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Samsung初のコンシューマ向けNVMe対応SSD「950 PRO」発表会レポート

~来年初めには現行製品の4TBモデルも登場予定

 Samsung Electronicsは9月22日(現地時間)、韓国ソウルにおいて、SSDの新製品発表会「2015 Samsung SSD Global Summit」を開催した。Samsung Electronicsは、2012年以降、毎年こうした発表会を行なっており、今回が4回目となる。なお、当初は7月に開催予定だったが、MARSが流行していたため、開催が9月に延期された。今回発表された新製品「Samsung SSD 950 PRO」については、既にニュース記事が掲載されているが、ここでは発表会の講演や展示会場の様子をレポートする。

ゲストスピーカーがスポーツグラフィックスにおけるSSDの優位性を語る

 最初に、Samsung Electronicsのメモリ事業部ブランド製品マーケティングチームのリーダーであるキム・オンス専務が開会の挨拶をし、今がSSDにとって次の新しい時代へ進む転換期であるとした。

 次に、ChyronHegoの上級副社長であるピーター・モーロン氏が登場し、「High-end computing with SSD」と題した講演を行なった。これまでのGlobal Summitでは、講演者は全てSamsungの役員やリーダーなどであり、外部のゲストスピーカーが登場するのは今回が初めてだ。ChyronHegoは、「ブロードキャストグラフィックス」と「スポーツテクノロジー」の分野で世界トップレベルの技術を誇り、同社の技術は多くの放送局やスポーツリーグで採用されている。

 最近のスポーツ中継は、選手の動きに合わせてリアルタイムにさまざまなグラフィックスが表示されるようになっているが、こうした技術を支えているのがSSDだという。リアルタイム映像の生成には、カメラからの画像とメディアストレージから読み出したグラフィックスデータを合成処理し、再びメディアストレージに書き込む必要がある。このメディアストレージとしてSamsungの高性能SSD「Samsung 850 PRO」が使われているという。

 今後放送が4Kになれば、ストレージにはさらに高い性能が必要になるため、さらなるSSDの性能向上に期待しているとして、講演を締めくくった。

2015 Samsung SSD Global Summitの会場となった韓国ソウルのTHE SHILLAホテル
2015 Samsung SSD Global Summitは、THE SHILLAホテルの大宴会場「DYNASTY」で開催された
最初に、メモリ事業部ブランド製品マーケティングチームのキム・オンス専務が登場し、開会の挨拶を行なった
キム・オンス氏は、SSDの重要な要素として「容量」、「性能」、「価格」の3つを挙げ、今が次の時代へと向かう転換期だとした
パートナーセッションとして、ChyronHegoの上級副社長であるピーター・モーロン氏が「High-end computing with SSD」と題した講演を行なった
ChyronHegoの技術を採用している放送局やスポーツリーグ。多くの放送局やスポーツリーグがChyronHegoの技術を採用している
ChyronHegoのリアルタイム映像技術の例。アイスホッケーの試合中継で、パックを持っている選手とその左右にいる選手に丸いマーカーが描かれており、パスコースを示す黄色い線も表示されている
こちらは野球中継での例。フライを追って外野手が走り始めると、外野手の名前と1歩目までの時間や最高速度が表示され、走った軌跡も表示される
HD映像でこうしたリアルタイム映像を実現するには、200MB/secの転送速度が要求され、レンダリングも30ms以内に完了せねばならない
選手の位置のトラッキングには、高画質ステレオカメラを利用する
リアルタイム映像の生成には、カメラからの画像とメディアストレージから読み出したグラフィックスデータを合成処理し、再びメディアストレージに書き込む必要がある。このメディアストレージとしてSamsungの高性能SSD「Samsung 850 PRO」が使われている
ChyronHegoは、約50年ハードウェアシステムを開発してきた
その1つがフルHD画質のアニメーショングラフィックスを航空写真に組みあせた地図を生成する「AXIS WORLD GRAPHICS」である
こちらはヘリコプターに搭載し、上空から撮影した映像にリアルタイムに手書きのグラフィックスを追加する「HELIPAINT」。HELIPAINTにもSamsungのSSDが搭載されている
また、グラフィックスレンダリングおよびワークフロー用サーバーにもSamsungのSSDが搭載されている
こちらは可搬用のポータブルシステム
ニュースやエンターテイメント分野では、「統合」、「価格の低減」、「より少人数でのオペレーション」が要求されている
スポーツ放送分野では、「オンエアまでの時間短縮」、「より人をひきつけるグラフィックス」、「4Kや8K動画の処理」が要求されている
SSDはこうしたチャレンジにとって大きな助けとなる
4Kのライブ放送では、非圧縮のデータの記録や再生のために1秒間に1GBのデータの読み込みと書き込みを同時に行なう必要があるが、超高速なSSDがこうした機器を実現可能にする
最後に、SSDへの要求として、「コスト削減」、「大容量化」、「より高い耐久性」、「さらなる速さ」を挙げた

