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ARM、A15の3.5倍の性能を持つ64bit対応ARMコア「Cortex-A72」

~16nm FinFETを採用した2016年向けIPスイート

 英ARMは3日(現地時間)、2016年のモバイルデバイスに向けたCPUコア、GPUコア、インターコネクト技術を含むIPスイートを発表した。併せて、TSMCの16nm FinFETに最適化したPOP(Process Optimization Pack) IPも提供する。

 今回の発表は、2016年におけるプレミアムな体験を得られる新しい標準を提供するもので、ハイエンドのコアとなる。2016年のモバイルデバイスの用途として、4K/120fpsでの画像/動画記録、コンソールクラスの性能とグラフィックスを持つゲーム、オフィスアプリなどを流れるような操作で行なう、自然言語でのユーザーインターフェイスを挙げている。

 CPUコアは「Cortex-A72」で、64bit対応のARMv8-Aコアをベースに、16nm FinFETを用いた場合に最大3GHz、モバイルデバイスの電力の制約の中でも2.5GHzで動作できるとする。また、最大4コアで構成でき、省電力コアのCortex-A53と組み合わせてbig.LITTLE構成とすることも可能。

 性能面では、2014年におけるCortex-A15を用いたデバイスと比較して3.5倍の性能を持ち、2014年のデバイスと同じ性能であれば消費電力を75%削減できるという。すでに、HiSilicon、Rockchip、MediaTekを含む10以上のベンダーへライセンスしている。

「Cortex-A72」

 GPUの「Mali-T880」は、演算スループットを高めるための新機能や最適化が行なわれた。コアは1~16コアで構成可能。16nm FinFET製造時の動作クロックは850MHz、スループットは1,700Mトライアングル/sec、13.6Gピクセル/sec。APIはOpenGL ES 1.1/1.2/2.0/3.0/3.1、OpenCL 1.1/1.2、DirectX 11 FL11_2、RenderScriptをサポートする。

 2014年のMali-T760搭載デバイスと比較して、同じワークロードであれば1.8倍の性能かつ40%の電力削減になるという。

 また、10bit YUVを標準サポートし、ビデオプロセッサのMali-V550、ディスプレイプロセッサのMali-DP550と4K/120fpsコンテンツやHEVC動画の再生、消費電力を抑えた画像処理などが可能になる。

「Mali-T880」

 キャッシュコヒーレントインターコネクト技術の「CoreLink CCI-500」は、big.LITTLE構成時にキャッシュの一貫性を保つための操作において、従来はbig、LITTLE、I/Oの各クラスタが相互にメモリ参照を行なっていたのに対し、CCI-500はキャッシュされたメモリのタグを保管するスヌープフィルタ(Snoop Filter)を統合することで効率化した。

 これにより消費電力が12%削減されるほか、性能面でも従来のCCI-400と比較して最大メモリ帯域幅は2倍、メモリ性能は30%強化するという。

「CoreLink CCI-500」

(多和田 新也)