イベントレポート
オンキヨーが“音のプロ”として挑む、新ゲーミングブランド「SHIDO」
2019年1月15日 17:35
オンキヨー&パイオニア株式会社は8日、ゲーミング/eスポーツ市場向け新ブランド「SHIDO」を発表した。
オンキヨーは、近年オーディオ分野以外に、スマートスピーカーやAI、ゲームショウでの音質技術提供などを行なっており、今回のゲーミングブランド立ち上げは、そういった音に関するノウハウの活用や使い勝手を向上させる提案を具現化する取り組みを通じて、既存のオーディオとは異なる分野となる新たな事業領域への進出を目指したものと説明している。
SHIDOというブランド名は、「士道」からとったもの。士道は、江戸時代に入り争いがなくなった世の中で、戦乱の時代に規範とされた武士道に代わるものとして、儒学/軍学者であった山鹿素行が説いたもので、刀のない現代において、勝負に挑むゲーマーの「サイバーアスリート」としての姿を侍のそれと重ね、そういったゲーマーをサポートするという思いを込めているという。
同社は、米ラスベガスで開催された「CES 2019」において、開発中のゲーミングヘッドセットおよびUSBコントロールアンプを出展。担当者によれば、2製品ともまだ開発中のもので、このままの仕様で製品化するのか、発売時期、価格も含めて完全に未定の段階であるとのこと。
SHIDOブランドでは、音の専門家としての誇りを持って、ゲーマーの抱える課題解決に真摯に取り組んでいくとのことで、ブランドの立ち上げに際しては、ゲーマー層が若年層であることから、20代の社員を集めたチームを編成するなどして開発しているという。
開発中のヘッドセットは、ゲーミングデバイスとしてはかなりシンプルなデザインを採用。LEDなどの発光ギミックは、発熱や重量増加などのデメリットが多すぎることから搭載を見送り、長時間の利用でも快適に使えるよう、音質が犠牲にならないレベルで、軽量化と側圧(頭を挟み込む力)の低減を目指し開発されている。実際に装着してみると相当に軽量で、側圧もかなり緩められている印象だった。
イヤーパッドとヘッドバンド部には、スポーツ向けの繊維素材を配置。レザー素材よりも高コストになるが、装着時の快適さを重視したという。
音質面については、ゲーミングヘッドセットでは、音の定位感を強めるために低域をカットしていることが多い(低音は指向性が低く高音は指向性が高いため)が、高域に音が集中するため、聴き疲れも起きやすいとのことで、どのあたりでバランスを取るか考えている段階だという。
筆者個人としては、後述するアンプ側でバランス調整を行ない、ヘッドセットとしてはフラットな音を目指すほうが、音楽を聴くなどゲーム以外の用途でも楽しめ、用途ごとにヘッドフォンを付け替える手間も省けるため、そちらの仕様に期待したい。
ケーブルとマイクアームは、ともに3.5mmジャックをヘッドフォン側に設けており、着脱が可能。マイクはアーム型の跳ね上げ式を採用せず、根本から柔軟に曲がる仕様で、ポップノイズなどを避けてユーザーが最適な位置へマイクをセットできることを重視しているとのことだ。
USBコントロールアンプは、PCとの接続にはDAC兼ヘッドフォンアンプとして動作することを予定しており、ヘッドセットと同時に発売される見込み。
イコライザは、発砲音や足音などの帯域を強調して索敵を補助するプリセットを用意するほか、ゲーム音と音声チャットの音量バランスの調整などを行なえるようにノブを配置。仮想サラウンド対応も考えているという。
PCとの接続端子はUSB Type-Cで、USB Type-Aポートも用意する。Type-Aは給電対応のみを予定しているそうだが、1ポートのHubとして使えると、拡張デバイスを接続したり、利便性がより高まるのではないだろうか。
家庭用ゲーム機への対応については、各社とも音声のデジタルデータを入力させる場合には対応周辺機器として認証を取得する必要があるため、対応が難しいだろうとのこと。アナログ出力に対するポストエフェクト処理なら、認証の問題が起きないのではないかという話も出ていたため、そちらで対応することを期待したい。
どちらもプロトタイプ機で、実際の製品がどういったかたちになるのかは未知なのだが、担当者との会話でも、同社がゲーミングデバイスに求められるものを研究して開発していることが伝わってきた。日本メーカーとして、ゲーミングデバイス市場に一石を投じるブランドへ成長することを期待したい。