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第5世代CoreプロセッサはRAW画像/動画の現像を加速
(2015/6/25 06:00)
インテル株式会社は、第5世代Coreプロセッサのプレス向け説明会を都内で開催した。
説明会には同社チャネル事業本部チャネル規格戦略室室長の小澤剛氏、セールスチャネル事業本部の梶原武志氏、フィールド・アプリケーションエンジニアの牧野拓也氏が登壇。6月2日にCOMPUTEX TAIPEI 2015で発表された、“新第5世代Coreプロセッサ”と内蔵の「Intel Iris Pro Graphics 6200(以下、Iris Pro 6200)」について解説が行なわれた。
まず現行のCoreプロセッサのラインナップについて、小澤氏による説明が行なわれた。
現行のCoreプロセッサファミリーは、モバイル向けとデスクトップ向けの2つに大きく分けられる。その中で型番の末尾に付けられたアルファベットでさらに分かれており、モバイル向けではハイエンドノートPC向けの「H」、メインストリームノートPC向けの「M」、より省電力な「U」、Core M用の「Y」の4つ、デスクトップ向けではエンスージアスト向けの「X/K」、「R/C」、メインストリームPC向けの「S」の5つとなっている。
今回、COMPUTEX TAIPEI 2015で発表され、インテルが“新第5世代Coreプロセッサ”とした製品は、ノートPC向けの「Core i7-5950HQ」、「Core i7-5850HQ」、「Core i7-5750HQ」、「Core i7-5700HQ」、「Core i5-5350H」および、デスクトップ向けの「Core i7-5775C」、「Core i7-5775R」、「Core i5-5675C」、「Core i5-5675R」「Core i5-5575R」の10製品。この内、Core i7-5700HQ以外はIris Pro 6200を搭載している。
この新製品群について、小澤氏は特徴として、LGAパッケージプロセッサ、およびモバイル用Core i5プロセッサで、初めてIris Pro Graphics(以下、Iris Pro)を搭載している点を挙げた。
第5世代Coreプロセッサは、アーキテクチャの構造は“Haswell”こと第4世代Coreプロセッサから変更されていないが、14nmプロセスでの製造により余裕ができた分をGPUに割り当てることで、グラフィックス機能が強化されている。
デスクトップ向けの前世代CPU、「Intel HD Graphics 4600」搭載のCore i7-4790Sと、Iris Pro 6200搭載のCore i7-5775Cの比較では、3Dグラフィックス性能で2倍、ビデオ変換で35%の性能向上を実現。さらに、CPUとしての純粋な計算性能も20%向上しているという。
モバイル向けの前世代Iris Pro 5200搭載のCore i7-4950HQと、Iris Pro 6200搭載のCore i7-5950HQの比較では、3Dグラフィックス性能で20%、ビデオ変換で20%、オフィス系アプリの処理で15%の性能向上となっていた。
2011年に発売された“Sandy Bridge”こと第2世代Coreプロセッサ搭載の「HD Graphics 3000」と、第5世代Coreプロセッサ搭載のIris Pro Graphics 6200を比較すると、実行ユニット数は12個から48個と4倍に増加。2006年のIntel CPUとの性能比では、9年間で100倍を実現したという。
Iris Pro 5200で採用されたeDRAMも、64MBから128MBと倍の容量となった。
小澤氏は「今のIris Pro 6200に他社のハイエンドGPUと肩を並べる性能があるわけではない」としながらも、既に「世にあるビデオカードの8割をカバーできる性能」と述べ、今後もグラフィックス機能へ注力し、次期アーキテクチャ“Skylake”でも強化していくとした。
【お詫びと訂正】初出時、第2世代Coreプロセッサの発売年の記載に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。
また、今回発売されたCore i7-5775CおよびCore i5-5675Cは、クロックのアンロックに対応するなど、従来ならKシリーズとして発売されていたような製品だが、インテルは新たに「Contents Creation」の意を込めたCシリーズとしてラインナップに加えていると述べ、Kシリーズとは位置付けが異なる、という点を強調していた。
Core i7-5775CとCore i5-5675Cの大きな特徴として、TDPが65Wに抑えられているという点がある。この省電力性によって、AiOや小型PCといった小さなフォームファクタでも、Iris Pro Graphicsによるグラフィックス性能を搭載できるようになった。コアクロックのアンロックやチューニングオプションも用意されているが、あくまでエンスージニアやパワーユーザー向けの機能であると述べた。
その後、梶原氏が登壇し、Iris Pro 6200のデモンストレーションを行なった。Iris ProシリーズはRAWデータの現像に対して最適化を図っている。
デモの内容は、4K解像度のRAW形式で撮影された映像をプレビューするというもの。インテルはIntel Media SDK上で動作する、RAW形式の画像・動画の処理を行なえるプラグイン「Media RAW Accelerator」を開発しており、それを利用したキヤノンの「Canon Cinema RAW Development」というRAW形式の4K映像編集ソフトが使用された。
比較するのはCPU(Core i7-5775CとCore i7-4790K)以外同じ構成のデスクトップPCで、同じ4K映像のリアルタイムプレビューを行なうというもの。Intel HD Graphics 4600を内蔵するCore i7-4790K搭載マシンでは、秒間20フレーム前後となっていたが、Core i7-5775C搭載マシンでは40フレーム前後で安定しており、およそ倍のフレームでプレビューが可能となっていた。
梶原氏は、キヤノンだけでなく他社カメラメーカーとも2年前から協力してきており、各カメラの色味などに合わせられるようパラメータを用意し最適化が可能になっていると述べ、「従来は撮影現場で4K映像のプレビューを行なうには大がかりな機材が必要となっていたが、これによりノートPCを持ち込むだけで済む」と業務効率の向上についてアピールした。当然、このことは個人のノートPCでも4K動画の迅速な撮影活動ができることを意味する。
RAW形式ファイルへのハードウェア支援はデジカメの静止画現像にも対応し、ビット深度は16bitまで扱えるという。ライブラリやサンプルコードなども無償公開しており、インテルでは既に画像編集ソフトの開発企業などにも、同アクセラレータに対応してもらえるようアプローチしているという。