イベントレポート

法人の強い需要で開発に踏み切ったfreetelのWindowsスマートフォン

プラスワン・マーケティング株式会社代表取締役 増田薫氏

 freetelのブランドでSIMフリースマートフォンを販売しているプラスワン・マーケティング株式会社(以下プラスワン・マーケティング)は、3月2日よりスペイン・バルセロナで開催されているMWC(Mobile World Congress) 2015に出展し、スマートフォンラインナップを展示している。

 日本のスマートフォンメーカーである同社がMWCに出展するのは、日本国外のディストリビューターなどにアピールし、国外にも販路を設けたいという意向があるからだという。

 そうした展示の中でもひときわ注目を集めていたのが、OSにWindows Phone 8.1を搭載している、開発コードネーム「Ninja」と呼ばれる製品で、5型HDディスプレイ、Snapdragon(クアッドコア)、1GBメモリ、8GBストレージというスペックのWindowsスマートフォンだ。

 同社代表取締役 増田薫氏によれば「Windows Phone参入に踏み切ったのは、法人顧客から強い需要があったため」とのことだ。

法人顧客からの強い需要、それに答える為にWindows Phoneビジネスへ参入

 プラスワン・マーケティングは、通信機器の製造・販売や通信事業などを目的として2012年に設立された若いベンチャー企業だ。現在はfreetelブランドでSIMフリースマートフォン、およびMVNO通信事業を展開しており、量販店の店頭などで“フリモバ”と書かれたSIMカードや、freetelブランドの安価なSIMフリースマートフォンを目にしたことがある読者も少なくないだろう。

 増田氏は、元々外資系の機器メーカーで通信端末のビジネスを担当していたそうだが、そのビジネスから撤退することが決まったときに、それならば自分達で会社を作ってやってしまおうと考えて、プラスワンを創業したのだという。「その時にも、Windows Phoneをやりたいという話があったのだが、結局は製品にできなかった。それからも機会があればずっとWindows Phoneの端末を出したいという希望があった」と言う。

 しかし昨年(2014年)、Windows Phone搭載端末の製造メーカーに課されていたさまざまな制約が緩和され、台湾や中国などのODMメーカーなどでもリファレンス機が作られるようになり、より小規模なメーカーでもWindows Phone端末のビジネスに参入できる下地が整ってきた。「特に日本では、ITのシステムとして使っているWindowsと同じOSをスマートフォンでも使いたいという法人のお客様は少なくない。そのため、Windows Phoneを搭載したビジネスへの参入を決めた」と、タイミングでの参入を決めたのだという。

 既に、Microsoftとの契約なども済ませており、今後Microsoftとも協力して開発していくと説明した。

プラスワン・マーケティングのMWCでのブース。和をテイストにしているそうで、確かに外国人には売り込みやすいかも……

5型HDディプレイ、クアッドコアのSnapdragon、1GB/8GBというスペックのNinja

 今回プラスワン・マーケティングが展示したWindowsスマートフォンは、同社が開発コードネームNinjaと呼ぶ製品。Ninjaと名付けたのは、海外のディストリビューターのウケを狙ったそうで、実際に製品として販売される時には別のブランドになるとのことだった。

 スペック的にはWindows Phone 8.1を搭載した製品の標準的。5型HDディスプレイ、Snapdragonのクアッドコア、1GBメモリ、8GBのストレージ、背面800万画素、前面200万画素のカメラで、バッテリの容量は2,500mAhとなる。重量は現時点では最終決定ではないため非公表ということだったが、100g台の前半程度の重量になる見通しだ。モデムの仕様には言及がなかった。

 なお、販路に関しては、現在同社が販売網として利用しているWebサイトの直販、家電量販店での販売の両方を考えているほか、法人需要が強いことを鑑み、法人向けリセラーやシステムインテグレーターなど経由での販売を考えているという。現在freetelブランドのSIMフリースマートフォンは、家電量販店で単体で購入できるようになっており、そうした販路を使って販売される可能性が高いことは、ユーザーにとっては朗報だ。

 価格に関しては現時点では未公表ということだったが、スペックから考えてもさほど高い価格帯を狙っているとは考えられない。現在同社の製品が1~2万円あたりが中心になっていることから考えれば、おそらくそのあたりか若干上あたりの価格帯を狙ってくるのではないだろうか。

 また、Windows 10へのアップグレードに関しても、前向きに検討しているが、現時点では決定していることはないとのことだ。リリース時期に関しては既に発表の通りで、夏までに投入ということになる。

 なお、今回同社ブースにおいて、「priori 2 LTE」という、Androidスマートフォンも展示していた。現在priori 2という3GモデムのAndroidスマートフォンを9,800円(税別)で販売しているが、priori 2 LTEはそのLTE版(バンド1/3/6/19対応)になるという。同社によれば3月上旬に発表予定で、現行の3G版に比べると若干高めの価格設定になるそうだが、Android 5.0へのアップグレードも予定されており、Android 5.0ではVoLTE対応の機能が追加されるなど、安価なスマートフォンながらLTEに対応できる機種として要注目になりそうだ。

freetelブランドで販売される予定のWindows Phone 8.1スマートフォンNinja(開発コードネーム)
Ninjaの背面、蓋を開けるとmicroSDカードスロットとMicro SIMスロットがあるということだった
上部にはMicro USB端子とヘッドフォン端子が用意されている
展示ブースでのNinjaの説明のパネル
priori 2 LTE(左)と、従来のpriori 2(右)。外観はほぼ同じでモデムがLTEになっていることが大きな違い。3月上旬に発表予定

(笠原 一輝)