【COMPUTEX 2011レポート】
【グランドハイアット台北スイート編】
環境を問わないSSD+HDDカードからAndroid用PowerDVDまで渾然

SSDをキャッシュとして利用するPCI Express x4接続のハイブリッドHDD「RevoDrive Hybrid」。4Kランダムライトが30,000IOPS。リード/ライト速度は暫定値としたがリード575MB/sec、ライト500MB/secが提示されている

会場:グランドハイアット台北



 COMPUTEX TAIPEIにおける従来からの会場である台湾貿易センター近くにあるグランドハイアット台北では、例年、多くのメーカーが商談のためのスイートルームを設ける。COMPUTEX TAIPEIには出展せずに、スイートルームでのみ新製品を展示するメーカーも少なくなく、COMPUTEX TAIPEIの一部といっても差し支えない場だ。

 PCパーツからソフトウェア、チップのベンダーまでが密集するグランドハイアット台北内に展示されている製品をピックアップして紹介したい。

●OCZが“どんなチップセットでも利用可能な”SSDキャッシュ型HDDを展示

 OCZ Technologyは、PCI Express x4接続で利用するSSDキャッシュ機能付きHDD「RevoDrive Hybrid」を展示。これは同社のPCI Express x4接続SSD「RevoDrive」に、2.5インチHDDを載せたような形状。ベースとなっているSSDは「RevoDrive 3」(詳しくは後述)で、コントローラにSandForceのSF-2200シリーズを用いたものとなる。RevoDriveにはシングルボードのモデルのほか、アドオンカードを搭載して高速化したモデルがあるが、RevoDrive Hybridはアドオンカード部分に2.5インチHDDを搭載した格好となっている。

 このキャッシュ技術については、NVELO社が開発したDataplexというソフトウェアを用いているという。SSD部分のハードウェア仕様はRevoDriveに酷似するが、このソフトウェアをファームウェアに組み込んでいる点で、まったく同一の製品ではないとしている。

 HDDのアクセスをSSDでキャッシュする機能としては、Intel Z68チップセットがサポートするIntel Smart Response Technologyと同じコンセプトの製品といえる。Intel SRTに対する優位性としては、Intel Z68に限らずどんなチップセットでも利用可能である点、キャッシュソフトウェアがより効率が良く高速に動作するものである点の2つを挙げている。

 製品は500GB HDD+60GB SSDと、1TB HDD+120GB SSDの2モデルを予定。価格帯は前者が400ドルから、後者が500ドルからを想定している。登場は7月中旬以降が予定されている。

Intel Z68でなくとも動作することを示す意味も込め、Intel P67を搭載するASUSTeKのP8P67 PROに接続しての稼働デモが行なわれている同一プラットフォームでストレージのみを変更してPCMark VantageのHDDスコアを示したもの。キャッシュソフトウェアの効果、SSDのパフォーマンスによって、高パフォーマンスであることを示している
同一環境に接続したPCMark Vantageのテスト結果。こちらはHDDを対象とした結果で、HDDスコアは1,701こちらがRevoDrive Hybridを対象ドライブとした場合の結果で、HDDスコアは42,730となっている

 先に少し触れたRevoDrive 3シリーズであるが、こちらはコンシューマ向けに提供されるPCI Express x4接続SSDの新モデルとなる。コントローラをSF-1200からSF-2200に変更したのが従来モデルとの大きな違い。

 RevoDriveにはシングルカードのモデルと、アドオンカードを搭載してRAID構成とすることで高速化・大容量化したRevoDrive X2の2モデルが存在するが、RevoDrive X2とRevoDrive 3のシングルカードモデルが同程度のパフォーマンスとなる。RevoDrive 3 X2はさらに高速ということである。

 こちらは6月末にも発売したいとしており、価格はシングルカードのRevoDrive 3が240GBモデルで599ドル、RevoDrive 3 X2が同じく240GBで699ドルを予定している。

SandForceのSF-2200シリーズを2基搭載するPCI Express x4接続SSD「RevoDrive 3」。性能公称値はリード900MB/sec、ライト700MB/sec、4Kランダムライト120,000IOPSこちらはアドオンカードを搭載した「RevoDrive 3 X2」。性能の公称値はリード1,500MB/sec、ライト1.200MB/sec、4Kランダムライト200,00IOPSとなっている

●マルチディスプレイ出力のGeForceシリーズなどを展示したGalaxy

 GeForceシリーズ搭載製品を多く発売するビデオカードベンダーの1つであるGalaxy Microsystemsのスイートでは、最大5画面出力に対応するGeForce GTX 560 Ti搭載製品「Galaxy GeForce GTX 560 Ti MDT X5」、最大4画面出力が可能なGeForce 210搭載製品「Galaxy GeForce 210 MDT X4」を展示した。

