イベントレポート

Acerの7型タブレットやSilverStoneのNUC対応ケースなど

CeBITが行なわれているハノーバーメッセ
会場:ドイツ連邦共和国 ハノーバー市 ハノーバーメッセ

会期:3月5日~3月9日(現地時間)

 ドイツ連邦共和国 ハノーバー市ハノーバーメッセでヨーロッパ最大のICT展示会CeBITが開催されている。

 すでに別記事で紹介したIntel 8シリーズ・チップセットを搭載したマザーボードのような自作PC向けコンポーネントのほか、新手の7型タブレットや、スマートフォン・タブレット向けの周辺機器なども多数展示された。本レポートではCeBITで展示された新製品や、注目の製品などについて取り上げていく。

東京ドーム20個分に相当する巨大な会場、往時よりはやや縮少したが規模が大きな展示会

 CeBITが行なわれているハノーバーメッセの敷地面積は約100万平方m(東京ドーム20個以上)で、展示ホールは27個もあり、移動には内部に走っているバスが利用されるなど、日本の展示会で利用される会場(幕張メッセや東京ビックサイト)とは比較にならないほどの広さとなっている。CeBITの主催者であるドイチェメッセの発表によれば、2013年のCeBITには世界71カ国から4,000社以上の出展があり、27個あるホールのうち17個のホールが利用されているという。

 それだけでも十分巨大なイベントなのだが、それでも往時に比べれば規模は縮小している。CeBITが一番賑わっていた2000年代の前半には、ほぼすべてのホールが利用され、新規に出展したい企業がブースを確保出来ないほどだった。しかし、2月にスペインで行なわれるMWC(Mobile World Congress)が賑やかになるにつれ携帯電話関連はそちらに移動するようになり、さらにCeBIT自体もコンシューマ系からエンタープライズ系に舵を切ったことで、徐々にコンシューマ向けPCの展示が少なくなりつつある。実際、今年(2013年)はそれまでコンシューマ向けPCゾーンで大きなブースを構えていたASUSやGIGABYTEなどが一般来場者向けブースを取りやめるなどしており、やや寂しい感じがあった。

 そうした中でも、PC業界の両巨頭、MicrosoftとIntelは例年通り大きめのブースを構えた。Microsoftはビジネス向けのソリューションを展示するホール4で、DynamicsやOffice 365などの企業向けソリューションなどを展示していたほか、コンシューマ向けにWindows 8、Windows Phone 8を搭載したPCやスマートフォンなどを展示していた。もっとも、展示されていたのはすでに発表されている製品ばかりで、特に目新しいモノはなかった。

 Intelはホール23で、Core i7 Extremeなどハイエンド向けのCPUを採用したデスクトップPCやUltrabookなどを展示。ゲーミングユーザー向けとなっているのは、同じホール23でIntelがスポンサードしているPCゲーミングのイベント「Intel Extreme Masters」が行なわれているためで、世界中から集められた強力なPCゲーマーによる戦いが繰り広げられている。CeBITの会期中いっぱいは行なわれる予定となっている。

ハノーバーメッセのホール2。ハノーバーメッセ全体では約100平方mの面積で、東京ドーム20個分
CeBITの会場図。ハノーバーメッセの27個あるホールのうち17個が利用されている。往時にはほぼすべてのホールが利用されていたのに比べると規模そのものは縮少している。
会場の中はあまりに広大なので、移動には会場内を走るバスを利用する
International CESにはブースを出していなかったMicrosoftだが、CeBITでは巨大なブースを出し、Windows 8などをアピールしていた
MicrosoftブースではOEMメーカー各社のPCやスマートフォンが展示されていた
ホール23ではIntel Extreme Mastersが開催されており、PCゲーマー同士の熱いバトルが繰り広げられていた
IntelのブースではCore i7 Extreme搭載デスクトップPCやUltrabookなどが展示されていた

AcerがICONIA W700の追加オプションや低価格7型タブレットを展示

 PCメーカーのAcerは、Intel Extreme Mastersが行なわれているホール23の隣にあるホール18に、やはりPCゲーミングをテーマにしたブースを構えており、来場者が同社のノートPCを利用してPCゲームを楽しめるようにしていた。

 Acerのブースにおいてあったのは基本的には既存製品だが、すでに発表されている「ICONIA W700」(第3世代Coreプロセッサ採用11型タブレット)の純正オプションとして、Bluetoothで接続されるキーボードが新製品として展示されていた。

