袋に入っている)を茹でるためにてぼにセットしたり、最後に丼に汁を注ぐ、トッピングするといった作業は人が行なう必要がある。しかしロボットが本格的に使われるようになれば、出荷形態を変えるようなこともあり得るのではないかという。
また、1人工(1人分の作業)の見積もりも、店舗の繁盛具合によっても変わってくる。回転率が高く、多くの従業員が厨房内で働いており、茹で作業だけを専門で行なっている人がいるような店舗の場合は、現時点のロボットの機能だけでも1人分の働きができることになる。ロボットにとっても、同じ作業をひたすら繰り返すほうが効率がいい。
コネクテッドロボティクス 代表取締役CEOの沢登哲也氏は、「できるだけ繁盛しているお店に入れるほうがロボットは効率がいい」と語った。ロボットを効果的に使える店舗設計・オペレーションが重要になりそうだ。
なお今回は実証実験だが、コネクテッドロボティクスでは駅そばロボットを初期費用300万円、月額使用料20万円で販売したい考えとのことだ。