【WWDC 2012】速報! Retinaディスプレイ搭載の新世代MacBook Pro
~ 写真で見る新世代MacBook Pro

6月11日(現地時間)発表
会場:Moscone Center West



Ivy Bridge世代へと更新されるMacBook Air。

 米Appleは米国サンフランシスコで11日(現地時間)から開催しているWWDC 2012の基調講演の序盤で、MacBook製品のリニューアルを発表した。本稿は速報として主な製品スペックを写真を中心に紹介する。

 11.6型、13型のMacBook Air、および13型、15型のMacBook Proは、Sandy Bridge世代の現行製品をIvy Bridge世代へとリニューアルするもので、外観に大きな変化は見られない。Ivy Bridge化にともなって、チップセット統合のIntel HD Graphicsが3000から4000へと変わるほか、15型MacBook Proに搭載されるディスクリートGPUが従来のAMD Radeonから、NVIDIAのGeForce GT 650Mへと切り替わった。

 各種インターフェイスの配置にも変更はないが、従来のUSB 2.0インターフェイスがいずれもUSB 3.0対応に切り替わる。MacBook ProのSuperDriveは筐体形状の変更がないことから継続して搭載される。

 MacBook Air、MacBook Proはいずれも本日付で販売を開始する。MacBook Airの11.6型は999ドル(税別、以下同)で13型は1,099ドル。プロセッサのi7化、内蔵SSDの大容量化にもBTOで対応する。MacBook Proは13型が1,199ドル、15型が1,799ドルから。それぞれに上位下位の2モデルずつ用意され、前出のAir以上に細かなBTOが可能となっている。

MacBook Airは標準モデルに低電圧版i5を採用。i7モデルにBTOできる更新されたMacBook Airのインターフェイス。USB 2.0がともにUSB 3.0に変わった11.6型MacBook Airの主なスペック。ハイライト部分が従来モデルとの変更点
13型MacBook Airの主なスペック。ハイライト部分が従来モデルとの変更点MacBook ProもIvy Bridge世代へと移行する15型のディスクリートGPUには、KeplerアーキテクチャのNVIDIA GeForce GT 650Mを採用
MacBook Proのインターフェイスの配置は従来製品と同じ。やはりUSB 3.0に対応する13型MacBook Proの主なスペック。ハイライト部分が従来モデルとの変更点15型MacBook Proの主なスペック。ハイライト部分が従来モデルとの変更点

●次世代MacBook ProはRetinaディスプレイを採用してゼロスピンドルへ

 発表の本命は続いて紹介されたMacBook Proである。従来モデルと同名であるが、あえて“Next Generation”(次世代) MacBook Proとして発表された。「MacBook Pro with Retina Display」という表記もあるが、便宜上本稿では以下、次世代MBPとして紹介を続けていく。

文字どおり、“Next Generation”(次世代) MacBook Proを発表MacBook Airとほぼ同じ厚さになったパネルの狭額縁化などで、これまでで最も軽いProモデルと紹介
15.4型で、2,880×1,800ドット。220ppiのRetinaディスプレイiPhoneやiPadの時と同様に、文字を映しだして高精細さを紹介1,920×1,080ドットのフルHD動画編集でもドットバイドットでデータの確認が可能になる
Photoshop、Aperture、AutodeskなどがRetinaディスプレイのキラーコンテンツになる非ドライブ形状のSSDストレージを採用する
クアッドコアのモバイル向けIvy Bridgeを搭載。BTO最上位ではTurbo Boost時に3.7GHzディスクリートGPUは、NVIDIAのGeForce GT 650M。Keplerアーキテクチャを採用

 次世代MBPの最大の特徴はiPhone、iPadに続いて「Retinaディスプレイ」を採用したこと。15.4型のパネルは2,880×1,800ドットを表示する。SandyBridge世代や前述の15型MacBook Proの1,440×900ドットの縦横それぞれ2倍の解像度で画面表示を行なう。画面のアスペクト比は従来同様に16:10が維持される。

