レビュー
【NVIDIA RTX Spark実機レビュー】Arm版Marvel Rivalsでfps最大約1.8倍に
2026年10月19日 06:24
NVIDIAの新SoCである「RTX Spark」が正式発表され、実機レビューも解禁となった。RTX Spark搭載機の用途は、ゲーム、クリエイティブ、AIと多岐に渡るのと、時間の都合で詳細な性能レビューは後日の掲載となる。ただ、ゲーム周りについて興味深いデータを取れたので、速報値としてお伝えする。
RTX Sparkは、MediaTekとの協業による最大20基のGrace CPUコアと、1PFLOPS(NVFP4時)の性能を持つ最大6,144基のBlackwell GPUコア、最大128GBの共有メモリを搭載するプロセッサだ。CPUコアはArmベースであるため、OSもArm版Windowsが動作する。そこで懸念されるのが互換性である。
ただゲーム(プログラム)を動かすだけなら、Windowsにはx86向けコードをArm CPUで動かすためのPrismというエミュレーターが用意されている。しかし、一部のゲームではカーネルレベルで動作するアンチチートプログラムを採用しており、これはユーザーレベルのコード変換しかできないPrismでは対応できない。つまり、Arm向けにアンチチートプログラムを移植する必要がある。
これについては、以前からQualcommがSnapdragon向けに各社に働きかけを行なうなどして、Fortnite向けのEasy Anti-Cheatを始めとして、徐々にArm対応が進んでいる。
また、元々ゲーム業界で強い影響力を持つNVIDIAも各ゲームメーカーに働きかけ、主要なアンチチートプログラムがArm対応を果たしつつある。具体的には、PUBG、Call of Duty、Valorant、およびEAのアンチチートなどが対応を図っている最中だ。
| パブリッシャー/提供者 | アンチチート技術 | 採用タイトル例 |
|---|---|---|
| Anybrain | Anybrain | ARC Raiders、THE FINALS |
| BattlEye | BattlEye | Rainbow Six Siege、DayZ、War Thunder |
| Denuvo/Irdeto | Denuvo Anti-Cheat | ARC Raiders、THE FINALS、Dead by Daylight(trial) |
| Embark | Elytra | THE FINALS(trial) |
| Epic Games | Easy Anti-Cheat | Fortnite、Rocket League、Rust、Elden Ring |
| Gaijin | Viking | War Thunder |
| HoYoverse | HoYoKProtect | Zenless Zone Zero |
| INCA Internet | nProtect GameGuard | HELLDIVERS 2 |
| Microsoft/Mojang | Built-in(Bedrock) | Minecraft(Bedrock) |
| NetEase Games | NetEase Game Security | Marvel Rivals |
| Nexon | Nexon Game Security | MapleStory |
| Roblox/Byfron | Hyperion | Roblox |
| The Indie Stone | Built-in(server) | Project Zomboid |
| Valve | VAC | Counter-Strike 2、DOTA 2、Left 4 Dead 2 |
| Wellbia | XIGNCODE3 | Black Desert(Steam, Russia/Turkey) |
| パブリッシャー/提供者 | アンチチート技術 | 採用タイトル例 |
|---|---|---|
| Activision | RICOCHET | Call of Duty、Call of Duty: Modern Warfare 4 |
| BattlEye | BattlEye | PUBG: BATTLEGROUNDS |
| Electronic Arts | EA | Javelin |
| Krafton | Zakynthos | PUBG: BATTLEGROUNDS |
| Riot Games | Vanguard | VALORANT、League of Legends |
| Tencent | ACE(Anti-Cheat Expert) | Delta Force、Wuthering Waves、Arena Breakout: Infinite、Arknights: Endfield |
| Wellbia | UNCHEATER(historical) | PUBG: BATTLEGROUNDS |
対応中のゲームについては完了を待つしかないのだが、すでに動作するゲームの性能はどうなのか?NVIDIAから借用したASUSのノートPC「ProArt P16(H7607)」で計測してみた。借用機はメモリが最大の128GBではなく64GBだが、SoCは128GBと同じ上位モデルを採用している。ディスプレイは2,880×1,800ドット/120Hz表示対応だ。
まず、ゲームではないし、アンチチートも関係ないが、ゲーム性能計測の標準ツールの1つである3DMarkは以前からArmにもネイティブ対応している。加えて、Prismでも動作させることができるので、いくつかのベンチを両方で計測した。
結果として、PrismでもArmネイティブでも誤差レベルの違いしか見られない。これは、今回実行したベンチマークがほぼGPUにのみ依存しているためだ。GPUドライバはArmネイティブで動作しているため、CPU依存度が低いベンチなら差が出ないのであって、ベンチ(ゲーム)をArmネイティブ化させても性能が上がらないということではない。
CPU処理が多数走る実際のゲームではどうなのか?先の表の通り、Marvel RivalsのアンチチートはすでにArm対応となっているのだが、ゲーム本体もArm対応(厳密にはArm64EC対応)版がベータ検証中となっている。今回そのベータ版を入手できたので、ゲーム内ベンチをPrismとArm版とで走らせてみた。
結果として、解像度はネイティブの2,880×1,800ドット、低画質、DLSS=性能優先、フレーム生成なしの設定においてPrismでは平均53fpsだったのが、Arm64ECでは平均78fpsと1.47倍にまで性能が向上した。3DMarkとは打って変わってArm対応の効果が劇的に表われている。
これだけでも大きなブーストだが、このゲームで重い処理である、グローバルイルミネーションと反射設定を両方ともオフにしたところ、Prismでは52fpsと特に変化がなかったが、Arm64ECでは92fps、つまり1.77倍にまで向上したのだ。
ゲームによってArm対応化がどれくらいの効果を及ぼすのかは変わってくるが、Marvel Rivalsの結果を見ると、今後各種ゲームがアンチチートだけでなくゲーム本体もArm対応することで、さらに快適にプレイできるようになることが期待される。
とはいえ、Prism動作でもProArt P16の性能であれば、多数のタイトルを十分な性能で遊べる。実際にサイバーパンク2077はゲーム内の機能で、ストリートファイター6と鬼武者 Way of the Swordはベンチマーク版を使って性能を測ってみた。
サイバーパンク2077は、2,880×1,800ドット/中画質で解像度スケーリングをDLSSに変更した状態で81fps。鬼武者 Way of the Swordは2,880×1,800ドット/中画質設定で67.15fps。ストリートファイター6は、1,920×1,080ドット/中画質で対戦時が59.92fps、ワールドツアーが100.12fpsという結果だった。
今回試用したProArt P16を含めRTX Spark PCは、構成にもよるが基本的に高価なのでゲーム用途だけで使うのには向いていない。だが、NVIDIAが参入したことで、Windows on Armでのゲームを取り巻く環境がさらに改善されつつあるのは事実。RTX Spark PCは今後、たとえば最新のAAA級ゲームを快適に動かしつつ、ローカルAIを補助的に使ったゲーム配信などで力を発揮しそうだ。



























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