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AMD、クロックと電力効率の向上を両立させたAPU「Richland」を正式発表

~顔認証ログインなどの新機能も追加

新ロゴのAPU
3月12日(現地時間)発表

 米AMDは12日(現地時間)、「Trinity」の後継となるAPU「Richland」ことAMD A-5000シリーズを正式発表した。OEM向けにはすでに出荷開始されており、搭載製品は4月にも登場予定。

 今回発表となったのは、通常電圧のパフォーマンスモバイル向け4製品。プロセスルールは32nm SOIで、ダイやプラットフォームはTrinityと共通だが、性能や効率を向上させる改善を施した。性能については、クロックを向上。最上位で比較すると、新製品のA10-5750Mは、CPU定格クロックが200MHz、GPUベースクロックが37MHz高くなっている。また、対応メモリクロックが、1,600MHzから1,866MHzへ引き上げられた。

 GPUコアは、Radeon 8000Gシリーズを搭載。従来の7000Gシリーズと仕様面での差異はないが、Intelの競合製品より50%以上高い性能を発揮するとしている。

 電力効率については、Turbo COREに関して、アナログ温度センサーをAPUに内蔵させ、CPUとGPUの温度/消費電力をより高い精度で調整することで、改善を図った。具体的数値としては、Trinity A10-4600M(2.3GHz)と比較して、Richland A10-5750M(2.5GHz)は、Windowsのアイドル時と、Wi-Fiを使ったWebブラウジング時で0.3Wほどシステムの消費電力が抑えられており、45Whのバッテリ換算では12~30分ほど駆動時間が長くなるという。また、ハードウェア動画エンジンのVCEを強化し、720pの動画再生時の消費電力は3.2W削減し、バッテリ駆動時間は1.2時間引き延ばした。

 新製品のTDPはいずれも35Wだが、Configurable TDPに対応し、OEMメーカーは筐体などの熱設計にあわせてCPUのTDPを調整できる。

【各製品の主な仕様】
モデルナンバーA10-5750MA8-5550MA6-5350MA4-5150M
CPUコア4基4基2基2基
定格クロック2.5GHz2.1GHz2.9GHz2.7GHz
Turboクロック3.5GHz3.1GHz3.5GHz3.3GHz
L2キャッシュ4MB4MB1MB1MB
Radeon8650G8550G8450G8350G
GPUコア384基256基192基128基
GPU定格クロック533MHz515MHz533MHz514MHz
GPU最大クロック720MHz720MHz720MHz720MHz

 独自のソフトウェアを使った機能追加もなされており、これまでの、動画/静止画の画質を向上させる「Perfect Picture HD」、動画の手ぶれを補正する「Steady Video」、ネットワークのQoSを行なう「Quick Stream」のほか、「Gesture Control」、「Face Login」、「Screen Mirror」が新搭載された。

 Gesture Controlは、カメラに向かってジェスチャーをすることで操作を行なうもの。ブラウザや、画像表示、プレゼンテーションなどの簡単な操作ができる。Face Loginは顔認証でOSにログインしたり、特定のサイトへのパスワード入力を自動化する。Screen Mirrorは、Wi-Fi経由でDLNA対応のTVなどにPC内の写真や動画を再生させる機能。また、Wi-Fi Directによるワイヤレスディスプレイにも対応する。

 また、スタンバイやレジュームから復帰させた際に、即座にシステムが動作するよう反応性を改善。無線LANコントローラメーカー各社とも協業しており、ノートPCの天板を開けて1~2秒の内に、システムがオンになり、ネットワークにも繋がっている状態になるという。前述のFace Login機能を組み合わせると、パスワード入力操作も省略できる。同社ではこの機能を「Start Now」と呼んでいる。

 このほか、製品ロゴを刷新。「Vision」という括りはなくなり、「ELITE QUAD-CORE」などの文字で位置付けを示す。

 なお、薄型ノート向けの低電圧版は上半期後半に予定されている。

Trinityとの消費電力比較
Intel製品とのGPU性能比較
主にGPUを活用した独自機能を搭載
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(若杉 紀彦)