SamsungがGALAXLY Note II、GALAXY Cameraを発表
8月29日(ドイツ時間)、IFA 2012の開幕を控えるベルリンで韓国Samsung Electronicsは、「Samsung Mobile UNPACKED」イベントを開催した。2011年はMesse Berlinの会場内でプレスカンファレンスを行ない、そのカンファレンスにUNPACKEDの冠をつけるというスタイルだったが、2012年は施設外で独立イベントの形を取った。会場はライブコンサートなども行なわれるベルリン市内のスタジアム施設「TEMPODROM」で、多くのメディア関係者やパートナー企業などが訪れた。
イベントは2人のマジシャンが狂言回しの役割でスタート。冒頭では、映画「ベルリン・天使の詩」で知られるヴィム・ヴェンダース監督と同社がコラボレーションした「Recreate Berlin」を紹介。「GALAXY Note 10.1」を使って、ヴェンダース監督に師事する若者達が、ベルリンの今をスケッチする様子などがビデオで紹介された。ヴェンダース監督とのコラボレーションはティザー形式でおよそ1週間前から行なわれており、今回の「Samsung Mobile UNPACKED」の事前告知にもなっていた。
映画「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ヴェンダース監督がGALAXY Note 10.1を手に登壇。「Recreate Berlin」を紹介した。 |
JK Shin氏 |
続いて新製品の発表となるわけだが、Samsung ElectronicsのIT & Mobile Communication部門のプレジデントであるJK Shin氏が登壇。ちょうど1年前にここベルリンで発表されたGALAXY Noteが新しいカテゴリを創出したことを改めて説明。そして、よりクリエイティブであるための新モデル「GALAXY Note II」を発表した。
製品は128カ国の268を超えるキャリアから10月以降に順次出荷するとしている。今回はグローバルモデルとしての発表となり、日本をはじめとする各国ごとのパートナー、出荷時期までは言及されていない。
GALAXY Note IIの主なスペックは、1.6GHzのクアッドコアCPU、2GBのRAMを搭載。OSはJelly BeanことAndroid 4.1。バッテリ容量は3,100mAhで、前モデルの2,500mAhより大容量化している。ディスプレイは同社お馴染みのHDスーパーAMOLED。5.55型となり、こちらも前モデルの5.3型より大型化している。画面の解像度は720×1,280ドットで、800×1,280ドットだった前モデルとはアスペクト比が異なる。パネルサイズを考えなければアスペクト比が変わったことも含めて外観は「GALAXY S III」とよく似ており、同一世代の製品としてデザインの統一を図ったものと推測される。
GALAXY Note IIの詳細を説明するSamsung Electronicsヨーロッパのテレコミュニケーション部門副社長、Jean-Daniel Ayme氏 |
モバイルネットワークは3GがHSPA+ 21Mbps(HSDPA 21Mbps/HSUPA 5.76Mbps)、LTE(HDSPA 42Mbps/HSUPA 5.76Mbps)に対応。Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n(2.4GHz & 5GHz)、Bluetooth 4.0 LE対応など。NFCの搭載も明らかにされている。大きさは80.5×151.1×9.4mm(幅×奥行き×高さ)で、前モデルよりややスリムかつ縦長となった。重量は180gで前モデルとほぼ同じ。前述のとおり、これらはグローバルモデルとしてのスペックで、各国ごとの出荷製品は細部が異なる可能性もある。
最大の特徴であるペン入力「S Pen」も収納スタイルは変わらないが、より長く太くなって持ちやすくなったほか、ペン先がラバーチップになった。Air Viewと呼ばれる機能で、ペン先が非接触状態でのインターフェイスが新たに加わった。サードパーティ向けには新たに「S Pen SDK 2.2」を提供。翌日にあたる8月30日には同会場で登録デベロッパに向けたカンファレンスも開催される。
●Jelly Bean搭載のコンデジ、GALAXY Cameraが登場
GALAXY Note IIの発表でいったん幕引きと思わせたあとに第2幕があり、JK Shin氏は再びステージへと戻ってきた。
GALAXY Cameraを紹介するSamsung BrandヨーロッパのStephen Taylor副社長 |
続いて紹介されたのは「GALAXY Camera」。日本国内でもフィーチャーフォンではLG製端末、パナソニック端末などカメラ機能に特化して、外観がいわゆるコンデジに近い端末が出荷されていたことがある。今回、Samsung Electronicsが発表したのは、Androidスマートフォンに強力なカメラ機能をつけた製品。外観はコンデジと言い張っても、信じてもらえそうなデザインだ。JK Shin氏は、現在を「ビジュアルコミュケーションの時代」として、スマートフォンの役割を「TAKE CREATE EDIT SHRRE」(撮る、創る、編集、共有)と紹介。そして、その写真を撮る(TAKE)を、より高品質にすることを目指したとしている、
デザインは、正面からみれば明らかに沈胴式のレンズを搭載するコンパクトカメラ。一方背面はフラットの液晶パネルのみで、こちらはスマートフォンの見た目である。パネルサイズは4.8型でHDスーパークリアLCDを採用する。搭載するOSはAndroid 4.1で、3G、4G、Wi-Fiなどのネットワーク機能を備える。Androidスマートフォンとして、Google Playなどからアプリケーションのインストールができるのはもちろん、写真の加工、写真の管理、写真の投稿などに特化した専用アプリケーションもプリインストールされる。写真の加工などプロセッサパワーを要する前提からか、CPUは1.4GHzのクアッドコア。スマートフォンとしても十分なスペックを擁する。Android標準のアドレス帳機能は提供されるが、電話機としての通話機能はない模様だ。
Android搭載のデジタルカメラは、Polaroidが年初のCESで製品発表したほか、先日はニコンも製品を発表したばかり。いずれも言うなればカメラ側からのアプローチで、どちらかと言えばスマートフォン寄りのアプローチは事実上Samsungが初めて。何より通信機能の充実と、OSをはじめとするスペックと高機能さに注目が集まりそうだ。
撮像素子には1,630万画素のCMOSセンサーを採用。光学系はF値2.8の23mmレンズ。光学式の21倍ズームを搭載する。本体の大きさは128.7×70.8×19.1mm(同)。重量は305g。バッテリ容量は1,650mAhとなっている。
●Windows関連製品も紹介
発表されたWindows関連製品は4カテゴリ。Windows 8がプリインストールされるディスプレイ、キーボードが分離されるSmart PCが2機種。Windows RTタブレットが1機種。Windows Phone 8端末が1機種、Series 9のノートブックが1機種。 |
第3幕目は10月下旬から販売がはじまるWindows 8にフォーカスした内容。こちらはブランド名の「Samsung ATIV」をはじめ、淡々と製品紹介が行なわれた。なお、Samsung製のPCは、現時点では日本国内向けには出荷されていない。Windows 8を機に日本市場への進出があるかどうかは明らかにされていない。
タイルスタイルのUIにあわせて、Windows 8の搭載製品はタッチパネルとキーボード部分が分離できるスタイル。指先での操作に加えて、前述のGALAXY Noteと同様にS Penによるスタイラス操作を可能にしていることが特徴と言える。エントリー向けにはAtomプロセッサ搭載製品、Proを冠したモデルにはCore i5プロセッサ搭載製品が用意される。
(2012年 8月 30日)
[Reported by 矢作 晃]