 Galaxy GeForce GTX 560 Ti MDT X5はGeForce GTX 560 Tiで5画面出力を行なうということで、3月のCeBITでZOTACが展示したMultiviewモデルに近いコンセプトの製品といえる。Galaxy製品は、GeForceが持つ2つのディスプレイ出力パイプラインのうち、一方をIDT製のマルチモニタコントローラ「VMM1400」に接続。そこからHDMI×4に分岐して出力する。もう一方のパイプラインからはDVIとDisplayPortが提供される。こちらは排他利用でどちらかの端子へ接続してディスプレイ出力し、1+4画面で計5画面となる。

 1+4画面という表現をしたのは、IDT VMM1400側へ接続する4画面は1ディスプレイという取り扱いになるためだ。例えば4画面を縦一列またはスタック設置し1つの高解像度ディスプレイとして扱ったり、4画面のクローン表示は可能だが、各ディスプレイを独立して利用することはできない。また、もう片方のディスプレイ出力パイプラインから利用されるDVI/DisplayPortは独立しており、高解像度ディスプレイ化の際の1枚に加えるといったこともできないという。

 こうした仕様にしたのは、本製品がGeForce GTX 560 Tiを搭載するゲーム用途を意識した製品であるためで、ゲームを大画面で楽しみたいユーザーにとっては、この仕様が良いと判断したとのことだ。

 一方、Galaxy GeForce 210 MDT X4はローエンドGPUを搭載した製品ということで、オフィスユースやデイトレード用途などを意識したものとなる。ディスプレイ出力はDVI×4で、これらは独立して利用が可能だ。ディスプレイ出力パイプラインの分岐には同じくIDT製コントローラが使われるが、こちらは「VMM1402」が用いられている。

 両製品とも動作クロックなどは定格のまま。各製品のステータスについては、前者がスケジュール、価格ともに未定。後者は夏ごろには2万円を切る価格で発売したいとしている。

最大5画面出力が可能なGeForce GTX 560 Ti搭載製品「Galaxy GeForce GTX 560 Ti MDT X5」出力インターフェイスはMini HDMI×4と、DisplayPort、DVI。後者2つは排他利用となる動作クロックなどは定格で、電源端子も標準のGeForce GTX 560 Tiと同じ6ピン×2
クーラーは同社製品ではハイエンドモデルに搭載される4本のヒートパイプを用いたものを搭載しているというHDMI×4はIDTのVMM1400によって出力。1ディスプレイとして扱われ、4画面を使った高解像度環境またはクローン出力となる
こちらはDVI×4出力で、各ディスプレイを独立して利用可能な「Galaxy GeForce 210 MDT X4」こちらは同じIDTのマルチモニタコントローラでも、VMM1402を2個搭載している

 GalaxyではイスラエルのAMIMON社が開発したワイヤレスディスプレイ転送技術「WHDI」を採用したビデオカードを2011年初頭に発売。この技術の採用に積極的だ。

 今回は、より汎用性の高いWHDIとして、ドングル状の「WHDI Stick」を展示。HDMI端子へ接続できるトランシーバとなっており、PCに限らず、民生用のBD/DVDプレーヤー、ゲーム機などでも利用が可能としている。また、DVI→HDMI変換アダプタを介して、DVIからの映像出力をWHDI Stickで転送することも可能という。

 下記の写真ではWHDI StickにUSBケーブルが接続されているが、これは単に電源を供給するためのもの。家庭用コンセントから電源供給をするためのケーブルが付属する。また、HDMI端子付近のシャシーやI/Oと干渉する場合に備え、短いHDMI延長ケーブルを付属させるとしている。

 こうしたワイヤレス転送の類似技術としてはIntelが提唱するWiDiが挙げられるが、WiDiに対する優位性として、レイテンシが小さいことでゲーム用途も実用的であること、プラットフォームを問わず利用できること、現時点でHDCPに対応していることを挙げている。

 製品はWHDI Stickとレシーバのセットを夏ごろには発売予定。価格は2万円以下を見込んでいる。ちなみに、1つのレシーバで複数のトランシーバからの受信が可能で、リモコンを使って入力を切り替えることができるが、現時点ではWHDI Stick単体の発売は予定されていないという。

HDMI端子へ接続してワイヤレス転送を行なう「WHDI Stick」。USBケーブルは給電だけに利用されているこちらはTV/ディスプレイへ接続するレシーバ。複数の信号を受信し、リモコンを使って入力切り替えが行なえる

