イベントレポート

AMD、“世界最高のゲーミングCPU”「Ryzen 9 7950X3D」

 AMDは、1月5日(米国時間)に開幕する予定のCESの前日基調講演(1月4日夕刻、日本時間1月5日昼頃)にて、同社CEOのリサ・スー氏が登壇し、Ryzen 7000シリーズに3D V-Cacheを積層することで、「世界最速のゲーミングCPU」と表現する「Ryzen 7000X3D」シリーズを発表した。2月に提供開始予定だが、価格は明らかにされていない。

 今回発表されたRyzen 7000X3Dシリーズは、昨年(2022年)8月に発表されたRyzen 7000シリーズのダイに、3D V-Cacheと呼ばれるSRAMを3次元積層することでL3キャッシュの容量を増やした製品。従来製品となるRyzen 5000X3Dシリーズの後継となる。

AMDが発表したRyzen 9 7950X3D

 Ryzen 7000X3Dシリーズでは、TSMCの3Dダイスタッキング技術を利用してSRAMが3次元積層され、通常版に比べてL3キャッシュが64MB増やされている。

 Ryzen 9 7950Xであれば、L2キャッシュはCPUコア1つあたり1MBで、CPU全体で16MB、そしてL3キャッシュとして64MBが搭載されており、L2キャッシュとL3キャッシュ合計で80MBが搭載されている。これに対しRyzen 9 7950X3Dは、64MBのSRAMが追加され、L3キャッシュ全体で128MB、L2キャッシュ(16MB)とL3キャッシュ(128MB)の合計で144MBのキャッシュメモリを搭載している。

ダイの上にSRAMのダイを3D積層するAMDの3D V-Cache

 キャッシュ容量を増やすことで、CPUがメモリからデータを読み込む、あるいはCPUからデータをメモリに書き込むメモリレイテンシを削減する効果がある。

3つのSKU、2月から提供開始予定

 AMDはRyzen 9 7950X3Dの性能データを公開し、「Core i9-13900K」との比較で、Rainbow Six Siegeで13%、Total War:Three Kingdomsで18%、Red dead Redemptionで23%、Horizon Zero Dawnで24%(いずれも1080pの解像度)フレームレートが向上すると説明している。

 また、ファイルの暗号化(VeraCrypt)で4%、3Dグラフィックス(PassMark10)で11%、Adobe Premiere Proで17%、DaVinci Resolveで24%、ファイル圧縮(7-Zip)で52%高速になるとしており、同製品を「世界最速のゲーミングプロセッサ」と呼称している。

 Ryzen 7000X3Dシリーズにはほかにも、Ryzen 9 7900X3D、Ryzen 7 7800X3Dの2つのSKUが用意されており、具体的なスペックは次のようになっている。

【表1】Ryzen 7000X3DシリーズのSKU
コア数/スレッド数ターボ時/ベースL2+L3TDP
Ryzen 9 7950X3D16コア/32スレッド5.7GHz/4.2GHz144MB120W
Ryzen 9 7900X3D12コア/24スレッド5.6GHz/4.4GHz140MB120W
Ryzen 7 7800X3D8コア/16スレッド5GHz/4.xGHz104MB120W