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dynabook 35周年を祝う「ダイナブック大作戦 in 秋葉原」開催。歴代製品の展示も

 Dynabookは、dynabook誕生35周年記念イベント「ダイナブック大作戦 in 秋葉原」を開催した。期間は8月9~10日。

 1989年発売の「DynaBook J-3100 SS001」をはじめとした歴代の実機を展示したほか、dynabookの歴史をまとめたパネル展示も実施し、ノートPCが辿ってきたフォームファクタの変遷も俯瞰できる構成となっていた。

 また、現行モデルを用いたワークショップや生成AIの体験ブースも展開。登壇者の多くは動画サイトやSNSで活躍するインフルエンサーということもあってか、展示機のリアルタイム世代から家族連れまで幅広い層の来場者で賑わった。

Dynabook J-3100 SS001と現行の「Dynabook R9」分解モデルの展示
カタログスペック比較
2007年日経産業新聞の切り抜き
歴代のDynabookを展示
35年の歴史から特徴のある機種をまとめた年表もパネル展示
海外仕様を含めた当時のカタログ
J-3100GT(1987年)
DynaBook J-3100 SS001(1989年)
DynaBook EZ486P(1993年)
Libretto SS 1000(1998年)
TECRA 780 DVD(1998年)
DynaBook SS 2010(2002年)
DynaBook SS S5(2002年)
DynaBook G7(2003年)
dynabook Qosmio G10(2004年)
dynabook SS RX1(2007年)
dynabook Satellite J70(2007年)
dynabook Qosmio GXW(2009年)
dynabook TX/67J2(2009年)
dynabook Kira V83(2015年)
dynabook R631(2011年)
dynabook G(2019年)
現行モデルも一堂に展示
モバイルノートのRXで「ヘブンバーンズレッド」が試遊できた

 生成AIの体験ブースでは、Firefly、Runway、Suno、Copilotでそれぞれ静止画、動画、音楽、PowerPoint資料の生成手順に触れることができた。来場者の中にはここで初めてAIを使う体験をした人もおり、特にRunwayの動画生成を見て思わず歓声を上げる場面も見られた。

Sunoの作曲体験ブース
Runwayの動画生成体験ブース

 試作品のXRグラスも試用できる状態で展示。レンズ部分に線状のフィルムを備えており、フレーム上部から投影した映像を反射して眼に届ける。離れて見ると視界を塞ぎそうにも思えるが、グラスをかけるとレンズを通した視界に入力した映像が半透明にかぶって見える。

 展示では映像入力をテンプル部分の先端からUSBで行なっていたが、Bluetooth接続も可能とのこと。フレーム前面にはカメラを3基搭載。いずれは被写体を認識して、内容に応じた情報を表示するAR機能も利用できるようにしたいという。製品化については検討中としている。

XRグラス
フレーム上部からの映像をレンズ内フィルムに反射させて眼に届ける
テンプル部分にはDynabookのロゴをデザインに組み込んだ
展示ではテンプル後部からPCに有線接続していた
体験展示席
各種生成AIを使ったワークショップ用にPCを用意
会場の外には縁日のような出し物もあった。参加するとノベルティがもらえた

AIが作った"難問"に挑戦

 初日に実施したトークセッションでは、クイズプレーヤーでタレントの伊沢拓司さんが登壇。生成AIが作ったクイズに回答しながら、クイズ問題の組み立て方について解説したほか、自身のAI活用法について語った。

 生成AIによる出題は全部で3問。「伊沢拓司さんに出題したら面白いかもしれない難問」として生成したものだという。内容は4つのヒントから回答を導き出す形のクイズで、伊沢さんはそのすべてに正解した。

 AIの問題作成能力については、「設問に特徴的なワードや周辺知識、背景情報が入っており、情報の取捨選択が上手く、全体的によくできている」と評価。改善点としては「強いて言うなら」と前置きした上で、「答えに近いヒントの出るタイミングが早すぎる」「科学的に曖昧なワードが使われている」点を指摘した。

1問目。答えは「ボリビアの首都ラパス」(スクレも正解)
2問目。答えは「星の王子様」。ヒントにある『王子』という単語はもっと後でよかったという
3問目。答えは「マイケル・ファラデー」。ヒント3に含まれる「電気」は「電荷」とするとより回答しやすくなると指摘した

AIは「何も持っていない人がいきなり魔法を手にできる道具ではない」

伊沢拓司さん

 伊沢さんはAIの活用法として「アイデア出しのためのブレインストーミング」や「文章表現の修正」などを挙げている。ただし、毎回実用的な成果が得られるわけではなく、ある程度間違えることは織り込み済みで付き合う必要があると話した。

 「僕としては、まずは自分の中に知識やリテラシーがあることを前提に、他者の目線を持った相棒として使ってあげることが大事かと思います。それは自分がやったらどうしても時間がかかってしまうことを手早くやってくれる他者としての存在。言ってみれば“(古畑任三郎の)今泉慎太郎”です。

 “ワトソン”はちょっと違う気もしますが、ともかく愚直で、ときにミスはするのだけれど、真面目にはやってくれる。ちょっとどんくさくて泥臭い相棒です。一般的なAIのイメージとは違いますが、実際できることに得手不得手がある。それが今のAIの立ち位置なんだと思います」

 AIを学習に用いることで、どのように効率化できるかとの問いには「適材適所」の配置が最も大きなポイントだと答えた。

 「効率化以前に、AIが知識ベースでどのくらい正しいことを言っているのかを自分自身で判断できないといけません。先程のクイズにもあったように、答えが1つでないものや、曖昧なものを設問としてそのまま採用してしまったりもするので、結局は正しい知識が必要になります。

 そうした細かな穴に気付きながら使うことで、自分の能力を高めていける。これがAIを使った学習の良いところです。AIを疑うことで自分の能力が高まり、それによってAIに対する判断が効くようになって、結果として効果的なプロンプトが書けるようになる」

 「AIは、上手く使うことで自分の強みをより強化するツールだと思います。何も持っていない人がいきなり魔法を手にできる道具ではありません。まずは自ら学び力をつけること、その上でさまざまな技術から得られる力を何倍にもすることが基本です。AIを使う上で、自分ができることをよりスピーディにする、という意識は常に持っておきたいですね」