イベントレポート

CES 2024は昨年比15%増の床面積で4,000社以上が参加。日本からも大企業が参加しデジタル化推進

100周年を迎えたCTA、CES 2024年のテーマは「ALL ON」、中央はCTA 社長 兼 CEO ゲイリー・シャピロ氏

 1月9日~1月12日(米国時間)に開催され、世界最大のデジタル関連展示会となる「CES 2024」。7日(同)に、報道関係者向けのイベント「CES Unveiled Las Vegas」など、展示会に先だって報道関係者向けの記者会見やイベントなどがすでに開始されており、実質的には開幕したと言ってよい状況だ。CESの主催者であるCTAは7日(同)に報道関係者向けの記者説明会を開催し、本CESでの注目ポイントなどについて説明した。

昨年比で展示会場の床面積は15%増、出展企業は25%以上に増加

CTA社長兼CEOのゲイリー・シャピロ氏

 CTA社長兼CEOのゲイリー・シャピロ氏によると「本年(2024年)はCTAが設立されてから100年になる記念の年だ」となる。元々CTAは、ラジオを開発する業界団体としてスタートし、テレビや家電などを製造する企業なども参加したりしながら発展してきた。近年はデジタル関係の企業なども参加し、CESも家電からデジタルへとシフトして進化を続けてきた歴史がある。

 そうした本年のCESのテーマは「ALL ON」で、無理やり日本語にすると、「全てのことがここで起こる」などの意味となる。要するにデジタルの進化がCESで起こるという意味だと理解するといいだろう。

CTA上級副社長のキンジー・ファブリツィオ氏

 CTA上級副社長のキンジー・ファブリツィオ氏は「CES 2024は昨年のCES 2023から規模が拡大している。本年の展示会場の床面積は250万平方フィート以上で、これは昨年の床面積に比べて15%増加している。本年も自動車、モビリティ、スマートホーム、ゲーミング、ロボティックスなどのあらゆるカテゴリで出展社数が増え、出展社数は4,000社を超えており、これは過去最高の数値だ。また、スタートアップ向けのエウレカパークでも過去最高の1,400社が参加している」と語った。

 なお、昨年(2023年)の会見では参加社数は3,200社。れと比較すると少なくとも約800社は増えており、約25%増えている計算になる。つまり、出展社数は25%、床面積では15%ほど増えたのが本年のCESということになる。完全にコロナ禍の影響から立ち直り、再び成長基調に乗りつつあるというのが今のCESだというのが分かる。

 本年はラスベガスの多くの場所で日本人の関係者を見かけるようになり、韓国からの参加者も昨年に比べて増えているように見える。中国からの参加者が増えているかは、まだ正直実感することはないのだが、CTAのシャピロCEOは「昨年のCESのタイミングは中国の旅行制限が解除された直後で中国の皆さんは渡米するのが難しかったが、本年は観光客も含めて元に戻りつつある。終わってみないと正確な数字は分からないが中国からの参加者も例年通りになるのではと思っている」という認識を示した。

クボタ、ホンダ、シーメンス、ロレアルなども続々とCESに参加

CTAテーマ別研究担当部長のブライアン・コミスキー氏

 そうしたCES 2024だが、CTAによれば、大きなテーマになるのは昨年に引き続き生成AI、そして自動車/モビリティ、スマートホーム、ゲーミング、デジタルヘルス、ロボティックスなどになるという。

 特に生成AIはさまざまな産業に渡って影響が見られており、CTAテーマ別研究担当部長のブライアン・コミスキー氏は「AIそのものが今やさまざまな産業のエコシステムのようになっている。自動車、スマートホーム、ゲーミングなどさまざまな産業の、見えないところで、AIが使われるようになっている」と述べ、多くの異なる産業がAIを活用することで、新しいアプリケーションを生み出していると説明した。

農業テック向けにはクボタが注目企業

 実際、昨年のCESではジョン・ディアという伝統的な米国の農機メーカーが基調講演に登場し、農業や農機にAIを活用するという事例を紹介した。コミスキー氏によれば「ジョン・ディアの講演や展示はとても刺激的だった。本年は日本から株式会社クボタが参加し、セントラルホールの中庭にブースをだして展示を行なう。こちらも非常に刺激的な展示が行なわれる見込みでぜひ期待してほしい」と紹介した。

ホンダがEVをCESで発表予定

 自動車分野ではホンダが参加し、新EV車を発表することがすでに明らかにされている。CTAのシャピロCEOは「CESは世界最大の自動車ショーだ」と語り、今や自動車メーカーにとってCESは重要なショーになっていると強調している。AI関連では、基調講演に参加するIntelやQualcommなどの半導体メーカーのAIソリューションにも注目が集まっているとコミスキー氏は強調した。

 このほかにも、8日夕刻に行なわれるシーメンスの講演ではNVIDIAのソリューションを利用したデジタルツインの工場などが紹介され、9日午前には世界最大の化粧品会社のロレアルが基調講演を行なうなど、これまでにCESには参加してこなかったような伝統的な企業がCESに参加し、さまざまなソリューションを訴求することになる。