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国内PC市場の上期は過去最高。GIGAスクールとWindows 10 EOS特需が貢献

2025年度上期の国内出荷統計(JEITA調べ)

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した国内PC出荷統計によると、2025年度上期(2025年4月~9月)は前年同期比63.9%増の571万6,000台となり、約1.6倍の高い成長を遂げていることが分かった。金額ベースでは、前年同期比43.5%増の5,917億円とこちらも高い伸びを見せている。2007年度からの現行方式での集計に移行して以来、出荷台数、出荷金額ともに、上期では過去最高の実績を記録した。

 特に、GIGAスクール構想第2期によって学校現場へのPC導入が促進されている影響が大きく、導入対象となるモバイルノートのカテゴリでは、出荷台数が前年同期比110.3%増の326万6,000台と、2.1倍の成長になっている。また、2025年10月14日に迎えたWindows 10のサポート終了(EOS)に伴う駆け込み需要も見られており、集計対象となるすべてのカテゴリで、台数および金額ともに、前年同期実績を2桁以上上回る結果となっている。

 2025年度上期実績をカテゴリ別に見てみると、ノートPCは、前年同期比67.8%増の504万5,000台。PC出荷全体に占める構成比は88.3%となった。そのうち、モバイルノートは、先に触れたように、前年同期比110.3%増の326万6,000台となり、ノート型/その他は同22.5%増の177万9,000台となった。

 モバイルノートでは、平均単価が大きく下落。2024年度上期には11万6,162円だったものが、2025年度上期は8万9,835円となっている。1年間で約2万6,300円も下落しているのは、5万5,000円の補助金によって整備が進んでいるGIGAスクール構想第2期にあわせて出荷された低価格のモバイルノートPCが多いことを裏づけている。

 これまでのところ、GIGAスクール構想第2期向けのPCは、四半期末ごとに出荷が集中する傾向があり、6月と9月の伸び率が顕著だ。2025年6月の実績では、モバイルノートが前年同月比で250.4%増と3.5倍に大きく成長し、平均単価は7万8370円にまで下落。2025年9月も、前年同月比134.2%増と2.3倍の出荷台数となり、平均単価は8万0637円に下がっている。

 一方、デスクトップPCは、前年同期比39.6%増の67万1,000台。そのうち、オールインワンが同26.1%増の8万4,000台、単体が41.7%増の58万7,000台となった。

 なお、2025年度第2四半期(2025年7月~9月)の出荷台数は前年同期比64.4%増の308万7,000台。また、2025年9月の実績は前年同月比86.4%増の144万5,000台となっている。法人向けも、個人向けも好調であり、月別集計では、15カ月連続で前年実績を上回っている。

 2025年10月14日に迎えたWindows 10のEOSも、2025年度上期の国内PC出荷にプラスの影響を及ぼしている。JEITAでも、「9月はWindows 10サポート終了に向けての需要が継続した」と総括している。

 JEITAの出荷統計では、Windows 10のEOSによる特需の動きが捉えにくいが、量販店やECサイトなどの販売動向を集計しているBCNによると、その影響が明確に出ている。

 BCNの集計によると、今年(2025年)に入ってから、販売台数は、前年実績を上回る形で推移しているが、7月7日~13日に、前年同期比61.8%増と大きく伸長して以降、その勢いを持続。EOSを約1カ月前に控えた9月8日~9月14日では前年同期比2倍の水準を突破。9月29日~10月5日では同159.9%増と、前年同期の2.6倍になり、EOS直前となる10月6日~12日は233.3%増と、前年同期比で3.3倍を達成した。

 EOSの日(10月14日)を含む10月13日~10月19日の集計では、需要が集中する土日(10月18日、19日)がEOS後ということもあり、EOSの特需効果は減速。前年同期比90.0%増となっている。まだ新たなOS環境への移行が完了していない個人向けPCが多いが、今後、EOS特需の影響は縮小していくことになるだろう。

 なお、MM総研によると、2025年10月1日時点で、国内で約6,400万台のPCが稼働しており、そのうち、Windows 10のシェアは19%、約1,200万台のWindows 10搭載PCが残っていると見ている。そのうち、700万台以上が個人向けPCであり、残りの500万台弱が法人向けPCと推計している。1年前の2024年10月時点では、Windows 10のシェアは34%で、この1年間で15%のWindows 10ユーザーが、Windows 11などに移行した模様だ。また、Windows 11のシェアは70%に達しており、約4,500万台が稼働していると見ている。