世界第3位のPCメーカーであるAcerは、近年PCだけでなくモバイル端末のビジネスも展開しており、Mobile World Congress(MWC)にもブースを構えて、スマートフォンやタブレットなどの展示を行なっている。今回のMWCには、ニューヨークの発表会で概要を明らかにしていたタブレット3製品を改めて展示し、詳細なスペックや実際に動作する様子などが公開された。
さらに、スマートフォンでは、ユニークな縦長のディスプレイを備えた製品を展示し、Webブラウザなどによるコンテンツ閲覧時における優位性をアピールした。
●7型と10型のマルチタッチ液晶を採用したHoneycombタブレットAcerのタブレット(ICONIA TABというブランド名が採用されている)はAndroid 3.0(Honeycomb)ベースのものが2製品と、AMDのBrazosプラットフォームを採用したWindows 7ベースの1製品という合計3製品が展示されていた。
Android 3.0ベースの製品としては7型のパネルを採用した「ICONIA TAB A100」、10型の「ICONIA TAB A500」の2製品が用意されており、それぞれ実際に触れる状態で展示されていた。ただ、展示機にインストールされていたのはAndroid 3.0ではなく、Android 2.2(Froyo)であり、すべての機能を試すことができる状態ではなかった。
ICONIA TAB A100は7型のマルチタッチ液晶を搭載し、液晶の解像度は1,024×600ドット。マルチタッチは5点に対応可能で、複数タッチが必須なゲームなどにも対応できる。プロセッサにはTegra 250/1GHzを搭載しており、背面に500万画素、前面に200万画素のデジタルカメラ(単焦点)を備えている。
内蔵メモリはRAMが512MB、内部ストレージが8GBとなっており、microSD(最大32GB)のスロットを利用してストレージ容量を増やすことが可能。さらに横の端子類には、microUSBの他に、mini HDMI端子を備えており、HDMIケーブルを経由してディスプレイやTVなどに映像を出力できる。
対応する無線は、HSDPAに対応した3G(850/900/1,900/2,100MHz)、GSM(850/900/1,800/1,900MHz)だが、顧客の要求に応じて下り21MbpsのHSPA+やEV-DO Rev.Bに対応したモジュールに変更することも可能。このほか、Bluetooth 2.1+EDR、Wi-Fi(IEEE 802.11n、2.4GHz)などの無線をサポートする。
ICONIA TAB A100は7型の液晶搭載したタブレット | 展示状態では、Android 2.2搭載だったが、出荷時にはAndroid 3.0になる予定 | ICONIA TAB A100の背面。500万画素のカメラが搭載されている |
microSDスロット、SIMカードスロットと思われる部分には蓋がしてあったので、展示機はWi-Fi版だと思われる | 右側面にはmini HDMI端子とmicroUSB端子が用意されていた |
ICONIA TAB A500は10.1型のWXGA(1,280×800ドット)のマルチタッチ液晶を搭載している。プロセッサはNVIDIAのTegra 250/1GHz、メモリはRAMが1GB、内蔵ストレージが16GBないしは32GBで、microSDスロットを備えており、最大で64GBまで対応可能になっている。A100と同じように、リア500万画素、フロント200万画素のカメラを備えている。
端子類が特徴的で、microUSBとmini HDMI端子のほか、ホスト機能を備えたUSB端子が用意されており、Androidのドライバを備えたUSB機器などを利用することができる。対応する無線はA100とほぼ同じだが、3Gは顧客の要求に応じて下り21MbpsのHSPA+に対応したモジュールに変更できる。
なお、いずれのモデルも3G/GSMの機能は内蔵していないモデルも用意される。出荷時期だが、ICONIA TAB A500は4月に予定されており、ICONIA TAB A100は現時点では未定とのことだった。価格も現時点では未定だが、他のAndroid搭載タブレットと同じような価格帯にしたいとのことだった。
【表1】ICONIA TAB A100とICONIA TAB A500のスペックICONIA A100 | ICONIA A500 | ||
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プロセッサ | Tegra 250/1GHz | Tegra 250/1GHz | |
メモリ | RAM | 512MB | 1GB |
内蔵ストレージ | 8GB | 16GB/32GB | |
microSD | 32GBまで | 64GBまで | |
液晶ディスプレイ | 7型 1,024×600ドット | 10型 1,280×800ドット | |
ネットワーク | 3G | HSDPA(850/900/1,900/2,100MHz) | HSDPA(850/900/1,900/2,100MHz) |
GSM | EDGE(850/900/1,800/1,900MHz) | EDGE(850/900/1,800/1,900MHz) | |
無線LAN | IEEE 802.11b/g/n | IEEE 802.11b/g/n | |
Bluetooth | Bluetooth 2.1+EDR | Bluetooth 2.1+EDR | |
カメラ | リア | 500万画素 | 500万画素 |
フロント | 200万画素 | 200万画素 | |
バッテリ | 1,530mAh | 3,260mAh | |
OS | Android 3.0 | Android 3.0 | |
サイズ | 195×117×13.1mm | 260×177×13.3 mm | |
重量 | 450g(Wi-Fiモデル)/470g(3Gモデル) | 700g(Wi-Fiモデル)/730g(3Gモデル) |
●Windows 7を搭載したICONIA TAB W500
