エプソン、カラリオプリンタ発表会レポート
~3色カラバリのEP-804Aが主力。クラウド対応も年内に

真っ赤なソファに真っ赤なプリンタ

8月31日 開催



 エプソンは8月31日、カラリオプリンタの発表会を開催した。同日発表された新製品が一同に紹介され、CMを担当する役所広司さんも登壇した。CMは、役所さんが黒木メイサさんと共演し、黒木さんは黒いメイド服で登場する。

●カラリオを支えるのはマイクロピエゾテクノロジー
羽片忠明 常務取締役

 まず、セイコーエプソン 常務取締役 情報機器事業セグメント担当の羽片忠明氏が登壇し、カラリオを始めとするエプソンのインクジェット技術の基盤であるマイクロピエゾテクノロジーについて解説した。

 マイクロピエゾテクノロジーは、ピエゾ素子に通電することで圧力でインクを噴射する。他のインクジェット技術が熱と泡を用いるのに対して、熱の影響を受けにくいため使用可能なインクの範囲が広く対応性に優れるとした。また、耐久性が高いことや、制御が正確で高画質と高速印刷が両立できるとした。

ピエゾは圧力でインクを飛ばすピエゾ素子は電圧をかけると収縮する実際には、ヘッドに数千個の穴が並んでいる
熱を使わないことによりメリットが生じるレーザープリンタに対して1/10以下の消費電力今後も独自の技術を磨き続けていくと決意を述べた

●主力は黒/白/赤の3色展開
奥村資紀 業務執行役員

 続いて、セイコーエプソン 業務執行役員 情報画像事業本部長の奥村資紀氏が登壇し、新製品の説明を行なった。

 今回発表された多数の製品群の中でも、主力は「EP-804A」シリーズだ。昨年、2つめの本体色にホワイトを採用したところ非常に好評で、今回は3つめの本体色としてレッドを採用した。レッドを採用した理由は、ノートPCでも本体色として採用されることが多く、PCと同色にしたいという要望が多かったからという。また、デジカメでもレッドの本体色が多いことも挙げていた。

 また、EP-904F/AとEP-804Aのブラックは、青味を増しており、より上質な印象を与えるという。

EP-804Aは3色のカラバリ展開EP-904F/AとEP-804Aのブラックも青味を増した

 操作面では「先読みガイド」の便利さが説明された。これは、ユーザーが何か動作を行なうと、それに応じて操作パネルに選択肢が表示されるもので、ユーザーの意志を先読みして、不要な操作の表示を行なわないようにする。

「先読みガイド」は、ユーザーが操作を行なうとプリンタが反応するADFやメモリーカードスロットへの操作にも反応

 さらに、今年のモデルの特徴として失敗しないための機構を備えたという。具体的には、コピー終了後に原稿台に原稿が残っていると注意する。また、印刷指定の内容と用紙が異なっている場合は、無理に印刷せずに白紙のまま排紙する機構も追加された。

コピー原稿の取り忘れを警告する印刷サイズと用紙が合わないときは白紙で出す無線LANのセットアップもUSBケーブルがいらなくなった。ただし、対応OSはVistaと7、Mac OS X

 4色インクモデルでは、本体サイズの小型化が解説された。前モデルのPX-403Aに対し、今年のPX-434A/404Aは35%も体積が縮小された。メインボードや電源ユニットの小型化と、配置の最適化などで小型化に成功したという。また、本体が小型化することにより、外装箱も小さくなり、コンテナで運ぶ際の効率も向上している、これが二酸化炭素排出量の削減に繋がっているという。

昨年モデルに対して底面積は約18%縮小された昨年のPX-403Aこれぐらい小さくなった
もともと詰まっているのに、さらに隙間を見つける置き場所の問題だけではなく、環境保護にも貢献する

 また、節電系では、EP-904F/AとEP-804Aに搭載された自動電源オフ機能が紹介された。メールプリントなどのクラウド対応サービスについては、現時点では予告に留まっているが、年内には対応する。

節電は重要なテーマ。上位機種にオートパワーオフ機能が備わるモバイルクラウドサービスは、印刷アプリも含めて4つ用意される対応機種と対応日程
プロセレクションシリーズ「PX-7V」新たにブルーインクが追加されたブルーインクと新しい色補正で、彩度の高い青を実現
カラリオ ミー「E-820」は、もう1つの主力機ハガキテンプレートが昨年モデルの2.5倍に増えた「暮らしの中で、無くてはならない存在」を目指す

