【Macworld 2010レポート】
会場で見つけた注目製品【Mac編】

会期:2月9日~13日(現地時間)
会場:San Francisco The Moscone Center (モスコーニセンター)



開場よりおよそ10分ほど経過した様子。次々と展示ホール入口へと向かう来場者たち。なかなかの盛況ぶりに映る

 2月11日正午(現地時間)、Macworld 2010の展示ホールがオープンした。事前情報で開催規模の縮小や出展者数の減少を指摘していたが、実際に開けてみれば開場直後は例年に匹敵する混雑ぶりとなった。

 展示スペース自体が昨年の半分以下に絞り込まれて人口密度は高くならざるを得ない状況にはあるが、初動の人出はかなり多かったようで、あちこちの通路で人混みと、それにともなう渋滞ができた。そのため、ブースの遠景どころか個々の製品撮影もなかなか困難な状況がしばらく続くほどの活況であった。

 こうした混雑は時間の経過につれて徐々に解消していったが、今年は初めて土曜日も開催される。Show Specialとして、自社製品を通常価格より安価に提供している出展者も多いため、特に週末は買い物目当ての来場者も増えることだろう。

 また展示ホールのオープンに先立ち、午前9時からは毒舌な言い回しでも知られるNew York TimesのテクノロジコラムニストDavid Pouge氏のスピーチがカンファレンスルームの1つで行なわれ、こちらは立ち見が出るほどの盛況だった。続いて11時過ぎから行なわれたMacworld DEMOによるBest of Showの紹介もほぼ満席という状況で、熱心なユーザー達のMacworldへの意欲はさほど衰えていないこともうかがい知れた。

Targusのブースに紹介されていたiPad向けのケース群。サイズの確認用に、ペーパークラフトの実物大iPadが用意されている。ちなみに重量は実機とは異なる

 製品紹介を行なう前に残念なことをあらかじめ書いておくと、展示ホール内にAppleから先日発表されたばかりの「iPad」は存在しなかった。そのiPad発表イベントに登場したNew York Timesが、わずか1小間のブースを構えていたことから、ほんのわずかな希望は捨てていなかったのだが、予想どおり新聞定期購読の勧誘エリアになっていた。もちろん、鞄やケースを取り扱うメーカーは積極的な動きを見せており、Targusのブースでは早速iPad対応を謳う9型のソフト/ハードケースがいくつも展示されていた。ペーパークラフトで作った実物大のiPadが用意されているなど、ビジネスチャンスを逃すまいとする熱意が感じられる。

 それでは展示ホール内で見つけた興味深い製品情報を、写真とともに紹介していく。まずは、Mac編から。

 会場入り口のほぼ正面という一等地にブースを構えるHyperMacは、MacおよびiPod、iPhoneの外付けバッテリユニットを販売するメーカー。出展内容はInternational CESでも出展していて、初見ではないが、特にその製品のカラフルさとラインナップの多さから来場者の注目を集めていた。もっとも小さいサイズの「HyperMac Nano」はiPhone/iPod専用の30ピンコネクタのみを装備して1,800mAhの容量。「HyperMac Micro」「HyperMac Mini」はそれぞれ3600mAh、7200mAhで、iPhone/iPodそして各種USB機器へUSBコネクタ経由で充電が行なえる。いずれも現行のiPod nanoのカラーに合わせて9色が用意されている。

 MacBook/MacBook Pro向けには4モデルがあり、それぞれ60Wh、100Wh、150Wh、222Whのバッテリ容量。重量は最小の0.36kgから最大の2.13kgまでで、価格は最小モデルが199ドル、以降100ドルずつ上乗せされていき最上位モデルが499ドルという設定。Mac本体のみならず、HyperMac側のUSBポートから一緒にiPhone/iPodも同時に充電できることで、ヘビーユーザーにはなかなか好評という。特にユニボディ化されたMacBookとMacBook Proは、第2世代からバッテリが交換できない仕様となっているため、ユーザーが予備バッテリを一緒に持ち歩くということができない。まさにそのニーズをとらえた製品である。ブーススタッフによると、同社は日本国内での販売網を持ってはいないものの、海外通販を利用して1月あたり100個余りを日本からも受注している状況だという。

最小モデルの「HyperMac Nano」はiPhone/iPod専用で、充電用の30ピンコネクタ付きのケーブルがビルトイン。持ち運ぶときには反対側がカバーとなる仕組みだ現行のiPod nanoの9色にあわせたラインナップは来場者の注目を集めていた4種の容量が選べるMacBook/MacBook Proに対応したモデル。Mac本体と一緒にiPhone、iPodの充電も可能なことからヘビーユーザーに好評

□HyperMacのホームページ(英文)
http://www.hypershop.com/

 129ドルという安さが魅力のポータブルドキュメントスキャナ「doxie」。Macworldで初登場とされているが、実はCESのDigital Experienceで披露済みだったのはご愛敬……。安さの秘密は、製品自体はほぼスキャン機能に特化して、スキャンされたデータの管理をクラウド系のサービスに丸投げしている点にある。doxieを使ってスキャンされたデータは、その種類に応じドキュメントならGoogleドキュメントやEvernote、写真ならばFlickrと言った具合に、ユーザーが任意のクラウド系サービスを登録、選択して管理することになる。もちろんiPhotoのようなローカルのアプリケーションで利用することもできるが、基本的にはスキャンしたデータをどこのクラウドに登録してそのサービスを活かしていくかがユーザーの役割だ。本体幅はMacBookよりも狭い29.2mmとコンパクトサイズ。USB接続のバスパワーだけで動作するので、取材や旅行にも手軽に持ち歩けるのもセールスポイントとなる。

