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VALORANT、マザボを更新しないとプレイ不可に。BIOSの脆弱性でチート対策に不備

 Riot Gamesは、マザーボードのBIOSを更新していない一部PCで、FPSゲーム「VALORANT」の起動をブロックする計画だと明らかにした。BIOSの脆弱性を悪用したチートへの対策だと説明している。ASUS、GIGABYTE、MSI、ASRock製のマザーボードが影響を受ける。

 VALORANTをはじめとする同社の一部ゲームでは、ゲームクライアントやカーネルモードドライバなどを組み合わせた独自のアンチチートシステム「Vanguard」が採用されている。これにより、従来のようなクライアント側のアンチチートでは対策が難しい、カーネルレベルで動作するような高度なチートも検出できる仕組みとなっている。

 高度なチートの中には、DMA(Direct Memory Access)デバイスを用いた手法が存在し、CPUやOSを迂回して、メモリに直接アクセスすることでチートを実現している。これに対しては、多くのBIOSに搭載されている「Pre-Boot DMA Protection」(プリブートDMA保護)が活用されている。ハードウェア機能であるIOMMU(メモリ管理ユニット)を利用し、起動シーケンスにおける不正なメモリアクセスを排除することで、システムの信頼性を担保し、DMAデバイスによるチートも防いでいる。

 ところがVanguardの調査チームが、一部のマザーボードのBIOSにおいて、IOMMUを正しく初期化できていないのにも関わらず、IOMMUが有効であると誤ってOSに通知してしまう不具合を発見。影響を受けるデバイスでは、Pre-Boot DMA ProtectionをBIOS上で有効にしているにもかかわらず、PC起動直後の数秒間、DMAデバイスがメモリにアクセスして、不正なコードを注入できる状態にあった。アンチチートも想定通りの効果が発揮できていなかったということになる。

 Riot Gamesでは事前にハードウェアベンダーと調査結果を共有。各ベンダーは12月17日に対策済みのBIOSを公開しており、ユーザーはこれを適用することで正しくデバイスが保護できるようになる。影響を受けるのは、ASUS、GIGABYTE、MSI、ASRock製のマザーボード。

 この影響で、VALORANTの起動が制限されるケースがあるとしており、制限対象となった場合にはガイダンスに従ってBIOSの更新などを行なうよう呼びかけている。また今後、アセンダント以上(ランクマッチの上位帯)の全プレイヤーに対し、対策済みBIOSの適用を要件として定めることも検討しているという。