NANDフラッシュメモリの市場規模は今後5年で3倍に増加

 次に、メモリ事業部ブランド製品セールスグループマネージャのチョン・ドヨン氏が登場し、SSD市場についての講演を行なった。

 現在のNANDフラッシュメモリの市場規模が840億GBであり、これを250GBのSSDに換算すると、実に3億3,600万台ものSSDが必要になるとした。NANDフラッシュメモリの市場規模は、今後もさらに拡大していき、2020年には2,530億GBにも達する。また、NANDフラッシュメモリの2大需要がSSDとモバイル機器であり、現在はモバイル機器での需要がわずかにSSDでの需要よりも大きいが、2017年以降はSSDがモバイル機器を上回る。こうしたSSDの急成長を支えているのが、「性能の向上」、「値頃感」、「多様化」である。

次に、Samsungメモリ事業部ブランド製品セールスグループマネージャのチョン・ドヨン氏が登場
840億GBを250GBのSSDに換算すると何台のSSDが必要になるだろうか
実に3億3,600万台のSSDが必要になり、これはアメリカの総人口よりも大きな数である
NANDフラッシュメモリの市場規模のこれまでの実績と今後の予測。2020年には2015年の約3倍の2,530億GBにも達する
NANDフラッシュメモリの需要の変遷。現在はモバイル機器での重要がわずかにSSDでの需要よりも大きいが、2017年以降はSSDがモバイル機器を上回る
こうしたSSDの急成長の要素の1つが性能であり、シーケンシャルリードは550MB/secに達した
SSDの成長の要素としては、値頃感が出てきたことも挙げられる。GBあたりのコストは0.38ドルまで下がった
また、SSD 1台あたりの平均容量は312GBまで増大した
現時点でのPCにおけるSSDの搭載率は29%である
また、mSATA対応やM.2対応といった多様化もSSDの成長の要素の1つだ

Samsung SSD 950 PROの詳細が明らかに、来年初めには4TB SSDがコンシューマ向けに登場

 ここで、講演者がメモリーマーコムグループリーダーのソ・ジョン氏に代わった。ソ・ジョン氏はGoogle Trendsのデータを挙げて、2012年にSSDの検索回数がHDDのそれを上回ったと述べ、一般の方のSSDの認知度も38%まで向上したことを明らかにした。また、SSDを購入する際に参考にした情報源として、一番多かったのはインターネット検索だがその次がテクノロジーブログやテクノロジーニュースサイトであるとした。

