【IFA 2011レポート】
スマートフォンの画面をHDMI出力
~会場内で展示された周辺機器とデジタルガジェット

会期:9月2日~7日(現地時間)
会場:Messe Berlin



●スマートフォンの画面を、HDMI入力を持つ大画面TVへ出力

 IFA 2011と併催されたShow Stoppersと、IFA 2011の展示ホールの両方で出展を行なっていたMHL(Mobile High-Difinition Link)。スマートフォンのMini/MicroUSB端子から最大1080pの映像信号と、7.1chの音声信号をHDMIへと出力して、大画面TVなどにスマートフォンの画面を表示する技術のコンソーシアムだ。

 展示されていたアダプタは主にKANEXのもので、一端がスマートフォンに接続するMicroUSB端子、一端がHDMIのメス型になっている。アダプタにはもう1つMicroUSBの入力がついているが、これはアダプタに5V電源を供給するためとのこと。アダプタ内にはSilicon Image製のチップが入っており、スマートフォンのUSB端子からの映像/音声データをHDMI信号に変換する仕組みになっている。PCユーザーであればUSBから外部モニタへ映像出力を行なうDisplayLinkの、スマートフォン版と考えるとわかりやすいかも知れない。

 なお、HDMIへの映像出力にあたっての著作権保護には、HDCPが利用されている。MHLの機能としては、スマートフォンを使ったTVのリモートコントロールや、スマートフォン側への充電なども含まれる。

 一部の高機能スマートフォンやタブレット製品には最初からHDMI出力が標準/Mini/MicroHDMI端子で搭載されている場合もあるが、普及価格帯の製品では少なめということで、スマートフォンの普及と大画面表示へのニーズが進めば需要の見込める市場となる見通し。

 MHLはコンソーシアムとして規格の標準化を図っており、現在はMHLプロモーターとしてNokia、Samsung、Silicon Image、ソニー、東芝などが参加。ほかにもAdopter Membershipとして、Acer、Dell、Foxconn、HTC、Lenovo、LG電子、Pantechなど多数の端末機器メーカーやPC関連企業が名前を連ねている。中国パビリオンなどでは、ほかにも対応アダプタやケーブルなどの出展を行なっている企業があった。MHLは、10月に幕張メッセで開催されるCEATECにも出展を行なう予定としている。

Samsung MobileのGALAXY SのMicroUSB端子からゲーム画面をHDMI対応ディスプレイに出力している様子アダプタの接続部分。HDMIのメスコネクタにHDMIケーブルを繋いで映像/音声出力を行なう。横にあるUSB入力は5V電源をアダプタに供給するため展示に使われていたKAMEXのアダプタ。すでに出荷段階にあるとのこと。プロモーターとしては、Nokia、Samsung、Silicon Image、ソニー、東芝などが参加
Show Stoppersの会場では、異なるメーカー製と思われるアダプタも展示されていた一端がスマートフォンに接続するMicroUSB端子、一端がHDMIメスの接続アダプタ。構造は異なるが、やはり電源供給用のMicroUSB入力がアダプタ側にあるこちらはアダプタではなくケーブル製品。一端がMicroUSB、一端がHDMIオスになっている。コントロールチップはHDMIのコネクタ部分にあるものと思われる

□MHLコンソーシアムのサイト(英文)
http://www.mhltech.org/

●電子黒板「Boogie Board」にPDFでの保存機能を追加

 電子黒板「Boogie Board」シリーズの新製品「Boogie Board Rip」。待望のメモを保存する機能が追加されている。消す「erase」ボタンのみが付いていた従来モデルとは異なり、保存する「save」ボタンと側面にUSB端子が追加された。PCを接続して、PDF形式で手書きメモを保存することができる。

 待機時に電力を消費しない電子インクタイプのLCDは9.5型で、現在販売されている8.5型と10.5型の2製品のちょうど中間に位置する大きさ。発売は11月1日を予定しており、現在は発売元のImprov Electronicsのサイトでプレオーダーのためのメールアドレス登録を受け付けている。価格は米ドルで99ドルを予定。

 従来モデルは日本国内で人気製品となったこともあり、日本市場への販売意欲も高い。9月6日から東京ビッグサイトで開催されている東京インターナショナルギフトショーへも出展しているという。

書いたメモをPDF形式で保存できる新製品「Boogie Board Rip」。ニュースリリースによると、Ripは“Record. Image. Preserve.”の略とのことこちらは書いて消すだけの8.5型「Boogie Board」。人気商品となっただけに、バインダーへのアタッチメントや固定版などの純正アクセサリも増えた

□Improv Electronicsのサイト(英文)
http://www.improvelectronics.com/us/en/

●吹き出し型のビデオメモパッド「Play」

 こちらはビデオのメモパッド「Play」。Native Unionが発売する。本体には録画、再生、削除の3つのボタンのみが付いていて、本体正面にあるインカメラとマイクロフォンを使ってメッセージを録画する。録画した日時と録画時間も記録される。メッセージは任意に再生と消去が可能。保存されたビデオメッセージは、再生ボタンで再生。本体にスピーカーも内蔵している。本体のデザインはメッセージを伝えるという意味合いから、吹き出し型になっているのが特徴。

 ディスプレイは2.4型。256MBのメモリを搭載しており、合計3分までの複数メッセージを録画、保存可能。単4電池3本で動作し、スタンバイなら40日、録画/再生なら3時間継続利用できる。価格は49.99ユーロ。ヨーロッパだけでなく世界各国で発売を予定。発売時期は10月頃になるという。

録画して再生するだけという簡単なビデオメモパッド「Play」。家族間の伝言、あるいは面と向かっては言いにくいメッセージを録画して渡すといった使い方も?

