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NTT、HDMI信号を世界最速で劣化なしに長距離伝送する技術。変換遅延は0.1ミリ秒以下

本技術とIOWN APNを活用した映像伝送

 日本電信電話(NTT)は8日、HDMI信号を世界最速で劣化なしに長距離伝送する技術を発表した。本技術は4K/120HzやフルHD/240HzなどのHDMI信号を非圧縮のまま世界最低遅延である0.1ミリ秒以下で光伝送信号へ変換するもので、高精細な映像と音声を劣化させずに遠隔地でリアルタイムに再現できるという。

 VRやAR分野において、物理的に離れていても多数の人が同じ場所にいるかのような、没入感の高いリアルタイムコミュニケーション空間の実現が求められている。没入感を得るためには、映像を複数地点で同時に感じられるリアルタイム性と、実物を見ているように感じられる高精細さの両方が必要で、HDMI信号を長距離伝送する際には低遅延かつ高精細であることが求められる。

 従来のIP網利用を前提とした技術では、ネットワークの遅延および帯域不足に伴う、信号圧縮による遅延や画質と音質の低下といった問題が発生していた。本技術は、同社の次世代ネットワーク「IOWN オールフォトニクス・ネットワーク」(IOWN APN)と組み合わせることで、非圧縮のHDMI信号を長距離にわたって低遅延で伝送でき、上記の問題を解決している。

従来技術の課題

 技術的には、HDMI信号を大容量/固定帯域/固定遅延のレイヤ1信号(OTN信号)へ直接収容することで、映像信号の圧縮に要する時間を不要とし、劣化や通信による遅延変動なしに遠隔地への映像転送を可能としている。

 また、本技術はFPGA上で利用可能な回路情報(FPGA-IP)として実現しており、ポート数やサイズに応じた柔軟なハードウェア構成が可能となっている。本FPGA-IPはライセンス形式で販売されており、さまざまな製品やソリューションに組み込むことができる。

今回開発した回路情報(FPGA-IP)とハードウェアとの組み合わせイメージ

 同社は今後、本技術とIOWN APNを組み合わせたソリューションのVRやAR分野への展開を目指すほか、遠隔合奏や遠隔でのダンスレッスンなどのタイミング合わせが重要な遠隔アクティビティや、遠隔でのディベートおよび漫才、工場のライン監視、鉄道や交通の監視などへの利用も期待している。