ここで講演者がメモリーマーコムグループリーダーのソ・ジョン氏に代わる
Google Trendsで検索回数を調べたグラフ。黒い線がHDDの検索回数で、オレンジ色の線がSSDの検索回数。2012年を境にHDDとSSDの検索回数が逆転した
一般の方におけるSSDという言葉の認知率は38%に達した
SSDを購入する際の情報源として、一番多かったのはインターネット検索の29%で、次がテクノロジーブログやテクノロジーニュースサイトの25%である
Samsung SSDのFacebookページには72万人から「いいね!」が付けられた
GoogleでSSDブランドの検索回数を調べると一番多かったのがSamsungで、全体の41.8%を占めた

 再び講演者がチョン・ドヨン氏に交代し、SSDの進化について話を続けた。その要旨は以下の通りだ。

 SSDの新しい時代のパラダイムが求められている。コンシューマがSSDを購入する際には、容量と性能を考慮して製品を選ぶ人が多い。2014年のSSD Global Summitで、3D V-NAND採用のハイエンドモデル「Samsung SSD 850 PRO」を発表し、3D V-NAND採用SSDの出荷台数は累計で1,300万台に達した。さらに、2015年8月にSamsungは、世界初の256Gbit 3D V-NANDフラッシュメモリの量産を開始した。これは48層を積層した第3世代の3D V-NANDである。同時に第3世代 3D V-NANDを採用した16TB SSDを公開、こちらは世界最大容量となる。第3世代3D V-NANDの登場により、2016年の初めには、コンシューマ向けSSDの容量が4TBになる。

 また、これまでは3D V-NANDを採用したSSDを3D V-NAND SSDと呼んでいたが、今後はより分かりやすくV-NAND SSDと名付け、パッケージにもV-NAND SSDロゴを付けてアピールしていく。今日発表する新製品が「Samsung SSD 950 PRO」であり、同社初のクライアントPC向けNVMe SSDとなる。NVMeとは、Non-Voltaile Memoery Expressの略で、NANDフラッシュに最適化したストレージプロトコルである。インターフェイスはSATA IIからSATA III、PCI Expressと進化してきたのに対し、プロトコルはHDD時代に作られたAHCIのままであったが、いよいよNVMeの時代へと突入する。

 NVMeの利用には、CPU、マザーボードのBIOS、OSの3つが対応する必要があるが、その環境も整ってきた。Samsung SSD 950 PROは、コントローラとして新開発の「UBX」を、フラッシュメモリは「第2世代3D V-NAND(MLC)」、バッファ用メモリは「Low Power DDR3 DRAM」を採用している。第2世代3D V-NANDは、MLCとTLCの2つのモードで利用されているが、Samsung SSD 950 PROでは性能を重視してMLCモードで利用している。フォームファクタは、M.2準拠であり、幅22mm、長さ80mmのM.2 2280と呼ばれるものだ。容量は256GBと512GBの2モデルがまず登場するが、来年には第3世代3D V-NANDを採用した1TBも登場予定だ。インターフェイスはPCI Express Gen 3.0の4レーンに対応。帯域幅は4GB/secとなる。

 Samsung SSD 950 PRO 512GBモデルのシーケンシャルリードは最大2,500MB/secで、従来のSamsung SSD 850 PROの4.5倍、シーケンシャルライトは最大1,500MB/secで、従来のSamsung SSD 850 PROの2.8倍となるSamsung SSD 950 PRO 512GBモデルのランダムリードは最大30万IOPSで、従来のSamsung SSD 850 PROの3倍、ランダムライトは最大11万IOPSで、従来のSamsung SSD 850 PROの1.2倍となる。

 保証期間は5年またはTBWを満たすまでであり、TBWは256GBモデルが200TB、512GBモデルが400TBと大きい。

 また、エンタープライズ向け製品として、ハーフハイト/ハーフレングスのPCI Express対応SSD「PM1725」も登場。こちらは、PCI Express Gen 3.0の8レーンをサポート、シーケンシャルリードは最大5,000MB/sec、ランダムリードは100万IOPSに達する。

