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80TOPSのAI性能を持つSnapdragon X2 Elite。NPUの詳細が明らかに
2025年11月19日 23:00
Qualcommは、同社の本社があるカリフォルニア州サンディエゴ市において「Snapdragon Architecture Deep Dive 2025」を開催し、PC向け最新SoC「Snapdragon X2 Elite」に関する詳細を説明した。
本レポートではSnapdragon Architecture Deep Dive 2025のセッションの中で明らかにされた、ノートPC向けSoCの中では現状トップとなる80TOPSの性能を実現しているNPU、そしてそれ以外のSoCの詳細などに関して紹介していく。
第6世代となるNPU6で80TOPSのAI性能を実現
Snapdragon X2シリーズのNPUは、Qualcommが「NPU6」と呼んでいる、第6世代のSnapdragon用NPU(Hexagon NPU)が採用されている。Qualcommは、どの世代がどの製品に搭載されているかを明白にしていないが、Snapdragon XシリーズはNPU3だったと今回明らかにした。Snapdragon X2シリーズに搭載されたNPUはそこから3世代分新しくなったということになる。
NPU6はスカラーエンジンが12基、ベクターエンジンが8基となっているほか、2bitウェイトの行列演算器が実装されているなど、基本的にはSnapdragon 8 Elite Gen 5に搭載されているHexagon NPUと同様のスペックになっている。Qualcommは明確にはしていないが、Snapdragon 8 Elite Gen 5にも同じNPU6が搭載されていると考えてよいだろう。ただし、クロック周波数などはPC向けとは異なっている可能性があるので、PC向けと同じ性能を発揮するかは分からない。
既報の通り、このNPU6は80TOPSというピーク性能を発揮する。MicrosoftがCopilot+ PCの要件で定めている40TOPSのちょうど倍となる性能だ。また、電力効率の改善も大きな特徴の1つで、従来製品に比べると同じ電力(5W)で1.6倍性能が向上していると明らかにした。
実ベンチマークではProcyon AI Computer VisionでCore Ultra 9 285Hと比較して5.7倍、Apple M5と比較して1.95倍、Core Ultra 9 288Vと比較して2.22倍の性能を発揮するというデータを公開した。
「PCに呼びかけるとスリープ復帰」を低電力で実現する「Sensing Hub」
また、今回のSnapdragon X2シリーズでは、通常のNPUに加えて、Qualcomm Sensing Hubという低消費電力の小型NPUも実装されている。前シリーズには搭載されておらず、新シリーズの大きな強化点の1つとなる。Sensing Hubは、SoCの中でも低消費電力アイランドに置かれており、Windowsがモダンスタンバイになっていて、CPUやGPUといった電力食いのプロセッサが停止している状態でも動作し続けている。
では何ができるのかというと、オーディオやカメラの機能を動作させ続けて、登録したユーザーがカメラに写ったときだけスタンバイから通常モードに復帰する、あるいは登録したユーザーの声でPCに話しかけたときだけ、スタンバイから通常モードに復帰するといったことが可能になる。
たとえば、Microsoftは9月のイベントで「Microsoft Copilot 365 on Taskbar」というソリューションを発表し、「Hey Copilot」とPCに語りかけるとCopilotが動き出すという仕組みを発表した。PCがこのHey Copilotに反応するためには、何らかのプロセッサが常時動いていないといけないので、仮にCPUを使ってバッテリ駆動時に実現しようとすると無駄な電力を消費することになる。しかし、このSensing Hubを利用すれば、CPUなどは停止したままで、Sensing Hubだけが動いている状態でスタンバイできるため、電力消費を抑えられる。
カメラも同様で、登録しておいた人がカメラの前に来たとき、CPUやGPUを起こすことなく、Sensing HubだけでCMOSセンサーが捉えた画像を処理できるようになる。ほかのセンサーなどを装着することなく、低コストで人感センサー的な動作を実現できる。
なお、Snapdragon X2シリーズのISPは、18bitのISPが2つ実装されており、MIPI CSI-2を利用してカメラを接続して、通常のUSBカメラよりも圧倒的に高画質にすることが可能だ。
ビデオ処理エンジン(VPU)はAV1のエンコーダ機能が搭載されているほか、スマートフォンへの実装が進むAPVコーデックにも対応している。
また、ディスプレイ出力(DPU)に関しては、4×4K/144Hzないしは4×5K/60Hzの出力が可能。つまり、内蔵ディスプレイ1つに加えて、3つの5Kディスプレイを接続でき、従来の3×4K/60Hz、2×5K/60Hzと比べて出力できる解像度やディスプレイ数が向上している。この点は従来Snapdragon Xシリーズの弱点だったが、競合のIntelやAMDに追い付いたと言える。
5GとWi-Fi 7は外部チップで実装。企業管理向けのSnapdragon Guardian Technologyも
通信関連のチップは基本的には外付けだ。5G/LTEの実装には「Snapdragon X75 5G Modem-RF System」が採用され、最大10Gbpsの下り通信速度を実現可能。マザーボードへの実装はM.2を介して行なえる。Wi-Fi/Bluetoothに関しては「Fast Connect 7800 System」が利用でき、Wi-Fi 7(6GHzにも対応、ピーク時4.3Gbps)、Bluetooth 5.4をサポートしている。
USB4には3ポート対応しており、PCI Express 5.0は12レーン、4.0は4レーンで、そのうち4レーンを2つ利用してNVM ExpressのSSDを接続できる。また別途UFSにも対応しており、UFS 4.0が利用可能だ。
今回Qualcommは、企業向けの機能として「Snapdragon Guardian Technology」をSoC上に統合している。これは、SoC上に独自のマイクロコントローラとして実装され、OSから独立して動作している。企業などに対してはクラウドベースのツールが提供され、そのツールから現在地の把握、デバイスの利用中断、リモートワイプ(リモートからデータ削除指令)などの措置をとれる。
IntelのvProや、AMDのAMD PROなどに実装されているような機能と似たもので、企業向けの高度な管理機能の実装に向けた第一歩と言える。





























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