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Microsoft、従来より5,000倍速く精度も高い気象予測AI「Aurora」
2025年5月26日 11:30
Microsoftらの研究チームは21日(米国時間)、地球の気象などを予測するAI基礎モデル「Aurora」の有用性についての研究結果を発表した。この成果はNature誌でも同日掲載された。なお、AuroraはGitHubからダウンロードできる。
従来の数値に基づいた気象予測は強力だが、計算コストが非常に高くなる。近年成長しているAIを用いれば予測性能と効率の両方を向上させる可能性が示されているが、地球システム領域においてはまだ十分に探求されてこなかった。
そこで、Microsoftらは、100万時間を超えるさまざまな地球物理学的データに基づいてトレーニングされた大規模AI基礎モデルの「Aurora」を開発した。
- 多様な形式の入力データを、普遍的な潜在3次元(3D)表現に変換するエンコーダ
- その3D表現を時間的に進展させるプロセッサ
- 標準3D表現を物理的な予測値に変換するデコーダ
Auroraは以上の3要素で構成される。プロセッサは3D Swin Transformerとして、エンコーダとデコーダはPerceiverベースのモジュールとして実装されている。事前トレーニングは予報、解析/再解析データ、気候シミュレーションといったデータを用いており、モデルのサイズは13億(13B)パラメータとなっている。その後、ファインチューニング(追加学習)を行ない、新しいタスクやデータセット、変数に効率的に適応させる手法を採る。
その結果、Auroraは熱帯低気圧の進路予測において、世界の複数の主要な予報センターのシステムを上回る性能を示し、実際に2023年7月に発生した台風“ドクスリ”の進路を正確に予測できたという。
波浪予報においても、ECMWF((欧州中期予報センター)のIFS高解像度波浪モデル(HRES-WAM)と比較して同等もしくはそれ以上の性能を発揮。2022年9月に日本に上陸した台風14号“ナンマドル”の影響による波高を、既存の最高レベルの予測モデルを超える精度で予測できたとしている。
大気化学と大気汚染の予測についても、Auroraはコペルニクス大気モニタリングサービス(CAMS)の予測と比較して、多くの項目で同等またはそれ以上の性能を示した。事例として、2022年6月13日にイラクで発生した大規模な砂嵐を発生1日前に正確に予測した。
Auroraの特筆すべき点は、その予測速度と効率性だ。高性能なGPUを用いれば、従来システムでは数時間要していた同等の予測をわずか数秒で生成可能で、これは約5,000倍の高速化に相当するという。この特性により、特に既存の気象予報サービスが十分でない地域や国において、局所的で高解像度な予測や洪水モデリングなどへの活用が期待されている。
一方で、Microsoftの研究チームは、Auroraが直ちに従来の予報システムに取って代わるものではなく、当面はそれらを補完する役割を担うだろうとの見解を示している。














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