 このほかコンシューマ向け製品ではないが、HQVプロセッサを搭載したGeForce GTX 550 Ti製品「Galaxy GeForce GTX 550 Ti HQV」も展示された。GeForce GTX 550 Tiからの出力をHQVプロセッサを通して専用のHDMI出力からTVなどに映し出せる。他機器から出力されたHDMI信号を入力し、本製品のHQVプロセッサで処理した上で出力することもできるほか、HQVプロセッサを通さずに出力もできる。

 現在はプロトタイプモデルでUSBポートが装備されており、これを通してPCから画質などのコントロールをするデモが行なわれていた。ただし、このUSBポートは製品化までに排除され、PCI Express経由で行なえるようにするとのこと。

 製品化の時期や価格、販売ルートなど、現時点ではすべて検討中の段階としているが、基本的にはプロユースに向けて販売される予定だ。

HQVプロセッサを搭載する「Galaxy GeForce GTX 550 Ti HQV」写真上部のHDMIがHQVプロセッサにつながるHDMI入出力。下部のDVIやDisplayPortからはHQVプロセッサを通さずに映像出力されるデモ機の接続。Mini USBポートに制御用のケーブルが接続されているが、製品版では排除される予定
コントロールソフト。スライダーを使って、再生中の映像の調整が行なえるHQVプロセッサのダイヤグラム。GPUからの出力だけでなく、外部からのHDMI入力に対して処理することもできる

●NVIDIA ESA風のソリューションを提供するCorsair

 Corsairのスイートでは、この夏に提供を開始する予定というクーリング管理ソリューション、新作ケースが展示された。

 クーリング管理ソリューションは「Corsair Link」と呼ばれ、ケース内全体のファンや温度のセンシング、ファン回転数の制御をトータルに行なうことができるというもの。以前提供されていたNVIDIA ESAに似たシステムといえる。

 必要なハードウェアはPCとUSB接続して利用するユニット。これにはファン端子やセンサーが取り付けられており、PCへのセンサー情報の送信、PCからのファン回転数制御などを行なう。ユニットはシャドイベイに取り付けられる形状で提供される。

 ちなみにセンシングやコントロールは、汎用的な入出力のほか、Corsair Link専用のデジタル入出力も提供される。これはCorsairより発売される対応製品で利用可能だ。

 管理ソフトウェアはケースを模した表示や、CPU・GPU・HDDといったグループ単位などで表示が可能。設定したパーツ温度のしきい値に合わせてファン回転数を変化させることができる。また、このほかにも特定温度に達した場合はPCをシャットダウンする、メールで通知する、といったさまざまなオプションが用意されるとしている。さらに、LEDユニットも発売される予定で、温度によってLEDの色を変化させることもできる。

Corsair Linkのコントロールユニットのモック。このように3.5インチHDDのサイズで提供されるこちらがデモ機に搭載されていたコントロールユニットソフトウェアの画面。レイアウトに合わせて表示させている例
こちらがCPUやGPUなどでグループ分けして表示している画面HDDのファン回転速度をCPU温度に連動させて制御するという例。制御方法はカスタム設定のほか、いくつかのプリセットも用意されているこれはLEDユニットのデモ。CPU温度が低い状態では青く光るように設定している
CPU温度が上がるにつれ、だんだん赤色に近い色へと変化していくこのLEDユニットは、どのような色で光らせるかの設定も可能

 また、コストパフォーマンスをアピールするPCケースの新製品も2製品を展示。「500R」と「400R」の2製品だ。

 500Rは129ドルで提供されるケース。最大で10基のファンを搭載できるほか、シャドウベイの上部を取り外して、全長の長いビデオカードを容易に取り付けることが可能といった仕組みが盛り込まれている。取り外したシャドウベイは電源後方部に装着することができるので、シャドウベイの数を削減せずにこうした仕組みを活用できるとしている。またフロント部にはスライド式のファンコントローラも装備している。

 400Rはさらに安価な99ドルで提供される製品。500Rに比べるとやや小型の製品なケースながら、ケース内の広さは同等を保っている。水冷の大型ラジエータを搭載可能な上部ファン開口部、上部に持ち運び用の取っ手を備える点などが外観上の特徴。また、ファンが吸い込むホコリを掃除しやすいよう、脱着が容易なフィルタを充実させている。

