アップルは14日、MacBook Proラインナップを一新して発売した。これに伴い、都内で製品に関する説明会を開催した。
新製品の4つのポイント |
新製品の詳細スペックなどに関しては別記事を参照されたいが、今回のリフレッシュの目玉としては、プロセッサとグラフィックス性能の向上、バッテリ駆動時間の延長、そして低価格化の4つのポイントが挙げられる。これについて各機種を順に追って紹介した。
まずは13インチMacBook Proだが、基本性能を支えるCore 2 Duoプロセッサのクロックの向上だけでなく、SPを48基備えた統合型チップセット「GeForce 320M」の搭載が目新しい。旧機種ではSP16基のGeForce 9400Mを搭載していたが、新製品ではこれと比較してグラフィックス性能が80%向上したという。GeForce 320M統合型チップセットの搭載はこれが世界初としている。
また、このGeForce 320Mの搭載により、バッテリ駆動時間も従来から3時間延びて10時間駆動となった。この駆動時間については、ワイヤレスLAN経由でWebサイトの巡回や、テキスト編集などを実際に行なって測定した結果であり、実利用に近い結果であるとした。
13インチMacBook Proの特徴 | 10時間という長時間駆動を実現した | 世界初搭載となるGeForce 320M統合型チップセット |
発表会で展示された13インチのMacBook Pro | 13インチMacBook Proのインターフェイス部 | 13インチMacBook Proの価格と構成 |
一方15インチMacBook Proは進化が大きい。まず、CPUがCore i5またはCore i7となり、Intel TurboBoostテクノロジーや、メモリコントローラの内蔵、Hyper-Threadingの搭載により、従来と比較して最大50%の性能向上を実現した。
また、ディスクリートGPUとして、GeForce GT 330Mを搭載。これは、アプリケーションの用途に応じて、Core i5/i7内蔵のIntel HD Graphicsとシームレスにかつ自動的に切り替えるようになっているのが特徴だ。
NVIDIAでは、ディスクリートのGPUとCPUやチップセット内蔵グラフィックスをシームレスに切り替える技術として、「Optimus Technology」があるが、アップルではこれを使わず独自の技術で実現している。
基本的には、CoreAnimationやOpenGLなどのAPIが呼び出されたときに自動的にディスクリートGPUに切り替えられ、ユーザーが意識する必要はない。また、切り替え時の画面の転暗やフリッカーなども発生しない。
Optimusでは、Core i5/i7の内蔵GPUを常時ONにする必要があるため、バッテリを余分に消耗する。しかしアップルでは独自技術によって、内蔵GPUへの電力供給を完全にカットできる。これによりバッテリ駆動時における長駆動時間と、パフォーマンスの両立を実現した。
なお、この機能は設定で、自動的に切り替えるか、常時ディスクリートGPUを利用するかのいずれかを選択できる。一方で、Intel HD Graphicsのみを使う設定は行なえない。その理由としてアップルは「MacBook Proはプロ向けの製品であり、性能を追求するユーザーのニーズへ応えるためだ」としている。
【動画】iMovieを起動すると自動的にGeForce GT 330Mが利用されるが、ユーザーにはまったく目に見えない形で切り替えが行なわれる |
このほか、最長8~9時間駆動の内蔵バッテリや、アルミ一体形成のユニボディ、Energy Star 5.0準拠やEPEAT Goldの認定などは、従来モデルを踏襲する。なお、いずれのモデルもバッテリ駆動時間が延びているが、バッテリ仕様に変更はなく、CPUやGPUなどのコンポーネント変更によるところが大きいという。
また、低価格化されたのも特徴で、13インチでは4,000円、17インチでは3万円値下げした。
Energy Star 5.0準拠やEPEAT Gold認定は従来通り | 15インチMacBook Proのラインナップ | 17インチMacBook Proのラインナップ |
発表会で展示された15インチのMacBook Pro | 15インチMacBook Proのインターフェイス | 一体形成のユニボディを採用 |
17インチのMacBook Pro | 17インチMacBook Proのインターフェイス |
また、共通する特徴として、タッチパッドのどこに指をおいても、2本指でスクロールする「モメンタムスクロール」ができるようになった。これはタッチパッドの仕様変更ではなくソフトウェアによって実現されているものだが、旧モデルのソフトウェアアップデートで同等の機能が提供されるかどうかは不明としている。
質疑応答で、iMacが16:9のアスペクト比を採用している一方で、なぜMacBook Proは継続して16:10のアスペクト比を採用しているのかという質問をしてみたところ、「モバイルなどにおいて、動画や写真鑑賞よりも、スプレッドシートやWebページの閲覧が多く、16:10のアスペクト比が好適であると我々は認識しているため」とした。
13インチにおいてCore iシリーズを採用しなかった理由については、「13インチは、価格、性能、そしてバッテリ寿命など、すべてにおいてバランスが取れているモデルと位置づけている。その回答としてCore 2 Duoが最適であったと判断した」とした。
また、Blu-ray Discドライブを搭載しなかった理由としては、Blu-ray Discのコンテンツが今後すぐに大量に普及する見込みがないのと、アップルとしてiTunes経由でHDのコンテンツを提供していくスタンスをとっていきたいためとした。
(2010年 4月 14日)
[Reported by 劉 尭]