なにより129ドルという価格と導入の手軽さはポイント。ただし使いこなすにはクラウド系サービスへのユーザー登録と管理は、ユーザーが行なう必要がある

□doxieのホームページ(英文)
http://www.getdoxie.com/

 27インチiMacを外付けのフルHDディスプレイにするアダプタ「Kanex XD」。Blu-ray Discプレーヤーを始めとして、PlayStation 3、Xbox 360などのHDMI出力を、音声信号も含めてDisplayPortに変換、27型iMacに搭載されているmini DisplayPortに入力できる。27インチiMacの仕様上の制約から、映像と音声の表示にはiMac側でMac OS Xが起動していなければならない。またアダプタにはAC電源を供給する必要がある。3月頃には149.99ドルで出荷の予定で、Kanexでは予約も受け付けている。

 同社は昨年発表した従来製品も展示。こちらは逆にmini DisplayPort出力の付いたMacBook/MacBook ProそしてMac mini向けの製品で、HDMI入力のあるTVやAVアンプなどの映像機器に、上記のMacの映像/音声信号を出力するアダプタである。「iAdapt 51」はmini DisplayPortの映像信号とデジタル音声プラグからの光音声信号をHDMI出力にまとめる。USB接続も必要になるが、これはアダプタへの5V給電のため。一方「iAdapt 20」では、USB接続で5V給電とデジタル音声出力の両方を行なっている。モデル間の差異は前者は5.1ch音声出力に対応し、後者は2ch音声出力に対応する点。両製品ともに出荷済みで前者は69.99ドル、後者は59.99ドルとなっている。

27型iMacの仕様上の制約からiMacが起動していないと外部からの入力が扱えないという制限はあるものの、ひとり暮らしや自分の部屋用のゲーム機用ディスプレイとしてならあり得る選択肢かも知れない。KanexXD本体とAC電源アダプタがセット。HDMI、mini DisplayPortケーブルは別途用意する必要がある
一方こちらは、薄型TVにMacの画面を出力したいというニーズに応える製品。フルHDパネルのTVならば1,920×,1080ピクセルの表示が可能だ。iTunesやFrontRowを使って映像ライブラリを大画面で見たいという時には便利かも知れない

□Kanexのホームページ(英文)
http://kanexlive.com/

 こちらもInternational CESで展示された製品だが、紹介する機会がなかったのであらためて紹介する。ATLONAの「AT-DP200」は、mini DisplayPort端子非搭載の旧MacBook/MacBook Proなどから、24インチApple LED Cinema Displayへと映像出力が可能なアダプタ。DVI-Dの映像出力をmini DisplayPortに変換する仕組みで、HDCPにも対応している。端子がmini DVIのMacでも信号自体は同じなので、Apple純正の変換アダプタを介することで利用が可能と思われる。

 AT-DP200を利用する際にMac側にUSB接続が必要になるが、これはアダプタへの5V給電のため。24インチApple LED Cinema Display内蔵のiSightカメラやマイク、スピーカー、そしてUSBハブを使うには、別途ディスプレイ側のUSBケーブルを直接Macに接続しておく必要がある。価格は149ドル。AT-DP200はシングルリンクのDVI出力にのみ対応し、Dual Link DVI出力をmini DisplayPortに変換することも可能なAT-DP400は199ドルとのこと。

 同社はほかにも、サンプルながらmini DisplayPortの映像信号とUSB音声信号をHDMIに変換するアダプタ(上述したKanexのiAdapt 20と同機能)を出展。さらにカテゴリ5のEthernetケーブルを使って1080pまでのDVI-D信号を最長100フィートまで伝送できるエクステンダなども紹介していた。

DVI-D出力端子があれば、従来モデルのMacBookやPowerBookで(そしてPCでも)24インチApple LED Cinema Displayが使える「AT-DP200」mini DisplayPortの映像信号とUSBのデジタル音声出力を、HDMI出力に変換するサンプルを展示カテゴリ5のEthernetケーブルを使って、DVI-D映像信号を最長100フィートまで伝送可能なエクステンダも紹介

□ATLONAのホームページ(英文)
http://www.atlona.com/

audioengineのアクティブスピーカー「Audioengine 5」。写真のとおり、左スピーカーの背面にAC端子が付いているのでAirMac expressのAirTunes機能と組み合わせることで簡単にMacやPCのiTunesから制御できるワイヤレススピーカーになるという。というか、かなり力業感ありありの様子。ちなみに写真からは漏れてしまったが、上面にはミニプラグのライン入力とUSB端子による5V給電機能が付いているので、iPodをそこに接続しておけば、iPodへの充電いらずで永遠に動作し続けるステレオスピーカーにもなる。左右スピーカーと左右を繋ぐスピーカーケーブルがセットで、黒と白のスタンダードモデルが349ドル。写真の木製キャビネットの場合は449ドルとのこといかにも屈強そうなアルミニウムのディスプレイアームはflatscreen armsの製品。Apple純正品になるVESA対応のマウンタなしに、iMacとApple純正ディスプレイが取り付けられるまさにMac向けというべき製品。スタッフの男性が手にしている写真右側のガス圧によって簡単に昇降ができるmantisというモデルが19インチから21.5インチまでのiMacと24インチのApple製Displayに対応。写真左側のboaというモデルが、24、27インチのiMacと30インチのApple製Displayに対応している

□audioengineのホームページ(英文)
http://www.audioengineusa.com/
□flatscreen armsのホームページ(英文)
http://www.tvmonitorarms.com/

(2010年 2月 15日)

[Reported by 矢作 晃]