イベントレポート

東芝、TransferJet対応SDカードなどを展示

~第3世代FlashAirはGPIO/Luaスクリプト対応、IoT的な使い方も

TransferJet搭載SDHCカード

 CP+2016の東芝のブースでは、さまざまなSDカードが展示されている。

 スタンダードなSDHCメモリカードを始め、「EXCERIA」のブランドを冠したSDXC/SDHCメモリカード、より高速な「EXCERIA PRO」SDXC/SDHCメモリカードなどがズラリと並んでいる。NANDフラッシュを自ら生産する東芝ならではのラインナップの豊富さだ。

 これらだけではなく、2015年夏に発売された近接高速無線通信「TransferJet」を搭載したSDHCカードも展示されている。なお、説明員によると現時点では容量16GBのみがラインナップされているが、32GB以降も現在開発中であるという。

 さらに、TrasferJet搭載SDHCメモリカードからPCやスマートフォンに転送するためのUSB/Micro USB/Lightning(iOS端末対応)アダプタなども展示。ちなみに現時点でUSBモデルはWindows OSのみに対応しているが、OS Xに対応したバージョンも現在開発が進められており、近日中にリリースするとした。

 東芝ブースの隣の「SDアソシエイション」のブースでも東芝は大々的に展示を行なっているが、中でも興味深い参考展示があった。1つ目はTransferJet対応のSDカードリーダ。バッテリを内蔵しており、デジタルカメラに内蔵したTrasferJet搭載SDカードから内容を読み出して保存するという、いわゆるストレージハブの役割を果たすもの。

 先述の通り、現時点でTransferJet対応SDカードは容量16GBまでしかなく、高画素カメラではすぐ容量がいっぱい。そこでこのカードリーダに64GBや128GBといった大容量のSDカードを挿しておき、胸ポケットなどに入れておけば、カメラを近づけるだけで写真がコピーされ、その後メモリの内容をクリアすれば続けて使用できる……と言った使い方を想定している。

 さらに、このカードリーダに無線LANに対応したFlashAirなどのSDカードを挿しておけば、TransferJetから転送された後スマートフォンやPCに転送し、SNSやクラウドストレージサービスに写真をアップロードをする、と言ったこともできるようになるわけだ。

TransferJetのアダプタ。OS X版も近日中に用意するという
バッテリ内蔵のTransferJet搭載カードリーダ
そのほかのSDメモリカード製品

 ちなみにその無線LAN対応のFlashAirだが、2012年に発売されて以来2回マイナーチェンジが施されており、開発者向けの機能が拡張され続け、現在は第3世代の「W-03」に至っている。例えば初代のW-01ではWebDAV機能、インターネット同時接続モード、ロングファイルネーム、日本語ファイル名、iSDIOなどが使えなかったが、第3世代では実装されており、開発者がIoTデバイスにFlashAirを組み込めば、さまざまな制御を行なうことができるようになる。

 特に第3世代では、「Lua」と呼ばれる汎用スクリプト言語が使えるようになっているのが最大の特徴で、開発者は複雑な操作をプログラミングして利用できる。加えて、SDカードの端子を汎用入出力(GPIO)として利用できるのも特徴。そのため開発者がデバイスにFlashAirを組み込めば、それが立派なIoTになることを謳っており、同社は「FlashAir Developers」というサイトも展開している。

 開発者のための、FlashAirのプロトタイピングボード「Airio RP」も発売しており(マルツエレックおよびスイッチサイエンスが取り扱っている)、ブレッドボードを用いて外部回路と接続できる。このボードはFlashAirのすべての端子が外ピンに出ているほか、SPI-I2CブリッジICを搭載しているため、I2Cデバイスとも接続できるようになっている。

 ブースでは、FlashAirを利用してMicrosoft Azureのクラウドサービスに写真をアップロードし、Azureのコンピューティングパワーを利用して画像解析を行なうという簡単なデモを行なっていた。

 余談だが、秋葉原ではFlashAirの日本語パッケージ(主にヨドバシカメラなどで販売)と、中国語パッケージ(秋月電子通商などで販売)の2種類が出回っており、後者の方が安価だ。説明員によれば「両方とも日本国内の技適を通しているため利用はできる。中国語パッケージの方は東芝のサポートなどが受けられないが、いずれにしてもFlashAirの開発に関してはサポートセンターでサポートできないので、FlashAirの基本機能やSDカードそのものに関してのサポートが不要ということであれば、より安価な中国語パッケージを選んで頂いても問題ない」とのことだった。

会場でのFlashAirのデモ
会場で配布されているFlashAir Developersのパンフレット
Luaスクリプトのリファレンスや、iSDIOに関しての解説がされている

(劉 尭)