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Qualcomm、6G対応の商用化前デバイスを2028年初頭に投入へ
2025年9月24日 15:11
Qualcommは米国時間9月23日~9月27日(日本時間9月24日~9月28日)に、同社の年次イベントとなる「Snapdragon Summit」を米国ハワイ州マウイ島において開催している。初日となった9月23日午後には、同社CEO クリスチアーノ・アーモン氏が基調講演を行ない、2016年に最初のイベントがニューヨークで開催されてから10周年となったことを祝ったほか、QualcommのAI活用に関するビジョンなどを説明した。
この中でアーモン氏は「これまではスマートフォンのようなデバイスが中心にあったが、AI時代にはAIエージェントが中心になってユーザー体験を規定していく」と述べ、AI時代にはエッジとクラウドのハイブリッドで実現されていくAIエージェントこそが重要になり、人間とAIエージェントのインターフェイスとしてスマートフォンやPC、自動車などが位置する形になっていくと予測した。
また、そうしたAIエージェントセントリック時代の通信手段として6Gの存在が重要になるとし、「Qualcommは2028年初頭に6G対応の商用化前デバイスを投入する計画だ」と述べ、5G時代もそうだったように、準備が整えば規格化に先駆けて対応デバイスを市場に投入する計画だと明らかにした。
Snapdragon Summitは今年で10周年。中国市場を見据えて開催は前倒しに
Snapdragon Summit(旧名Snapdragon Tech Summit)は、Qualcommが例年10月~12月の期間に開催している年次イベントで、同社のスマートフォンやPC向けSoCを発表する場として利用されている。ここ数年は年々開催時期が早まっており、以前は12月に行なわれていたのが11月になり、2024年は10月、2025年はついに9月にまで前倒しされた。
Snapdragon Summitの開催時期が年々早まっているのは、中国国内向けのフラグシップAndroidスマートフォンの発表時期が11月に設定されていることが影響していると考えられている。というのも、Qualcommにせよ、競合のMediaTekにせよ、フラグシップ向けのSoCを最初に採用するのは中国のスマートフォンメーカーで、その製品の多くが11月に発表され、中国の年末商戦に投入されるのが通例だ。そこに間に合わせるために、少しずつ前倒しされるようになり、2025年はついに9月下旬になったというのがその背景となる。
なお、Snapdragon Summitと同時開催で、中国国内向けの別のイベントが行なわれており、今回のアーモンCEOの基調講演もそこでライブ中継されているということだ。そのため今回は、そうした中国国内でのライブ中継を意識し、アーモンCEOの基調講演は現地時間15時(日本時間午前10時、北京時間午前9時)に設定されていた。
なお、Qualcommはまもなく次世代のフラグシップ向けモバイルSoCを「Snapdragon 8 Elite Gen 5」という名称で発表することを先週明らかにしているし、COMPUTEX 2025のタイミングでPC向けのSnapdragon Xシリーズの後継製品をSnapdragon Summitで発表する計画であることもすでに明かされている。本日はそれらに関する発表はなく、明日以降なんらかの形で行なわれるものとみられている。
スマートフォンセントリックからAIエージェントセントリックへと変わっていくと予測
アーモン氏は講演の冒頭で、「我々はこれまで、Snapdragon Everywhere(どんなデバイスにもSnapdragon)ということを実現しようとしてきた。しかし、これからはAI Everywhere(どこにもあまねくAI)を実現しようとしていきたい」と述べ、これからのクライアントデバイスには、どんなデバイスであろうともエッジとクラウドをハイブリッドにしたAIが搭載される未来を実現していくことが重要だと指摘した。
そしてそうしたAI Everywhereを実現する為には「AIが新しいUIとなること、スマートフォン中心からAIエージェント中心に、それを実現するためにコンピュータのアーキテクチャを変えていくこと、AIモデルをエッジとクラウドのハイブリッドにすること、エッジのデータを適切に処理すること、知覚をもった未来のネットワークがあること、という6つのことを実現していく必要がある」と述べ、今後AIによりクライアントデバイスの変革を実現していく必要があると指摘した。
中でもアーモン氏が強調したのが、従来のようなデバイスを中心に置く考え方から、AIエージェントを中心に置き、それをよりよく利用するためのデバイスという考え方に転換していく必要があるという点だ。
アーモン氏は「これまで人間がコンピュータを使うには、コンピュータを勉強して理解する必要があった。しかし、AI時代はAIが能動的に人間の考えていることを理解し、AIがユーザーインターフェイスとなっていく。その時代に中心にあるのはスマートフォンのようなデバイスではなく、中心にあるのはAIエージェントだ」と述べ、LLMの発展形として現在注目を浴びているAIエージェントが、人間の発言の文脈などを正しく理解して、さまざまな処理を行なってくれるようにするのが新しいコンピュータの形になるとした。
2028年初頭に6Gの商用化前デバイスを投入へ
AIエージェント時代には、AIがエッジ側、クラウド側で動いているという区別は意味がなくなっていき、クラウドとエッジのハイブリッドで動くようになるのが当たり前になっていくとアーモン氏は述べる。そうした時代に重要になるのが、現在のセルラー通信で利用されている通信規格「5G」の次世代となる「6G」だと強調した。
アーモン氏は「6Gはクラウドとエッジの接続をより効率よく行なうことを可能にする。通信帯域幅を広くするのはもちろんこと、データ量の増加にも対応可能になる。6Gではエッジとクラウドの新しいユースケースが提案され、デジタルツインなどだけでなく新たなユーザー体験を提案できるようになる。Qualcommは業界各社と開発を続けており、2028年初頭には、商用化前デバイスを投入できると考えている」と、6G対応製品の投入の見通しについて言及した。
Qualcommは5Gや4G時代にも、他社に先駆けて対応のモデムを市場に投入し、一番乗りを果たした実績がある。特に5Gの時代には、5G NRにいち早く取り組んで、他社よりも早く、ついでに言うと規格の策定よりも早くドラフトの段階で対応製品を投入した。2028年の初頭に対応製品が登場するのであれば、その前年の2027年には製品を発表している必要があり、おそらく6Gでも同じように規格が固まる前であっても出せるようになった段階で、対応製品を出していくという計画である可能性が高い。
そうした計画を前提に「2028年初頭に商用化前デバイスを出荷」というタイムラインを示してきたのだと言え、6Gでも他社よりも早く製品を投入するというQualcommの強い意志が反映されていると言えるだろう。

















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