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富士通、共有サーバーのファイル転送を10~20倍高速化するソフト技術

技術概要

 富士通研究所は、遠隔地からのファイル共有サーバーへのファイルアクセスをソフトウェアで高速化するデータ転送技術を発表した。

 発表されたのは、モジュールをクライアント、サーバー共にインストールしておくことで、データとヘッダーの分離、およびクライアント - サーバー間の通信を中継するソフトウェアで、遠隔ネットワーク上複数のファイル名、ファイルサイズなどの情報取得で発生する通信回数を減らし、ネットワーク遅延の影響を低減することでファイル転送を高速化する技術。

 実験では、多数の小容量ファイル転送を行なった場合で最大10倍、単一の大容量ファイルの転送時で最大20倍の高速化を確認したという。

 現在、ファイル共有システムで利用されている、CIFSやSMBといった通信プロトコル(ファイル共有プロトコル)では、多数のファイルを含むフォルダのコピーを行なう際、ファイルごとに属性情報やファイル取得の通信が発生するため、遅延が大きいネットワーク環境でフォルダの転送を行なうと各通信の遅延が累積してしまう。

 同技術では、サーバー側のモジュールがクライアントからダウンロード要求された全ファイルを一括し、代理で先読みを行ない、まとめてクライアント側のモジュールに転送。クライアント側のモジュールは、クライアントのデータ取得要求に対しサーバの代理で応答することで、既存のファイル共有システムを維持したまま高速化を可能にしたという。

 また大きいサイズのファイルを転送する場合、通信プロトコルがファイルを数十KB程度の小さなデータに分割し、各データに都度変更されるヘッダー情報を付加するため、同一データを転送したことがあっても異なるデータとして扱われ、重複除去の対象とならないが、サーバ側のモジュールでヘッダー部分を分離してから重複除去を行なうため、ヘッダーが付加されてもデータが同一であれば重複除去の効果が発揮されるという。

 これらの技術はソフトウェアとして実装されているため、高速化の手段として回線増強や専用ハードウェアを導入する方法にくらべ、ソフトウェアのインストールのみで導入コストが低く、ハードウェアでは難しかった数KB程度の小容量ファイルの大量転送も高速化出来るという利点がある。

 富士通は同技術を、2015年度中にデータ収集、統合ソフトウェアの転送高速化機能として製品搭載を目指すとしている。

(佐藤 岳大)