再び講演者がチョン・ドヨン氏に代わる。SSDの新しい時代のパラダイムが求められている
コンシューマがSSDを購入する際には、容量と性能を考慮して製品を選ぶ人が多い
3D V-NAND採用SSDの出荷台数は、累計1,300万台に達した
Samsungは2015年8月に世界初の256Gbit 3D V-NANDフラッシュメモリの量産を開始した。これは48層の第3世代3D V-NANDである
また、第3世代3D V-NANDを採用した世界最高容量の16TB SSDも公開した
今後は第3世代3D V-NANDがコンシューマ向け製品にも採用される
第3世代3D V-NANDの登場により、2016年の初めには、コンシューマ向けSSDの容量が4TBになる
第3世代3D V-NANDのロードマップ。既に量産が開始されており、2015年第4四半期から順次、Samsung SSD 850 PROやSamsung SSD 850 EVOといった既存の製品が第2世代3D V-NANDから第3世代3D V-NANDに切り替わっていく
これまでは3D V-NAND採用SSDを3D V-NAND SSDと呼んでいた
今後は「V-NAND SSD」というブランドに変更する
V-NANDはセルの上にセルを重ねていく技術であり、今後も進化を続けていく
今日発表する新製品が「Samsung SSD 950 PRO」であり、同社初のクライアントPC向けNVMe SSDとなる
Samsung SSD 950 PROの実物がベールを脱いだ
インターフェイスとプロトコルの進化。インターフェイスはSATA IIからSATA III、PCI Expressと進化してきたが、プロトコルはHDD時代に作られたAHCIのままであったが、いよいよNVMeの時代へと突入する
2013年、Samsungは世界初のPCI Express SSD「Samsung XP941」をリリース。これはACHIプロトコルを採用していた
それから2年後の2015年、Samsungは世界初のNVMeプロトコル対応のPCI Express SSD「Samsung SM951」をリリースした
NVMeを利用するには、CPU、マザーボードのBIOS、OSの3つが対応する必要がある
Samsung SSD 950 PROを構成する重要パーツ。コントローラは新開発の「UBX」、フラッシュメモリは「第2世代3D V-NAND(MLC)」、バッファ用メモリは「Low Power DDR3 DRAM」である
フォームファクタはM.2で、超薄型ノートPCに最適である
容量はまずは256GBと512GBの2モデルが登場。来年には第3世代3D V-NANDを採用した1TBも登場予定
インターフェイスはPCI Express Gen 3.0の4レーンに対応。帯域幅は4GB/secとなる
Samsung SSD 950 PRO 512GBモデルのシーケンシャルリードは最大2,500MB/secで、従来のSamsung SSD 850 PROの4.5倍、シーケンシャルライトは最大1,500MB/secで、従来のSamsung SSD 850 PROの2.8倍となる
Samsung SSD 950 PRO 512GBモデルのランダムリードは最大30万IOPSで、従来のSamsung SSD 850 PROの3倍、ランダムライトは最大11万IOPSで、従来のSamsung SSD 850 PROの1.2倍となる
Samsung SSD 850 PROのCrystalDiskMarkの結果。シーケンシャルリードは561.5MB/sec、シーケンシャルライトは530.1MB/secである
Samsung SSD 950 PROのCrystalDiskMarkの結果。シーケンシャルリードは2,594MB/sec、シーケンシャルライトは1,517MB/secである
PCMark 7のスコアはSamsung SSD 850 PROが8,222だったのに対し、Samsung SSD 950 PROは16,103と約2倍に向上。PCMark VantageのスコアはSamsung SSD 850 PROが92,468だったのに対し、Samsung SSD 950 PROは294,518と約3倍に向上した
Samsung SSD専用ユーティリティ「Samsung Magician」も新バージョンのv4.8でNVMeをサポート。v4.8は2015年10月リリース予定
NVMeドライバの対応状況。Windows 7はドライバのインストールが必要だが、Windows 8.1およびWindows 10は、標準のインボックスドライバで動作するためインストールは不要。また、LinuxやWindows Serverについても近日中に提供予定だ
TBWは256GBモデルが200TB、512GBモデルが400TBと大きい
発売は10月で、米国での希望小売価格は256GBモデルが199.99ドル、512GBモデルが349.99ドルである
エンタープライズ向け製品として、ハーフハイト/ハーフレングスのPCI Express対応SSD「PM1725」も登場。こちらは、PCI Express Gen 3.0の8レーンをサポート、シーケンシャルリードは最大5,000MB/s、ランダムリードは100万IOPSに達する