「ICONIA TAB W500」は、AMDのC-50/1GHzを搭載したWindows 7 Home PremiumまたはProfessionalベースのタブレットで、基本はスレート型のタブレットだが、オプションでキーボードのドッキングステーションが用意されており、キーボードが必要なときにはクラムシェル型のノートPCとして利用できる。本体との接続は、USBを経由して行なわれるため、ホットドック、アンドックが可能だ。
液晶は10.1型/1,280×800ドットで、マルチタッチ対応。メインメモリは2GB、内部ストレージは32GBのSSDが採用され、SDカードリーダが内蔵されている。リアが1,280×1,024ドット、フロントが640×480ドットのWebカメラを備えている。バッテリの容量は36Whで、HDビデオの再生で4時間利用可能。なお、重量は本体だけで970g、キーボードドッキングステーションは610gとなる。
オプションで3Gにも対応可能で、HSDPA対応3G(850/900/1,900/2,100MHz)、GSM(850/900/1,800/1,900MHz)対応、21MbpsのHSPA+に対応したモジュールを内蔵することができる。このほか、Bluetooth 3.0、Wi-Fi(IEEE 802.11n、2.4GHz)に対応している。
ICONIA TAB W500のキーボード装着時 | ICONIA TAB W500のスレート時 | 側面にはSDカードリーダ、HDMI端子などが用意されている |
背面にはWebカメラが用意されている。なお、Webカムは前面にも | 底面にはキーボードドッキングステーション用のUSB端子と、もう1つのUSB端子が用意されている |
ドッキング部分の端子、普通のUSB端子がそのまま利用されている | このようにドッキングする |
説明員によれば、ICONIA TAB W500はまもなく出荷が開始されるとのことで、今四半期中には市場に投入される可能性があるとのことだ。日本市場への投入は、現時点では未定とのことだった。
【表2】ICONIA TAB W500ICONIA W500 | ||
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プロセッサ | AMD C-50/1GHz | |
メモリ | メインメモリ | 2GB |
内蔵ストレージ | 32GB | |
SDカードリーダ | 内蔵 | |
液晶ディスプレイ | 10.1型 1,280×800ドット | |
ネットワーク | 3G | HSDPA(850/900/1,900/2,100MHz) |
GSM | EDGE(850/900/1,800/1,900MHz) | |
無線LAN | IEEE 802.11b/g/n | |
Bluetooth | Bluetooth 2.1+EDR | |
カメラ | リア | 1,280×1,024ドット |
フロント | 640×480ドット | |
バッテリ | 3,260mAh | |
OS | Windows 7 Home Premium/Professional | |
サイズ | 275×190×15.95 mm(本体)、275×190×11~19.5 mm(キーボード) | |
重量 | 970g(本体)、610g(キーボード) |
●超縦長の4.8型液晶を搭載したスマートフォン「ICONIA SMART」
Acerブースでもう1つの注目製品は、「ICONIA SMART」と呼ばれるスマートフォンだ。ユニークなのはその液晶で、4.8型で1,024×480ドットという解像度になっている。これにより、表示するエリアが増え、Webブラウザなども快適に表示できる。なお、スマートフォンではないが、日本の携帯電話にはこの解像度を搭載している製品がすでに存在しており、ソフトバンクモバイルから販売されていたシャープの931SHは3.8型ながら1,024×480ドットの液晶を搭載していた。
CPUにはQualcomm MSM8255-1(Snapdragon)/1GHzを採用しており、ユーザーメモリは512MB、内蔵ストレージは8GBとなっている。対応する無線は、米国向けモデルがHSPA+(850/1,900/2,100MHz)、欧州向けモデルが(900/1,900/2,100MHz)とGSM(850/900/1,800/1,900MHz)に対応しているほか、Bluetooth 2.1+EDR、無線LAN(IEEE 802.11n、2.4GHz)、GPS(A-GPSに対応)をサポートしている。サイズは141.7×64.5×13.6mmで、重量は185gとなっている。
ICONIA SMARTは、4.8型1,024×480ドットの液晶を搭載したスマートフォン | OSはGingerbreadことAndroid 2.3を採用している |
なお、販売時期、価格、日本への投入があるかなどを含めて現時点では未定とのことだった。
【表3】ICONIA SMARTICONIA SMART | ||
---|---|---|
プロセッサ | Qualcomm MSM8255-1(Snapdragon)/1GHz | |
メモリ | メインメモリ | 512MB |
内蔵ストレージ | 8GB | |
microSD | SDHC | |
液晶ディスプレイ | 4.8型 1,024×480ドット | |
ネットワーク | 3G | HSPA+(900/1,900/2,100MHz for EU、850/1,900/2,100MHz for US) |
GSM | EDGE(850/900/1,800/1,900MHz) | |
無線LAN | IEEE 802.11b/g/n | |
Bluetooth | Bluetooth 2.1+EDR | |
カメラ | リア | 800万画素(フラッシュ付き) |
フロント | 200万画素 | |
バッテリ | 1,500mAh | |
OS | Android 2.3(Gingerbread) | |
サイズ | 141.7×64.5×13.6mm | |
重量 | 185g |
(2011年 2月 18日)
[Reported by 笠原 一輝]