129ドルで発売される「500R」。同社のPCケースブランドではCarbideシリーズにラインナップされるケース内部。シャドウベイは上部のみを取り外し、電源後方部に付け替えが可能。これにより長いビデオカードの装着に適応できるフロントIO。右上にある小さなスライドバーがファンコントローラとなる
側面パネルには200mmファンを装着した状態で展示されていたが、140mmまでのファンを2基装着することもできるこちらはより安価な99ドルで発売される「400R」ケース内部。拡張ベイの数などは500Rと同じだが、シャドウベイのフレームは一体化している
フロントI/O。インターフェイスは500Rと同等ながらファンコンを搭載していないこちらは400Rのみのギミックとなるが、前方にくぼみを設けて、持ち上げやすいようにしている。メンテナンス性向上のための設計の一つだ底面にはスライド式のフィルタを装備。フロントパネル内側にはプラスチック製のフィルタを装備

●多数のプロトタイプPCパーツを持ち込んだZalman

 Zalmanのスイートは、CPUクーラーやPCケースなどが展示された。現状ではプロトタイプモデルと述べるモデルが多く、開発中の製品を積極的に持ち込んでいるのが特色になっている。

 CPUクーラーでは、120mmファンを3基搭載する「CNPS12X」、120mm角を1基搭載する「CNPS11X Performa」の2製品を披露。いずれも夏ごろの投入が予定されている。

 CNPS12Xは球体のフォルムを特徴としており、前後および中央部に計3基の120mm角ファンを装備。ヒートシンクはベース部を含めてすべてアルミ製。これは銅を含めることで重量が増すことを避けている。その重量は1kg。銅で設計した場合に1.5kgを超えてしまったという。

 本体サイズは151×132×153mm(幅×奥行き×高さ)で、ファンの回転数は780~1,200rpm、ノイズレベルは19~25dBAとなっている。

 CNPS11X Performaは、先月発売されたCNPS11X Extremeの廉価版となるモデル。V字型ヒートシンク、ヒートパイプそれぞれにファンのエアがダイレクトにあたる、といった設計思想はそのまま。ヒートパイプをCPUへ直接触れさせる設計への変更も行なわれた。一方、廉価化の要素としては、ヒートパイプがExtremeの5本から4本に削減されたほか、ブラックアルマイト塗装と化粧カバーをなくしたシンプルなデザインとなった点が挙げられている。

 重量はExtremeの600gに対して、550gとわずかに軽量化している。本体サイズは135×80×154mm(同)。ファンの回転数は1,000~1,600rpm、ノイズレベルは17~26dBAとなっている。

120mm角ファンを3基搭載するサイドフロー型CPUクーラー「CNPS12X」CNPS12Xの上部からカット。写真左方向から右方向へとエアーが流れるヒートパイプは6本。CPUと直接触れる設計になっている
こちらはCNPS11X Performa(左)。Extremeモデルと比べて化粧カバーがないほか、ヒートパイプが5本から4本へ削減されているベース部の設計は大きく変更され、ヒートパイプをCPUにダイレクトに接触させるCNPS11X Performaのヒートシンク。V字型ヒートシンクで、ファンからの風をすべてのヒートパイプに直接当たるようにすることで冷却効率を高める思想だ。なお、金属のバリが目立つが、プロトタイプなので製品版はもっと綺麗な仕上げになるとしている

 ケース類では、液晶のスタンド状のMini-ITX対応シャシーが展示された。これはスタンドの裏側にマザーボードやドライブ類、電源を取り付けられるように設計したもの。ネジ穴は多数空いており、フレームをフレキシブルに動かすことで、互換性を高めているという。

 こちらもプロトタイプで、発売は未定。ただ、今回の展示で好意的な反応を得られていることから、前向きに製品化を検討しはじめており、早ければ2~3カ月で製品化にこぎつけたいとしている。価格帯は電源付きで150ドル程度に抑えたいとしている。

 また、デザイン重視で開発中というハイエンドユーザー向けケースのプロトタイプも展示されていた。こちらは右側面から底面にかけてと、左側面から上面にかけてのそれぞれに、5mm厚のアルミの一枚板で成形しているのを特徴としている。こちらの発売は未定とのこと。

液晶スタンド状のPCケース。フロントには光学ドライブやフロントIOを備える底面にマザーボードや電源、ストレージ類を装着していることが分かる
開発中のハイエンドユーザー向けPCケース。上下左右の面は2枚の1枚板アルミで成形している。左側面から上部にかけてパンチデザインの板になっており、内部のLEDの光が漏れるようにしているケース内部も金属の質感を感じさせるデザインとしている