NVMeエフェクトが世界を変える

 最後のセッションに登場したのが、、SSDマーケティング部門取締役のライアン・スミス氏である。同氏は、「The NVMe Effect」と題した講演を行なった。その要旨は以下の通りだ。

 紀元前6世紀には地球が宇宙の中心で、太陽がその周りを回るという地球中心のモデルが信じられていたが、16世紀になって天文学の進歩により、太陽の周りを地球が回るという、太陽中心のモデルが正しいとされるようになった。つまり、人類が、太陽が中心だということを受け入れるまでに2,000年以上かかった。また、1992年頃から2010年頃までは、PCが情報の中心であったが、現在ではクラウドが情報の中心となっている。クラウドが情報の中心となるには20年かかった。

 SSDの進化の背景にあるのが、爆発的なデータ量の増加である。従来は家族で1台のPCを共有していたが、今では家族1人1人がPCやスマートフォン、タブレットなど複数の端末を利用するようになっており、動画の解像度も480pから1080p、そして4Kへと向上してきた。また、さまざまなインターフェイスの速度も大きく向上している。SATAでは、他のインターフェイスの速度向上に追いつかないが、NVMe PCI Express Gen 3.0の帯域なら、他の最新インターフェイスと比べても遜色はない。AHCIからNVMeになったことで、性能が大きく向上しているが、その理由はキューの数と命令数にある。従来のAHCIでは、キューの数は1だったが、NVMeでは最大64,000に、また1つのキューに詰め込める命令数はAHCIでは最大32個だったのに対し、NVMeでは最大64,000個になり、より効率のよい転送が可能になるため、ランダムアクセス性能が大きく向上する。

 また、エンタープライズの領域においても、NVMe SSDの恩恵は非常に大きい。例えば、これまでRAIDカード経由で4台のSATA SSDを接続して3.2TBのSSDを実現していたものが、NVMe HHHLサイズのSSDなら1台で実現できる。さらに、RAIDカード+SATA SSD 4台の場合、消費電力は33WでIOPSは40万以下だが、NVMe HHHL SSDなら消費電力は25WでIOPSは100万にもなる。

 NVMe SSDの高い性能は、犯罪予測や動的な交通整理など、現実世界をより良くするアプリケーションを実現可能にする。天動説から地動説へは2,000年かかった。PCからクラウドへは20年が必要であった。しかし、AHCIからNVMeへはわずか2年で変わる。バタフライエフェクトという言葉がある。これは小さな蝶の羽根の羽ばたきが、遠く離れた場所で竜巻を引き起こすことになるという意味で、すなわち非常に小さな事象でも因果関係の連鎖によって大きな結果に繋がるということだ。“NVMeエフェクト”も、現実世界を大きく変える新たな可能性を秘めているのだ。