 また、CESでひっそり発表されていた7型のタブレット「ICONIA B1」も展示された、7型タッチパネルを持ち、SoCはMediaTekのMTK8317T(デュアルコアCortex-A9 1.2GHz)を採用し、512MBのメモリ(DDR3)、16GBの内部ストレージ(eMMC)+microSDHCカードスロット、300万画素のフロントカメラ(リアカメラなし)、無線はWi-FiとBluetooth 4.0という仕様になっている。OSはAndroidで、バージョンは4.1.2だった。展示されていたグローバル版にも、言語の選択肢に日本語が用意されており、日本語表示が可能だった。

 すでにドイツでは販売が始まっており、ハノーバー市内の量販店でも消費税込みで129ユーロ(日本円で約15,000円)という価格で販売されていた。7型という液晶のサイズからは、GoogleのNexus 7やAmazonのKindle Fireなどと競合する製品だとも言えるが、採用されているSoCが廉価版のMediaTek「MTK8317T」であることやメモリが512MBしかないことなどから、かなりローエンドな製品だと言えるだろう。

Acerブースでは多数のノートPCが並べられており、PCゲームをプレイすることができた。PCゲームへの興味が高いヨーロッパならではの光景
AcerのICONIA W700のオプションとして用意されたBluetooth接続のキーボード
Acer ICONIA B1は、低価格な7型タブレット。MTK8317T(Cortex-A9 デュアルコア/1.2GHz)、512MBメモリ、16GBストレージで、129ユーロ
OSはAndroid 4.1.2
システム言語には日本語を設定することもできる

SilverStoneがNUC規格マザーボード向けのケースを展示、3月末に日本に向けて出荷予定

 日本のユーザーにとって要注目なのは、高級感のあるケースを販売しているベンダーとして知られているSilverStoneが展示した、NUC(日本での公式な読み方はナック)規格に対応したケースだ。NUCはNext Unit of Computingの略称で、Intelが推進している小型PC向けフォームファクターの総称だ。IntelはNUCマザーボードを単体でも販売しており、今回SilverStoneが展示したのはそのマザーボードを搭載できるケースとなる。

 SilverStoneのNUCケースは「PT14」の製品名が与えられており、アルミの筐体に、NUC用マザーボードに接地する銅製のヒートシンクと、熱をボディ全体に拡散するためのヒートパイプが取り付けられている。SilverStoneによればこの構造のため基本的にはファンレスで利用できるが、その代わりファンレスで利用した場合には表面温度が触れないぐらいの温度になる可能性があるという。人の手が触れるような場所においては付属ファンの利用を推奨するということだった。

 SilverStoneによれば、価格などは未定で、出荷は3月末から4月頃を予定している。一番最初に出荷する地域は日本ということなので、秋葉原などに製品として登場することになりそうだ。

 このほか、MSIはドラゴンをイメージした新しいZ77搭載ゲーミングマザーボードを、PNYはCeBITの初日にNVIDIAから発表されたKeplerベースのQuadro Kシリーズを搭載したビデオカードなどを展示した。

SilverStoneのNUCケース「PT14」
PT14の蓋を開けたところ、ファンもあるが、ケース表面が熱くなってもよければファンレスで利用できる
マザーボードを外したところ、底面にCPUとチップセットを冷やすヒートシンクとヒートパイプが用意されている
SilverStoneのRS431は、外付HDDケース。SAS接続のRS431Sと、USB/eSATA接続のRS431Uの2ラインナップが用意されている。2.5インチドライブを4台入れて利用することができる
スリムMini-ITXケースの「PT13」
Mini-ITXケースの「ML05」
PNYのQuadro K5000、K4000、K2000搭載ビデオカード
MSIのZ77搭載ゲーミングマザーボード。龍をイメージした新デザインで、間もなく出荷開始される
MSIはQuadro K2000Mを搭載したワークステーションノートPC「GT60 Workstation」を展示。CPUはCore i7-3630QM、15.6型フルHD液晶、2つのSSDによるRAIDというスペックで、ワークステーション並みの性能をノートPCで実現
Samsung Electronicsが展示したSM843Tはサーバー向けSSD。120GB、240GB、480GB、960GBの容量がラインナップされている、MLCのSSD
Shuttleは5インチベイに4台の2.5インチHDDを、本体内部に4台の2.5インチHDDを格納して、キューブ型ベアボーンに8台のドライブを内蔵できる様子をデモ

(笠原 一輝)