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NHK技研、自然な見え方で目が疲れにくい薄型HMDを開発。レイトレも活用

今回開発したライトフィールド方式のHMD

 NHK放送技術研究所(技研)は5月21日、実世界に近い自然な見え方で視覚疲労の少ないVR体験を目指した、薄型のライトフィールド方式ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を開発したと発表した。

 一般的なVR HMDでは、2枚のディスプレイの映像をそれぞれレンズで遠方に拡大表示し、左右の目に少しずれた画像(視差)を見せることで立体感を作り出していた。しかし、この方式では映像上の物体が前後に動いても、目のピントはディスプレイの位置に固定されたままとなっていたため、「視差によって知覚される奥行き」と「目のピントを合わせている位置」が一致せず、疲労や不快感の要因になっていた。

 今回採用したライトフィールド方式は、物体から放たれる「光線の集まり」を再現する技術。実世界と同じように見たい位置にピントを合わせられるため、自然で疲れにくい3次元映像を表示できると期待される。

 しかし、従来のライトフィールドHMDは、ディスプレイとレンズアレイで空中に中間像を形成し、それを接眼レンズで拡大する仕組みだった。そのため、レンズアレイと接眼レンズの間に約4cmの間隔が必要となり、大型化することが課題だった。

 そこで今回、この2種類のレンズを接触配置する独自の光学系を考案。実質的に1枚の光学素子として機能させ、光線制御と集光を同時に行なう。また、これに適した要素画像の生成手法を組み合わせることで、中間像を介さず直接3次元映像を目に届けることに成功した。これにより、光学系の奥行きを従来比で79%削減し、大幅な薄型化を達成した。

レンズアレイと接眼レンズを1つにして薄型化

 さらに、高精細なマイクロディスプレイを採用し、膨大な光線の計算を高速で行なう「レイトレーシング技術」による要素画像の高速生成と組み合わせることで、高精細な3次元映像のリアルタイム表示を実現したとしている。

新開発のライトフィールドHMDで見える3次元映像

 今後は、3次元映像の高精細化と表示範囲の拡大に向けた改良を進め、教育、医療、エンターテインメントで活用することが期待される。この技術は5月28日から31日にかけてNHK技研で開催されるイベント「技研公開2026」にて展示する。