最後のセッションに登場したのが、SSDマーケティング部門取締役のライアン・スミス氏
人類が、太陽が中心だということを受け入れるまでに2,000年以上かかった
クラウドが中心になるまでには20年を必要とした
背景にあるのは、爆発的なデータ量の増加である
携帯電話の通信速度は、3G世代は0.3Mbpsであったが、4G世代では100Mbpsに、さらに5G世代では10,000Mbpsになる
無線LANの通信速度も、11nでは600Mbpsであったが、11acでは1,300Mbpsに、11adでは7,000Mbpsになる
有線インターフェイスの速度も、USB 3.0では5,000Mbpsであったが、USB 3.1では10,000Mbpsに、Thunderbolt 3では40,000Mbpsになる
ストレージインターフェイスの速度も、SATA IIIでは6,000Mbpsだったが、NVMe PCI Express Gen 3.0では32,000Mbpsとなる
NVMe PCI Express Gen 3.0の帯域なら、他の最新インターフェイスと比べても遜色はない
従来のAHCIでは、キューの数は1だったが、NVMeでは最大64,000に、またキューに詰め込める命令数はAHCIでは最大32個だったのに対し、NVMeでは最大64,000個になる
AHCIとNVMeのイメージ。AHCIではキューが1つしかないため、コマンドが詰まり、ボトルネックとなってしまうが、NVMeなら並行して動作する
USB 2.0やIEEE 802.11nの時代は、SATA HDDでも速度的に十分釣り合っていた
しかし今は、USB 3.1やIEEE 802.11acの速度に対して、SATA HDDの90MB/secという速度は不足である
しかし、SATA SSDなら550MB/secの速度があるので、USB 3.1を別とすればほぼ釣り合う
NVMeはさらに速い
NVMe SSDなら4,000MB/secの性能があるため、最新のThunderbolt 3とも釣り合う
1080p時代に3,000~4,000人を対象に映像配信をするには、20GbpsのネットワークとSATA SSDが5台必要であった
4K時代では、同じく3,000~4,000人を対象に映像配信をするには、40GbpsのネットワークとSATA HDDが10台のシステムが2セット必要である
しかし、NVMe SSDなら10台のNVMe SSDだけで4K映像の配信が可能になる
また、これまでRAIDカード経由で4台のSATA SSDを接続して3.2TBのSSDを実現していたものが、NVMe HHHLサイズのSSD1台で実現できる
RAIDカード+SATA SSD 4台の場合、消費電力は33WでIOPSは40万以下だが、NVMe HHHL SSDなら消費電力は25WでIOPSは100万にもなる
現在はPCI Express Gen 3.0だが、将来的にはGen 4.0になり、4レーンで64Gbpsという速度を実現する
250億台ものデバイスがインターネットに接続されている
NVMe SSDの高い性能は、犯罪予測や動的な交通整理など、現実世界をより良くするアプリケーションを実現可能にする
天動説から地動説へは2,000年かかった
PCからクラウドへは20年が必要であった
AHCIからNVMeへはわずか2年で変わる
NVMeが次世代への進軍を開始する
バタフライエフェクトという言葉がある。これは小さな蝶の羽根の羽ばたきが、遠く離れた場所で竜巻を引き起こすことになるという意味で、すなわち非常に小さな事象でも因果関係の連鎖によって大きな結果に繋がるということだ
NVMeエフェクトもバタフライエフェクトと同じように、新たな可能性をもたらすであろう

