イベントレポート

Nokia、Open Source ProjectベースのAndroidスマホ「Nokia X」

~Googleサービスを使わず、MicrosoftやNokiaのサービスを提供

開催日:2014年2月24日(現地時間)

会場:Fira Gran Via

 2013年秋の端末部門買収を受けてMicrosoft傘下となってから、Nokiaにとって初めての「Mobile World Congress」が開幕した。例年通りNokiaは会期初日に自社ブース内でプレスカンファレンスを開催、同社初となるAndroidベースのスマートフォン「NOKIA X」シリーズなどを発表した。

「Nokia X」と「Nokia X+」を紹介するNokiaのステファン・エロップCEO
5型の「Nokia XL」を使った操作デモ

 「Nokia X」は、AndroidのOpen Source ProjectベースのOSが導入される。基本的にはAndroidであるが、Googleのサービスは含まれない。OSのバージョンアップなどもAndroidのそれとは別に行なわれる。Googleのサービスが含まれないことで、すべてのサービスはMicrosoftおよびNokiaブランドで同等のものが提供される見込み。より具体的には、検索サービスはGoogle Searchではなく「Bing」、メールサービスはGmailではなく「Outlook」、クラウドストレージはGoogle Driveではなく「OneDrive」、ビデオチャットの「Skype」、地図サービスの「Here Map」、音楽ストリーミングの「RadioMIX」などが主なサービスとなる。ユーザーインターフェイスはWindows Phone 8に近いタイルベースのUIが独自に実装されており、純Androidのそれとは異なる。

低価格スマートフォンのASHAシリーズと上位にあたるWindows PhoneのLumiaシリーズの中間に入るのが「NOKIA X」シリーズ
4型のタッチスクリーンを搭載する「NOKIA X」と「NOKIA X+」
5型のタッチスクリーンを搭載する「NOKIA XL」
Windows PhoneのLumiaシリーズと同等のMicrosoft/Nokiaのサービスを、AndroidのOpen Source Projectベースのスマートフォンで提供する
タイル状のUIを採用。長押しからのドラッグで配置を変えたり、タイルサイズの変更ができる。フォルダ管理にも対応する
デュアルSIMに対応。プライマリのSIMをタッチ操作で簡単に切り替えることができる

 Google Playのサービスに代わって、MicrosoftやNokiaブランド以外のアプリケーションは独自のアプリストアから提供されることになる。デベロッパは上記のサービスに関連するAPIを、GoogleのそれからMicrosoft/Nokiaのそれに変更するなどしてNokia Xに対応、このアプリストアに登録する。こうしたアプリストア運営について、アプリ内課金、トライアルサービス、キャリア課金などさまざまなマネタイズ手段が提供されるとしている。SDKは同社のデベロッパーサイトから入手が可能。

Nokia Xシリーズ向けのAndroidアプリ開発SDKが提供される
Google Playとは異なる独自のアプリマーケットを提供する。アプリ内課金、トライアルサービス、キャリア課金などのマネタイズ手段を開発者に提供していく
独自のアプリケーションマーケット。Blackberryメッセンジャーをはじめ、Zombie vs Plantsなどのメジャーなアプリケーションが提供される
アプリマーケットで提供される主要アプリ。メジャーどころの対応は進むが、小規模のデベロッパをどれだけ取り込めるかがポイントになるかも知れない
Microsoft Skype部門の責任者が登壇して、Nokia XシリーズにSkypeの1カ月間無料通話と、OneDriveの10GB容量を提供するとアナウンス
ラインナップは3モデル。10ユーロ刻みでそれぞれ89ユーロ、99ユーロ、109ユーロ。

 ラインナップは3モデル。ベースモデルとなる「Nokia X」は89ユーロ。ミドルレンジの「Nokia X+」は99ユーロ、5型パネルを採用する「Nokia XL」は109ユーロと、10ユーロ刻みの価格設定。主に成長市場をターゲットにして、2014年第2四半期末から第2四半期頭にかけて出荷が開始される見通しだ。各モデルの主なスペックは下記の通り。

Nokia X
本体サイズ63×115.5×10.4mm(幅×奥行き×高さ)
重量128.7g
ディスプレイサイズ4型
ディスプレイ解像度800×480ドット
プロセッサQualcomm Snapdragon S4 デュアルコア1GHz
メモリ512MB
ストレージ4GB
カメラ機能背面 300万画素(2,048×1,536ドット)
Nokia X+
本体サイズ63×115.5×10.4mm(同)
重量128.7g
ディスプレイサイズ4型
ディスプレイ解像度800×480ドット
プロセッサQualcomm Snapdragon S4デュアルコア1GHz
メモリ768MB
ストレージ4GB
カメラ機能背面300万画素(2,048×1,536ドット)
Nokia XL
本体サイズ77.7×141.4×10.9mm(同)
重量190g
ディスプレイサイズ5型
ディスプレイ解像度800×480ドット
プロセッサQualcomm Snapdragon S4デュアルコア1GHz
メモリ768MB
ストレージ4GB
カメラ機能背面500万画素(2,592×1,944ドット)

 低価格モデルとして成長市場に投入することで、インターネット検索やメールサービスなど基本的なインターネットサービスをGoogleではなくMicrosoftおよびNokiaのサービスへと誘導する狙いがあると思われる。

フィーチャーフォンから、最上位のWindows Phone、Windowsタブレットまでスケーラブルに展開。この日の発表は成長市場に向けた低価格モデルが中心だった
29ユーロの低価格フィーチャーフォン「NOKIA 220」。次の10億人をインターネットへと導く手段の1つと位置付ける
タッチ操作に対応する最廉価モデルの「ASHA 230」は45ユーロ
Lumiaシリーズ向けには、著名アプリケーションを次々に提供。上段が最近の追加アプリケーションで、下段がこの日発表されたBlackberryメッセンジャーやPhotoshop Expressなど
画像処理用のSDKをバージョン1.1へと更新。Windows PhoneプラットフォームとWindows8.1との開発環境を共通化

 発表された新製品はいずれも低価格モデル。ステファン・エロップCEOは成長市場における次の10億人をインターネットへと導くとコメントした。同日発表されたフィーチャーフォンの「Nokia 220」は29ユーロ、タッチ操作が可能なASHAシリーズの「Nokia Asha 230」は45ユーロで発売される。

 発表された新製品をはじめとするNokiaのブース展示の模様は、別稿にて紹介する。

(矢作 晃)