●シェア目標は51%、キーボード付きも51%
平野精一 代表取締役社長

 続いて、エプソン販売 代表取締役社長の平野精一氏が登壇し、販売戦略を語った。

 今年のインクジェットプリンタ販売動向は、3月11日の東日本大震災で大きく落ち込んだが、6月頃から昨年を上回るまでに回復したという。今年度の市場は対前年104%の529万台を想定するという。

 この市場に対するシェア目標は51%、またキーボード付きプリンタでも51%を目指すとした。

今回発表された新製品エプソンダイレクトによる直販予定価格コンシューマ向けインクジェットの全ラインナップ
インクジェットプリンタは、家庭用とビジネス用がオーバーラップしている東日本大震災で大きく落ち込んだが、回復の兆しはある今年度は、昨年比で4%増の529万台を想定
シェア目標は過半数の51%今年の訴求ポイント

 平野社長は、6色インクモデルのラインナップを、昨年の実売4万円台/3万円台/2万円台の3シリーズから、1万円台を追加して4シリーズに拡張したことを挙げた。また、カラーバリエーションの充実、コンパクトな4色インク機種などもシェア拡大の理由として挙げられた。

 レッドが追加されたEP-804Aの、色別販売比率は、ブラックとホワイトが35%で、レッドは30%を見込む。なお、昨年にホワイトモデルを購入した人へのアンケートでは、「ボディーカラー」と「デザインの良さ」を購入理由として挙げた人が多く、カラーバリエーションの追加が購入のきっかけになっていると説明した。

昨年ホワイトモデルを購入したユーザーへのアンケート。デザインが購入のきっかけになると見る初登場のレッドは、30%売る意気込み「スマートフォン プリント」のロゴでわかりやすく訴求する
「メールプリント」は女性が使いたいと思う機能だというクラウドサービスの対応機種。低価格の無線LAN搭載機種がないので、どうしても上位機種に偏ってしまうキーボード付きプリンタの市場予想。ここでも過半数を取ると言う

 また、拡大しているスマートフォン市場への対応について、メールアドレスへ画像を送ることで印刷できる「メールプリント」、スマートフォン用の印刷アプリ「iPrint」、Apple AirPrintへの対応、Google Cloud Printへの対応の4つの手段が用意される。ただし、これらの機能は無線LAN機能の搭載が必要であり、対応するのは上位機種に限られる。

 また、PC無しで写真付きハガキが作成できる「カラリオ ミー E-820」について、市場が拡大しており、今年度は昨年比110%の14万5千台程度が見込めるとした。シェア目標は先に述べたように51%としている。

 続いて、今年は東日本大震災の際に被災地からの写真の回収や復元などが行なわれ、写真とそれがもたらす人と人の絆(きずな)が注目される年だったとして、「写真のはがきで、会いましょう。」という「絆」プロモーションが紹介された。写真によるコミュニケーションの重要さを訴えるキャンペーンで、ムービーはプロモーションサイトで見ることができる。

絆プロモーションの展開ムービーの一場面「エプソンは、何のためにプリンターを作るのか。」という問いかけから始まる、この画面で終わる2分間のムービーは訴えかけるものがある

●CMに出演する役所広司さんが登場

 今年のCMは、3年目を迎える役所浩司さんと黒木メイサさんのコンビとなる。会場には役所さんが登場し、「カラリオ名誉宣伝部長」に任命された。また、黒木さんのビデオメッセージが公開された。

 公開されたCMは2本で、カラリオ編には、テーマである「いたれり、つくせり」に即して、黒木さんがメイド服姿で出演する。紹介機種はEP-804Aだ。

 また、カラリオ ミー編では「E-820」が登場し、パソコン無しで写真ハガキができる様子が紹介された。この2台が、今年の年末商戦におけるエプソンの主力製品と見て間違いないだろう。

CMの一場面黒木さんはメイド服姿で登場訴求されるのはEP-804Aシリーズ
カラリオ ミー E-820は、パソコン無しで大丈夫と訴求カラリオ名誉宣伝部長に任命された役所浩司さん黒木さんはビデオメッセージで登場
EP-804Aシリーズを前に記念撮影

(2011年 9月 1日)

[Reported by 伊達 浩二]