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スカイマークで、本物のフライトシミュレーターを見てきた!
2025年7月22日 18:00
スカイマークは、カナダ・モントリオールに本社を置くCAEが製造した「ボーイング737-8フルフライトシミュレーター」を、東京・羽田空港の同社シミュレーター棟に導入し、このほど、その様子を報道関係者に公開した。
フライトシミュレーターは、実際の航空機の操縦室、操縦装置、装備品、操縦室内の計器類など、コックピット内をすべて再現した模擬飛行装置であり、今回、スカイマークが導入したフルフライトシミュレーター(以下FFS)は、6軸方向に動き、揺れを感じるモーション装置や、14個のスピーカーによるエンジン音などのサウンド効果、CGにより外界の景色を投影する映像装置などを搭載しており、加速度を感じながら実際の航空機を操縦している感覚で飛行訓練を行なえる。
操縦操作によってエンジン出力を高め、機体が動き出すと、画像も動き出し、同時にモーションジャッキが動き、機体が後ろに傾くことで加速を感じることができる。
スカイマーク運航本部訓練審査部SIM管理課課長の田沼潔氏は、「天井部分に3台のプロジェクタを設置し、CGによる映像を、半透明スクリーンの裏側から投影。この映像を球面ミラーに反射させて、パイロットはそれを見ることで、臨場感のある環境で訓練などができる。球面ミラーは、薄いアルミ箔によって構成され、それを後ろ側から空気を吸引して凸面鏡を作って映し出す。ひずみがなく、遠いところと近いところの遠近感がある映像を投影できる」という。
同社では、すでに保有している2機の737-800型機FFSと組み合わせて、パイロットや整備士の訓練、試験、審査などに活用していくという。
FFSの概要
FFSは、コックピットや機体の動作などを忠実に再現するように作られており、今回導入した装置は、スカイマークがすでに発注しているボーイング737-8を再現している。同機は、通称「737MAX」と呼ばれており、737-800の後継機と位置づけられている。日本の航空会社では、現時点で就航している機体はないが、スカイマークのほかに、JALやANAも導入を決定している。
「実機が導入される前からFFSによって訓練を開始することになる。2025年10月から、パイロットの訓練を開始し、来年(2026年)以降の新機体導入に向けた準備を進める」とし、「実機の機体そのものは、737-800とほぼサイズは同じで、座席数も同じである。だが、エンジンには新たなCFM LEAP-1Bを搭載したことで大型化しており、低燃費を実現し、航続距離が1,000kmほど伸びている。座席あたりの燃料消費量や二酸化炭素排出量を約15%軽減できる。
コックピット内部の大きな違いは、コックピット前方のディスプレイが大型化している点であり、ポーイング787のようになっている。また、インジケータにも違いがあり、表示される情報量が増加している」という。
スカイマークでは、737-8よりも全長が長く、座席数が多い737-10の導入も決定しているが、同機に向けた訓練については、「737-8 FFSで訓練を行ない、差分を実機の訓練で対応することを検討している」と述べた。
搭載しているCPUなどについては明らかにしていないが、OSにはWindows Server 2019を採用している。
パイロット訓練の評価などについては、同席している教官が評価しており、操作データの分析やAIなどの活用は行なわれていない。
FFS導入のメリット
同社では、実機での訓練をFFSに置き換えることで、経済性、安全性、効率性、SDGsの観点からもメリットがあるとする。
「経済性では、燃料代が不要になること、訓練に伴うタイヤやオイルなどの整備費用が不要になること、着陸料などの経費の削減も可能になり、電気代だけで済む。SDGsの観点からも貢献できる。
また、安全性では、ハードランディング、クラッシュ、空中での異常姿勢も模擬することができる。実機で発生したイレギュラーな現象を再現することも可能だ。さらに、効率性では、気象状況や実機の手配といったことに左右されず、計画的に訓練を実施でき、機体を故障状態にしたり、現実ではなかなか体験できないような悪天候を再現したりといった特殊な訓練も繰り返して行なえる」とした。
スカイマークが就航している羽田や新千歳、福岡、那覇などの空港の様子を映し出し、実際の様子をシミュレーションするほか、雪が積もった滑走路への着陸、濃霧などの視界が悪い状態での着陸の再現が可能だ。
たとえば、氷が張った状態の滑走路で離着陸し、その映像を映し出しながら、ブレーキやステアリングが効きにくい状況も体験できるなど、過酷な飛行条件下の訓練もできる。スカイマークが就航していない伊丹空港の映像を表示し、インシデントが発生したことを想定した着陸シミュレーションなども行なえる。
また、他機と急接近した場合には空中衝突防止装置(TCAS)を作動させて回避したり、コックピット室内に煙を出して、火災が発生した状況を模擬的に作ったりすることも可能だ。
さらに、実機に搭載するNAVデータを検証することもでき、4週間に一度ぐらいのペースで、FFSを活用して、NAVデータによるルート検証などを行なったのちに、実機に搭載することになるという。
今回、スカイマークが導入したFFSは、国土交通大臣が認定する模擬素行装置等認定要領に規定した要件を満たしたもので、FFSの中で最高位となる「レベルD認定」を受けている。
「パイロットの訓練に使用するために必要な認定であり、その点で、テーマパークのアトラクションや、個人用フライトシミュレータとは異なる。これは、実機とシミュレータの性能が同じであることを証明する認定検査であり、1年ごとに定期検査も受けている」という。
導入時に初回認定検査を受けて、国土交通省から認定証が発行されて運用を開始。さらに年3回の社内検査を実施した上で、国土交通省による毎年1回の定期検査を行ない、合格証を受け取ることで、認定を維持することになる。また、機器の性能に影響が出る改修や、設置場所を変更した場合には、臨時検査を受けなくてはならない。
認定検査と定期検査は、性能検査と機能検査で構成され、これらの検査が完了するまでに約1週間を要するという厳しいものになっている。さらに、2024年度からは、FFSの管理方法を定めた品質管理規程が制定されたことにより、2年に一度、航空局の品質監査を受けることになる。なお、この品質監査に合格すると、定期検査の間隔を3年まで延長することが可能だ。
同社によると、制度的には、認定を受けたFFSによる訓練だけで、実機を操縦せずに、パイロットライセンスを取得できるという。
なお、スカイマークのシミュレーター棟には、今回導入したボーイング737-8 FFSをあわせて、3機のFFSを導入しているほか、タッチパネルによるパイロットの訓練を行なうフラットパネルトレーナーなどを設置。さらに、客室を再現した設備を用意し、客室内で発煙させて、ドアを開けて脱出する訓練なども行なっているという。
スカイマークは、1998年9月に、羽田-福岡線で就航したのが始まりで、現在、ボーイング737-800型機(177席)を29機使用し、国内12空港24路線(季節定期便を含む)で運航している。
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