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サードウェーブの新社長に元インテルの井田晶也氏。法人市場に注力
2024年6月19日 15:44
株式会社サードウェーブは、第42期開始日の8月1日より、井田晶也氏が取締役社長 兼 COOに就任する。現代表取締役社長 最高経営責任者(CEO)の尾崎健介氏は、代表取締役会長 兼 CEOという役職に変わる。
社長交代に際し、6月19日に都内で記者会見が開催され、尾崎氏が社長交代の目的を説明するとともに、井田氏が社長就任後の抱負や目標/戦略について解説した。
尾崎氏によれば、今回の社長交代の目的は「高まる法人でのAI需要に応えるため、サードウェーブの注力事業が個人向け(BtoC)から法人市場(BtoB)にシフトすることを明確にするため」とする。
井田氏は2006年にインテルに入社し、2014年に同社執行役員を務めた経験があり、業界でも顔が広い人物。弊誌に熱心な読者でも、インテル関連のイベントで何度かその名前を見てきたはずだ。その井田氏だが、実は2023年にサードウェーブに入社しており、法人事業部を率いてきた。今回の社長交代が、高まる法人AI需要に応えるための事業拡大を目的としているのは、非常に明確だ。
井田氏は、「社長に就任するというのは、正直戸惑いや不安があるのも確かだが、サードウェーブを日本が代表するPCメーカーに育てていきたいという意思はある。サードウェーブは創業40周年を迎える中、創業当初の思いを込め、私は“Future Unleashed(未来を解放する)”という企業スローガンを掲げ、邁進していきたい」と語った。
今、サードウェーブの最大の武器といえば、言うまでもなく個人向けのゲーミングPCである「GALLERIA」シリーズだ。受賞歴もあり、強いプレゼンスを誇り、ハイエンドPCとしてゲーマーやクリエイターといったさまざまなユーザーに使われている。
しかし、2023年の経営方針の発表の中で経営方針は転換点を迎え、CAD、プログラミング、映像クリエイターといった法人市場に展開するため、GALLERIAとraytrek、THIRDWAVEという3つのブランドを整理。ハイエンドCPUを搭載したPCが法人を中心に出荷数が増加していることから、成長分野である法人市場に注力していくという。
多くの調査結果では、今後はサーバーやクラウドサービスにおけるAIのみならず、エッジAIが大きく成長していくという。特に日本においてはクラウドのみならず、オンプレミスの需要が高い。井田氏は「サードウェーブの強みである綾瀬市の自社工場生産を生かし、法人向け製造ラインの増設などで短納期を実現しつつ、企業ごとの異なる細かいニーズに対応していきたい」とする。ちなみに直近では7月3日に新製品を発表する予定だという。
また、生成AI向けのディスクリートGPUを搭載したハイエンド製品の拡張、BI向けソリューション、オンプレミスのワークステーションの提案も行なっていくほか、サスティナビリティの強化として、長期の補修サービスの提供を行なうなど、幅を広げていきたいとした。
最後に同氏は「100年先も世の中で求められる企業を目指す」という目標を掲げ、3年で法人の売上を2倍にし、総売上1,000億円を達成するという短期目標も明らかにした。
質疑応答で個人向けの取り組みについての変化はあるのかについて質問がなされ、井田氏は「eスポーツのスポンサーや大会への支援はこれまで通り活動を続け、市場拡大を目指し行なう。あくまでも成長市場である法人をプラスする姿勢」であることを明らかにした。
また、日本を代表する企業としてグローバル展開はあるのかについて問われると、「我々の強みは日本市場に最適な製品とサービスの提供にあり、金融や公共といったオンプレミスに応えられる点である。しかし、日本を代表するということは世界からも認知されなければならないと考えており、5年あるいはその先にグローバル展開もあるのではないか」と語った。