イベントレポート

Qualcomm、Snapdragon 805のGPU性能や超音波デジタイザなどをデモ

Qualcommブース
会場:Las Vegas Convention and World Trade Center(LVCC)

LVH

The Venetian

 Qualcommブースでは、2013年11月に発表した「Snapdragon 805」のデモに力を入れている。

 Snapdragon 805は、シリーズ最上位のモデルで、最大2.5GHz駆動のクアッドCPUコアKrait 450と、前世代から4割性能を向上させたAdreno 420 GPUコアを内蔵する。ブースでは、その高いグラフィックス性能や、処理能力を活かすためのデモを行なっている。

 GPU性能は前述の通り約4割の向上とのことだが、ハードウェアテッセレーションを搭載したことで、遙かに複雑なジオメトリをリアルタイム処理できることを示していた。

Snapdragon 805搭載デモ機
Snapdragon 800で現実的に表示できるポリゴンはこの程度
一方805はテッセレーション機能を使って、ここまでジオメトリをリッチにできる

 カメラ周りでは、いくつかのデモを公開している。例えば、暗い場所で写真を撮る際に、フラッシュを焚かないと全般的に暗くなり、フラッシュを焚くとフラッシュのあたる範囲は青みがかり、届かないところは非常に暗くなるという情況がよくある。そこで、フラッシュのない写真とある写真をほぼ同時に撮影し、これを合成することで、より自然できれいな写真に仕上がる。

暗めの場所でフラッシュなしではこのように暗くなる
フラッシュを焚いても近い部分だけ青みがかって明るくなることも
Snapdragonのカメラ機能で、フラッシュのありとなしの撮影をほぼ同時に行ない合成することでより自然な写真を撮影できる

 また、Touch to Trackと呼ばれる機能により、タッチで指定した被写体にフォーカスを追従させることができる。デジカメでも動くものや顔にフォーカスを追従させる機能はあるが、Touch to Trackは指定した場所以外をCPU処理で強制的にぼやけさせるという逆のアプローチで、一眼レフのような背景ぼけの効果を演出する。応用として、焦点の当たっている場所だけに特殊効果をかけたりすることもできる。

画面上のタッチした場所にだけフォーカスがあたったようになる
特定のものにフォーカスをあて続けるTouch to Trackの応用で、特定部分だけに特殊効果をかけることも(この場合は、特定部分以外を白黒にしている)。車を動かしても、黄色い円の内側だけがカラーで表示される

 デジタルペン技術も面白いデモだった。通常、タブレットなどで使うペンは、電磁誘導か静電容量で感知し、液晶の上で使うが、QualcommはSnapdragon搭載デモタブレットに超音波マイクを搭載させた。これにより、普通のノートに書けるデジタルペンのように、紙のノートに書いたものをリアルタイムでタブレットに取り込んだり、デジタイザのようにタブレットの液晶上で使うこともできるようになっている。インクの入った芯先を出す/出さないは人が操作する必要があるが、超音波でペンの場所を判断し、ノートの上とタブレットの上をシームレスに移動できる。

【動画】紙の上に書いている内容をリアルタイムでタブレットに取り込んでいるところ
【動画】タブレットと紙の上をシームレスに移動している所。ペンの高さも認識している

 先のカメラの機能もこのデジタルペンの機能も、高性能化が進むプロセッサの能力を活用することで、単に処理速度が速くなるとか、ポリゴンスが増えるといった形だけでなく、新たな表現や利用方法をもたらすものであり、3Dゲームなどをしないユーザーにも高性能なプロセッサの必要性を説く上で、重要な見せ方と言えるだろう。

(若杉 紀彦)