最新SSD製品が一同に展示

 講演会場の隣の部屋では、SamsungのSSD製品の展示が行なわれていた。展示されていたものについては、以下の写真を見ていただきたい。

隣の部屋では、SamsungのSSD製品の展示が行なわれていた。女性が持っているのが、今回のSSD Global Summitで発表された新製品「Samsung 950 PRO」である
2015 Samsung SSD Global Summitのテーマが「Marching into the Next Era」であり、それを象徴する製品が、ここに並んでいるNVMe対応SSDである
Samsung初のコンシューマ向けNVMe対応SSD「Samsung 950 PRO」。MLCの第2世代V-NANDを採用し、512GBモデルのシーケンシャルリードは最大2,500MB/sec、シーケンシャルライトは最大1,500MB/secに達する
Samsung SSD 950のフォームファクタはM.2である
従来のハイエンドSSD「Samsung 850 PRO」と新製品の「Samsung 950 PRO」の性能比較。Samsung 950 PROは、Samsung 850 PROと比べてCrystalDiskMarkのシーケンシャルリード速度は約4.5倍、シーケンシャルライト速度は約2.8倍も高速である
8GBのファイルを複数コピーするのにかかる時間を比較。Samsung 850 PROは38.05秒かかったのに対し、Samsung 950 PROでは半分以下の15.72秒で完了している
こちらは16GBの動画ファイルを15個コピーするのにかかる時間を比較。Samsung 850 PROは1分16.05秒かかったのに対し、Samsung 950 PROでは半分以下の30.93秒で完了している
今度は、Photohopで大きな画像を開くのにかかる時間を比較。Samsung 850 PROは60秒かかったのに対し、Samsung 950 PROでは46.05秒で完了している
最後は、マルチタスク環境での性能比較。ウイルスチェックをしながら、41GBのファイルを複数コピーし、さらに大容量のデータを開くのにかかる時間を計測。Samsung 850 PROは5分59秒かかったのに対し、Samsung 950 PROでは3分30秒で完了している
昨年(2014年)登場した「Samsung 850 EVO」。世界初の3bit V-NANDを採用。パネルには4TBという文字が書かれているが、現時点で発表されているのは2TBモデルまでである
Samsung 850 EVOは、さまざまなフォームファクタの製品が用意されている。こちらは、2.5インチフォームファクタの製品
こちらはM.2フォームファクタのSamsung 850 EVO
こちらはmSATAフォームファクタのSamsung 850 EVO
昨年登場した「Samsung 850 PRO」。MLCのV-NANDを採用したハイエンドモデルである
Samsung 850 PROは、2.5インチフォームファクタのみとなっている
2015年1月に発売されたポータブルSSD「Portable SSD T1」。2.5インチフォームファクタのSSDよりもコンパクトだ
エンタープライズ向けSSDの新製品「PM1725」。NVMe対応で、フォームファクタはハーフハイト/ハーフレングス(HHHL)。シーケンシャルリードは最大5,500MB/sec、シーケンシャルライトは最大1,800MB/secと非常に高速だ
こちらは2.5インチフォームファクタのPM1725。シーケンシャルリードは最大3,100MB/sec、シーケンシャルライドは最大1,800MB/secとなる
エンタープライズ向けSSD「SM863」。2.5インチフォームファクタで、インターフェイスはSATAを採用
エンタープライズ向けSSD「PM863」。2.5インチフォームファクタで、インターフェイスはSATAを採用
エンタープライズ向けSSD「SM1637」。2.5インチフォームファクタで、インターフェイスはSAS 12Gbpsを採用。シーケンシャルリードは最大1,380MB/sec、シーケンシャルライトは最大1,130MB/secとなる
エンタープライズ向けSSD「PM1633」。2.5インチフォームファクタで、インターフェイスにはSAS 12Gbpsを採用。シーケンシャルリードは最大1,400MB/sec、シーケンシャルライトは最大930MB/secとなる
エンタープライズ向けSSD「PM9535」。M.2フォームファクタで、NVMeに対応。シーケンシャルリードは最大1,000MB/sec、シーケンシャルライトは最大870M/secとなる
サーバシステムにおける従来のDDR3メモリ+HDD環境と、DDR4メモリ+NVMe SSD環境の性能及び消費電力の比較デモ
CPUの世代も違っているので、そこも考慮にいれる必要があるが、DDR3メモリ+HDD環境の消費電力は54.88Wだったのに対し、DDR4メモリ+NVMe SSD環境では47.04Wと14%も低減されている。性能は逆に227から、37561と165倍に向上している
実際に稼働中のDDR3メモリ+HDDのシステム。消費電力は54.1Wで、性能は231TPSであった
実際に稼働中のDDR4メモリ+NVMe SSDのシステム。消費電力は47.2Wで、性能は37712TPSであった

(石井 英男)