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モバイルノートの牽引で、国内PC市場が回復

 国内PC市場の回復が一段と加速している。

 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2024年度上期(2024年4月~9月)の国内PCの出荷実績は、前年同期比13.2%増の348万7,000台、出荷金額は同16.8%増の4,124億円となった。

 出荷台数、金額ともに前年実績を上回ったのは、2023年度下期(2023年10月~2024年3月)に続き、2半期連続。上期に出荷台数が前年実績を上回ったのは、2019年10月の消費増税前の駆け込み需要と、2020年1月のWindows 7延長サポート終了前の特需が重なった2019年度上期の51.4%増となって以来、5年ぶりとなった。

 内訳をみると、2024年度上期のノートPCの出荷台数は、前年同期比16.8%増の300万6,000台となり、そのうちモバイルノートが同36.6%増の155万3,000台となり、持ち運びに適したモデルが好調であることが示された。15.6型ノートPCを中心としたノート型・その他では、同1.2%増の145万3,000台と微増に留まっている。

 また、デスクトップPCは、前年同期比5.2%減の48万1,000台となり、そのうち、オールインワン(一体型)が同19.6%減の6万6,000台、単体が2.4%減の41万4,000台となっている。

 こうしてみると、好調な伸びをけん引しているのが、モバイルノートPCであることが分かる。

 さらに、平均単価を比較すると、2023年度上期は11万4,606円、2023年度上期は11万4,884円だったのに対して、2024年度上期は11万8,268円と、3,500円前後の上昇がみられている。部材価格の高騰や、長期化する円安の影響が平均単価を引き上げているほか、高性能PCに対する需要の増加も影響している。

 四半期ごとの集計でも需要の回復ぶりが分かる。

上半期のPC出荷台数の前年同期比推移

 2024年第2四半期(2024年7月~9月)の出荷台数は前年同期比18.1%増の187万8,000台。そのうち、ノートPCは同20.1%増の161万1000台、デスクトップPCは同7.2%増の26万6,000台となり、いずれも前年実績を上回っている。出荷金額で見ても、PC全体で前年同期比22.2%増の2,187億円、ノートPCが同27.1%増の1,862億円、デスクトップPCは同0.1%増の325億円と、こちらも前年実績を上回った。四半期単位の集計では、2023年度第3四半期から4四半期連続で、台数および金額ともに前年実績を上回っている。

 特に好調なのが、法人向けPCだ。JEITAによると、月別に見ても、3カ月連続で台数、金額ともに前年同月比を上回っているという。

 2025年10月に予定されているWindows 10の延長サポートの終了に合わせた買い替え需要が徐々に顕在化しているほか、コロナ禍でのテレワークの促進にあわせて導入されたノートPCの買い替えや、新たに登場しているAI PCへの関心の高まりなどが影響している。さらに今後は、教育分野におけるGIGAスクール構想第2期によるPC導入が本格化することになり、PC市場はさらに活性化しそうだ。

 今後の国内PC市場の成長曲線は上向くことになるだろう。