□Native Unionのサイト(英文)
http://www.nativeunion.com/

●ポータブルデバイスとの親和性を高めたパーソナルクラウド「Pogoplug Mobile」

側面にSDカードスロットが付いてコンパクトになった「Pogoplug Mobile」

 既存のUSB HDDなどのストレージに接続するだけで簡単にパーソナルクラウドサービスが構築できる点が日本でも人気の「Pogoplug」。IFA 2011にあわせて新製品として発表された「Pogoplug Mobile」は、スマートフォンなどのポータブルデバイスとの親和性を従来モデル以上に高めているのが特徴。

 iOSデバイス、Android向けの新しいAppが提供され、新Appではスマートフォン内のデータの自動バックアップ機能などが追加される。本体にEthernetケーブルとストレージを繋いで登録するだけという簡単なセットアップ手順は従来モデルと同様。「Pogoplug Mobile」ではSDHCカードスロットも本体に搭載しており、スマートフォンのバックアップ目的程度であればSDカードだけの利用でも運用を始めることができる。ストレージ内データの参照や、映像、音声のストリーミング機能などは従来モデル同様に利用できる。

 価格は米ドルで79.99ドル。米国では10月1日に出荷を予定しておりプレオーダーを受け付けている。日本市場でも販売されるとのこと。国内向け価格は未発表。


□Pogoplug Mobileのサイト(英文)
http://www.pogoplug.com/mobile/

●磁石でくっつく充電ステーション「ZIP」

 磁力で接続するタイプの充電ステーション「ZIP」。MiniUSB、MicroUSBと言った端末側端子とは反対側に磁石で接着する接点を搭載。近づけるだけでくっつくことで充電がスタートする。充電は端末側にケーブルを接続するのが通常の充電イメージだが、これはケーブルが極端に短いこともあって、端末をケーブルごと充電台へと接続するイメージだ。端末側のコネクタは機種にあわせて数種類が用意されるということだが、現在はMicroUSBとMiniUSBのコネクタを製品化。iOSデバイス用や他の独自コネクタを持つ製品向けは現在開発中で参考展示となっている。理由は主にライセンス問題と想像される。

 16の接点を持つ「ZIP USB」は、MicroUSB、MiniUSBのコネクタを各1個含めて米ドルの79.95ドルで販売を予定。コネクタは単体でも別売され、各12.95ドルとのこと。4接点の製品は現時点では開発中だが、やはりコネクタ2つを同梱して59ドル程度で市販したいと考えているという。

 説明によれば、日本での販売も計画中とのこと。国内販売開始時期や価格は未定。

磁石で充電用の接点をくっつける「ZIP」。4コネクタのこちらはまだ製品化されていない。端子側も製品化されているのはMicroUSBとMiniUSBだけで、iOSデバイス用や他製品向けのコネクタは参考展示MicroUSB、MiniUSBの充電用コネクタ。いずれも本体に同梱されるほか、充電端末の増加に備えてコネクタ単体も別売されるという
充電ケーブルのコネクタは短め。充電のためにケーブルをつなぐと言うよりも、製品によっては繋げっぱなしの状態も意図している様子全部で16個の接点があるが、やはり容量的にも同時充電が可能なのは4~5個程度までとのこと。適当に近づけるだけで、簡単に充電が始まることがメリット

□The Joy Factoryのサイト(英文)
http://www.thejoyfactory.com/

 その他、Android向けイヤフォンやスピーカー、会場の話題は写真でお伝えする

Klipschのカナル型イヤフォンS4が、Android対応のコントローラ+マイクロフォンを搭載して「Klipsch IMAGE S4A」として登場。Android MarketからKlipsch Control Appをインストールすることで通話や音楽再生の操作に加え、リダイヤル、ボイスサーチ、ボイスコマンドと言ったAndroidのコントロール機能に対応する継続するAppleとSamsung間のデバイスデザインの訴訟問題。Appleの仮申し立てをドイツ地裁が認めたことによって、展示準備がなされていたSamsung ElectronicsのブースからGALAXY Tab 7.7の展示がなくなった
オランダの家電大手Philipsの、Android搭載スマートフォン対応のドック&スピーカー3種。上位モデルには専用のAppが用意され、端末から機器の操作も可能

(2011年 9月 7日)

[Reported by 矢作 晃]