 プロセッサはIvy Bridgeの2.3GHz/2.6GHzクアッドコアi7。BTOには2.7GHzがあり、Turbo Boostを使った最大のクロック周波数は3.7GHzとなる。Appleは明らかにしていないが、想定されるCPUのモデルナンバーはそれぞれ、3615QM、3720QM、3820QMで、いずれもTDPは45W。Intel HD Graphics 4000の統合グラフィックスに加えて、ディスクリートGPUにはNVIDIAのGeForce GT 650Mを搭載。同GPUはKeplerアーキテクチャを採用していることもあわせて紹介されている。

 外観は従来製品とおなじくアルミニウム一体形成のユニボディ。内蔵のストレージをドライブ形状ではないSSDにすることと、光学式ドライブを廃止することで、MacBook Airの最厚部と同等の厚さ、0.71インチ(1.8cm)をMacBook Proで実現している。ただしAirのようなくさび型ではなく前後とも均一の厚さで、光学式ドライブ付きのMacBook Proと比べて約3/4の厚さと紹介された。重量は4.46ポンド。国内サイトでは2.02kgと紹介されている。

デザインコンセプトは従来モデルを継承。ディスプレイパネルがかなり薄くなった展示機はすべてアクリルの円筒に納めた形で展示されていた4つのゴム足はついているが極めて薄いタイプ。エアフローよりも滑り止めの意味合いが強いものと想像される。向かって左側面に集中していた各種インターフェイスの配置は、Airと同様に左右に振り分けられた。向かって左側面には、薄く再設計されたMagSafe2電源コネクタ、Thunderbolt×2、USB 3.0、ヘッドフォンジャックが搭載される。右側面にはUSB 3.0、標準サイズのHDMI、SDXC対応カードスロットが用意される
搭載されるインターフェイス。Airと同じように、両側面に分配される形になった向かって左側面のインターフェイス。薄く再設計されたMagSafe2電源コネクタと、Thunderboltが2基、USB 3.0、そしてヘッドフォンジャック向かって右側面のインターフェイス。USB 3.0、HDMI、SDカードスロット(SDXC対応)
やや上からみた左側面の様子。本体の小型化でスピーカーのあるパンチング部分がやや狭くなった従来のFireWire 800とGigabit Ethernetは、Thunderboltからのコンバータを周辺機器として用意する価格は2,199ドルから。国内のオンラインストアでは標準構成で2.3GHzと2.6GHzの2つが用意されており、それぞれ184,800円と238,800円の価格設定

 搭載がなくなったインターフェイスはFireWire800とGigabit Ethernetだが、いずれも周辺機器としてThunderbolt to FireWire800、Thunderbolt to Gigabit Ethernetのコンバータが用意される。

 本体のエアフローは、底面とのテーパー部分を使って、両サイドに吸気用のスリットを設置。ボディとディスプレイのヒンジ部分に設けられたスリットから排気する仕組み。エアフローのために本体内に2つのファンを持つが、ファンの回転数は非対称で制御される模様だ。また、前面のFaceTimeカメラに加えてマイクロフォンはステレオ対応している。

ビデオによる本体内エアフローの紹介。両側面のスリットから吸気、背面より排気テーパー部分を利用し、上部からは見えないかたちで用意されている吸気用のスリット。両側面に配置されている本体背面にある排気用のスリット
側面のスリットと各種インターフェイスの配置はこのような位置関係になっている剛性テストの様子もビデオを使って紹介された本体の内部構造。Air同様にバッテリの占める割合が大きい。メモリは直付けのようで、最大容量の16GB化にはBTOが必要と思われる

 次世代MBPの価格は2,199ドルから。日本国内では2.3GHz/8GBメモリ/256GB SSDと、2.6GHz/8GBメモリ/512GB SSDの2つが標準モデルとして案内されており、それぞれ184,800円と238,800円の価格設定。上位を2.7GHz/16GBメモリ/768GB SSDの最強構成へとカスタマイズした場合には321,800円となる。

 この次世代MBPも同日付で販売を開始する。なおプリインストールされるOSはいずれも現行のOS X Lionで、7月リリースがアナウンスされたOS X Mountain Lionへは無償アップグレードの対象となる。

 基調講演終了後のロビーには、アクリルケースに入った状態で数台の次世代MBPが展示されていた。会場近隣にある同社の旗艦店舗であるApple Store San Franciscoにも足を運んでみたが、現地時間11日午後1時時点では未入荷とのことである。

(2012年 6月 12日)

[Reported by 矢作 晃]