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Meta、初のARグラス「Orion」発表。手の動きや目線での操作も可能

Orion

 Metaは25日(米国時間)、同社初となるARグラス「Orion」を発表した。コードネームProject Nazareと呼ばれていたもので、現時点では製品プロトタイプとなっている。2024年内にかけて社内および一部社外のユーザーに提供し、改良を重ねた上で、将来的にはコンシューマ向けの発売も見据えているという。

 Orionは、一般的なメガネと同様のコンパクトな形状を実現したARグラス。透明なレンズに情報が投影される仕組みとなっており、現在のMRヘッドセットやARグラスと異なり、現実世界とのつながりを維持したまま利用できるとする。手の動き、目線、音声などでの操作が可能で、スマートアシスタントのMeta AIも搭載しており、ハンズフリー通話やメッセージの確認/送信、映像視聴なども行なえるという。

 軽量で、光学的なアーチファクトや迷光が発生せず、屈折率も高い炭化ケイ素をレンズ素材として採用することで、約70度の広視野角を実現。プロジェクタには小型で電力効率に優れるマイクロLEDを使用しており、ナノスケースの3D構造をした導波管を通じてレンズに投影される。

 フレームには光学素子の配列を保ちながら放熱性も確保できるマグネシウムを採用。縁には7つの極小カメラとセンサーを内蔵した。温度変化によるフレームの膨張/縮小を検知し、工学的配列を修正することで、非常に高い光学精度も実現している。

 あわせて、AIや機械認識、グラフィックスのアルゴリズムに最適化したカスタムシリコンを開発。複数のカスタムチップを用意し、それぞれに高度なカスタムシリコンIPブロックを配置することで、ハンドトラッキングやアイトラッキングなどARグラスで必要となる処理の消費電力を縮小したという。

コンピュートパック
リストバンド型の操作デバイスも用意

 ハンドトラッキング、アイトラッキング、SLAM(自己位置推定およびマッピングの同時実行)などはグラス側で処理を行なうが、アプリのロジック処理を担うデバイスとしてコンピュートパックも用意。ARグラスとはワイヤレスで接続され、バッグやポケットに入れたまま使用できるデザインとなっている。

 また操作方法の1つとして、筋電位を使って操作を検知するリストバンド型デバイスも用意。スワイプやクリック、スクロールといった操作が可能で、使えば使うほどユーザーに適応していくため、微妙なジェスチャーも認識できるようになっていくという。

 同社では今後、ARディスプレイのさらなる品質向上、小型化のための最適化、生産規模拡大による手頃な価格の実現の3点に注力していくとしている。

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