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Adobe、Photoshop/Fireflyが自律的にコンテンツを作るエージェント型AIを追加
2025年10月28日 22:00
Adobeは10月28日～10月30日(現地時間)の期間で、クリエイター向け製品の年次イベントである「Adobe MAX 2025」を、米国カリフォルニア州ロサンゼルス市のLACC(ロサンゼルス・コンベンション・センター)で開催している。初日となる10月28日には、同社CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏など同社幹部が登壇して基調講演が行なわれる。
それに先だって、同社の生成AIアプリ/サービスとなる「Firefly」向けに多くの拡張を発表。また、操作方法を教えてくれたり、クリエイターの意図を理解したりして自律的に動作するAIアシスタントをAdobe ExpressやAdobe Photoshop、Fireflyに実装する計画であることを明らかにした。
エージェント型AIの機能がFirefly/Express/Photoshop Web版に実装
Adobe MAXでは通常、Creative Cloudの最新アプリが発表されることが多い。本年もCreative Cloudのアップデートが多数発表されているが、それに加えてここ数年の傾向として「Firefly」に関する発表も多い。
その中で注目を集めるのは、Web版PhotoshopとExpressに、AIアシスタント機能の付加だ。Photoshopのようなプロフェッショナル向けのツールは、「プロならこういう機能を知っていて当たり前」といったことを前提に設計されているため、どこから手をつけたらいいのかわからないというのは「初心者アルアル」の1つと言える。
そこで、プロンプトにやりたいことを入力すると、AIアシスタントが、「このメニューを開き、これを選択し、このボタンを押す」という具体的な作業方法を教えてくれるという具合だ。
AdobeはこれらのAIアシスタント機能を「Project Moonlight」という名称でWeb版Fireflyにも搭載する。Project Moonlightでは、クリエイターのSNSや対話型のやりとりなどを通じてコンテキスト(文脈や趣向)も理解し、それに基づいてコンテンツ生成などを自動で行なってくれる。それにより、クリエイター自身の特性やアイデアなどを生かしながら、より高度なコンテンツ生成が可能になる。まさにエージェント型AIだ。
また、ChatGPTなどのチャットボット型AIとの連携も強化される。ChatGPTとExpressのアカウントをリンクさせることで、ChatGPTからExpressを利用したコンテンツデザイン、カスタマイズなどが可能になる。ある程度ChatGPTで作業した後、より詳細な編集をしたい場合には、Expressに移って作業を継続できる。
ExpressのAIアシスタントはベータ提供、Web版PhotoshopのAIアシスタントはウィッシュリスト形式のベータとして、そしてProject Moonlightはプライベートベータとして提供開始される。
AIアシスタント機能は今後、デスクトップ版PhotoshopやIllustrator、Premiereなど、ほかのアプリにも拡大していく計画だ。
Firefly Image Model 5やパートナーモデルなど生成AIモデルも拡張
Adobeは今回Fireflyの基礎となる生成AIモデルも拡張している。AdobeはFirefly向けに、Firefly Image ModelやFirefly Video Modelなど自社開発した生成AIモデルと、Gemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)に代表されるパートナー提供モデルを実装している。自社モデル、パートナーモデルのどちらを利用している場合でも、権利者の権利を侵害するデータでは学習しない、著作権者や商標などの権利を侵害するイメージは生成しないといった商用利用に関するFireflyの特徴は担保されている。
今回Adobeは、自社のイメージ生成モデルを「Firefly Image Model 5」へとメジャーバージョンアップしたことも明らかにしている。Firefly Image Model 5では最大400万ピクセルで写真品質のイメージを生成可能になっている。
また、Prompt to Edit(画像を編集)と呼ばれる機能が追加される。従来のイメージ生成モデルでは、1つのプロンプトで1つの画像を生成するだけで、ユーザーのイメージに合致した画像を生成するまで何度もプロンプト内容を変えて指示し続ける必要があった。しかし、Firefly Image Model 5では、生成した画像を元に、変えてほしい部分だけプロンプトで再編集させる「プロンプトベース編集」ができるようになった。
さらに、Fireflyの画像編集機能にレイヤー機能がプレビューとして追加された。これにより、Fireflyで生成した画像をPhotoshopで読み込み直さなくても、Fireflyの中である程度の編集ができるようになった。
パートナーモデルには、新たに「Topaz Bloom」「Topaz Gigapixel」「ElevenLabs Multilingual v2」の3つが追加された。Topaz Bloomはアップスケーリングや質感の強化、ディテール追加の機能などがあり、画像をより豪華にできる。Topaz Gigapixelはアップスケーリングに特化したAIモデルで、解像度の低い画像で失われている部分などをAIが補いつつアップスケーリングできる。ElevenLabs Multilingual v2は音声合成の生成AIモデルで、1つの音声データから、同じトーンのまま別の言語に変換した音声を作成できる。
また、エンタープライズ向けの機能として「Firefly Custom Models」のベータ版提供開始を発表した。Firefly Custom Modelsは、大企業のデザイナーなどが、自社のロゴや商標などを利用して生成AIモデルを学習できる機能。Firefly Custom Modelsは、ウィッシュリスト形式のベータとして早期アクセスが提供される予定だ。
Firefly Webの生成AI機能も拡張。サウンドトラック生成、音声生成、動画編集などが可能に
Web版Fireflyの機能も拡張。Generate Soundtrack(サウンドトラックを生成)、Generate Speech(音声を生成)、Firefly video editor(動画を編集)、Prompt to Edit(画像を編集、既出)の4つが追加され、ベータ機能として提供開始される。
Generate Soundtrackは、ユーザーがプリセットされたタグの中から好みのもの選ぶだけで、動画にあったサウンドトラックを作成してくれる機能。現状タグは英語版のみとなっているが、「落ち着いた(peaceful)」「反射的な(reflective)」などがある。
Generate Speechは、Premiere(今回からPremiere ProはPremiereに名称変更されている)向けと同様に、日本語の音声を英語に変換する機能。
Firefly video editorは、Fireflyの中で動画を編集する機能で、動画生成の機能と組み合わせてPremiereのようにタイムラインとクリップベースで簡単な動画の編集ができる。
Generate Soundtrack、Generate Speechはベータとして、Firefly video editorはウィッシュリスト形式のベータとして提供開始される。