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AIでナスカの地上絵を新たに約300件発見。サンプル増で解析も加速

 山形大学は9月24日、同ナスカ研究所とIBM研究所による共同プロジェクトで、AIを活用して新たに303個の新たなナスカの地上絵を特定し、その目的を明らかにしたと発表した。

 ナスカ台地では、これまでの研究で動物や植物、道具などを描いた具象的な地上絵が430個確認されており、山形大学ナスカ研究所では人工衛星や航空機、ドローンなどを活用し、うち318個を発見してきた。しかし、台地は約400平方kmと広大で、高解像度航空写真をすべて目視で確認し、全域の現地調査を実施することは困難となっている。

 一方で、地上絵をAIで発見しようとすると、トレーニングデータの量が限られることが課題となる。そこで、今回の共同プロジェクトでは、少量のトレーニングデータでも高いパフォーマンスを発揮できるというIBM開発のAIモデルを採用。その結果、AIが特定した計1,309件の有望な候補から、約4分の1について現地調査を実施することで、6カ月間で303件の具象的地上絵を新たに発見した。

 あわせて、具象的地上絵が大きく増えたことで、地上絵におけるモチーフや分布などの解析が可能となった。これによれば、曲がりくねった小道沿いに分布し、人間や家畜、首級などが主に描かれた面タイプの地上絵は、個人や小規模のグループの掲示板のようなものとして、直線と台形のネットワークに沿って分布し、主に野生動物が描かれた巨大な線タイプの地上絵は、共同体レベルの儀式的な活動のために、それぞれ用いられたものだと考えられることが分かったという。

 研究グループでは、AIモデルのさらなる能力向上や、そのほかの候補地の現地調査、地上絵の分布や組み合わせの分析および情報の解読などを今後も進めていくとしている。