 このほかアクセサリ類として、iPad用のBluetoothキーボードを展示した。前後にスライドするキーボードと、iPadの角度調整が可能なスタンドを一体化。キーボードを奥へスライドさせて、持ち運び用のiPadケースとしても使えるようにしている。

 Bluetooth接続なので、例えばAndroidタブレットなどでも利用できなくはないが、液晶サイズによっては角度調整ができないことや、ケースとしての利用ができないことから、基本的にはiPad用として計画しているとのこと。こちらもプロトタイプではあるが、製品化は決まっているという。

iPad用として計画されているBluetoothキーボード。キーボードは前後にスライドできるほか、iPadは縦横設置、角度調整が可能キーボード。上部のConnectボタンを押すことで、iPadとのペアリングが行なわれるキーボードを奥にスライドさせ、iPadを取り付けたまま折りたたみ、キャリングケースとしてそのまま利用できる

●CyberLinkがAndroid用PowerDVDをデモ

 CyberLinkのスイートでは、COMPUTEX TAIPEIに合わせて発表したAndroid用のPowerDVDのデモを行なった。

 「PowerDVD for Android」は多彩な機能を持っており、Androidデバイス内のメディアファイルを再生するだけでなく、DLNA経由で外部ストレージ内のメディアファイルを再生したり、逆にAndroidデバイス内のメディアファイルをDLNA対応機器へ配信することもできる。このDLNA経由の配信ではDTCP/IPを利用した再生もサポートされるが、デモ機の不調により、その動作を確認することはできなかった。

 さらにPC上のPowerDVDを、ネットワークを通じてリモートコントロールする機能も備わっている。先のDLNA配信に近い機能ではあるが、Androidデバイス内のメディアファイルをPCへ転送し、PowerDVD 11上で再生することも可能。この場合、PC側でデコードを行ない、映像エンハンスメントや手ぶれ補正再生などでPowerDVD 11側の機能を使って再生が行なえるのが特徴となる。利用にあたっては、PC側にPowerDVD 11、Androidデバイス側にPowerDVD for Androidがそれぞれ必要になるとしている。

 Android用ソリューションとしては、NVIDIA Tegra 2のハードウェアアクセラレーションを用いた2D→3D変換や、ソフトウェア処理のみで2D→3D変換をリアルタイムに行なうソフトウェアのデモも行なわれている。そのソフトウェア変換の機能を用いて、裸眼3D表示が可能なデバイスのサンプルも開発。このデモも実施した。

 PowerDVD for Androidは、まずはOEM向けに提供されるが、将来的にはAndroidマーケットでの配信も考えているという。個人ユーザー向けに無償提供するか、有償提供となるかなど、詳細は一切決まっていないとしている。

PowerDVD for Androidのメディアライブラリ画面こちらはDLNA対応の外部ストレージを参照する画面Android内のデバイスをDLNA対応のテレビへストリーミング配信する機能も持つ
AndroidデバイスからPC上のPowerDVD 11をリモートコントロールするデモAndroidデバイス上を使って、PCのマウスカーソルを操作することができる
Power DVD11とAndroidデバイス間はパスコードを用いてペアリングされるこちらは裸眼3D液晶内蔵Androidデバイス上で、PowerDVD for Androidを用いて2D→3D変換をリアルタイムにデモしているところ。2D→3D変換はソフトウェア処理で行なっていることを強調していた

 PC向けでは、フォトレタッチソフトである「PhotoDirector 2011」のデモを実施。PhotoDirector 2011は、5月31日より無償ベータプログラムのダウンロードを開始しており、今月中にも正式版をリリースする予定になっているという。価格は99ドル。

 コンシューマユーザーが使いやすいAdobe Lightroomのような写真管理を行なえることをコンセプトに作られており、デモにおいても、エフェクトは豊富ながら、簡易な操作でレタッチができる様子を伝えた。

 また、適用したエフェクトをすべて記録しておき、プリセットとして保存。それをCyberLinkが提供する「directorZone」で共有することができる。上級ユーザーのプリセットをダウンロードして自分の写真に適用することも可能で、レタッチが苦手な人であっても、類似写真のプリセットを用いることで、簡単によりよい写真へと仕上げられるとアピールした。

PhotoDirector 2011のユーザーインターフェイス。下部にギャラリー、左側ペインにレタッチ機能というレイアウトレタッチはできるだけ簡単に行なえるようにしている。画面は写真下部からグラデーション状に輝度と色味を変更しようとする操作をしているレタッチ操作のプリセットとして記録し共有が可能。他の人が共有したプリセットをダウンロードし、自分の写真に適用することもできる

(2011年 6月 2日)

[Reported by 多和田 新也]