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日本でも急速に進むAI活用、スムーズな導入が競争力の鍵。マイクロソフトの活用事例も

 日本マイクロソフト株式会社は6日、生成AI「Microsoft Copilot」に関する最新情報や活用法を紹介する報道者向けセミナー「Café Copilot」を実施した。

 セミナーでは、同社が5月に公開したAI活用の実態についての調査「Work Trend Index 2024」の結果をもとに、企業でのAI導入がいかに競争力の維持に不可欠であるかが強調されたほか、同社内でのCopilotの活用事例について解説が行なわれた。

 AIのビジネスにおける活用はこの半年で急速に広まっており、調査によると職場でAIを活用している社員のうち46%が直近半年以内で使用し始めたという。職場でのAI利用率は世界平均で75%だが、日本では言語の壁や生成AIサービスの成熟度などが影響し、32%と未だに低い状況にある。

 こうした背景から、世界のビジネスリーダーの79%が企業の競争力の維持にAI導入を必須事項と考えており、一方で60%が自社においてAIを活用した具体的な戦略や計画を持っていないと回答している。日本での結果は順に67%および49%で、日本のビジネスリーダーもAI導入を必須と考えているが、世界と比較して具体的なビジョンを見据えている企業が多い。

 また調査によれば、AIユーザーの78%が自前のAIツールを職場に持ち込み利用する「Bring Your Own AI」(BYOAI)のトレンドが特に中小企業を中心に進んでいるという。この傾向は全年齢層に共通で、Z世代が85%、ミレニアムやX世代は70%後半とそこまで世代間の差はないという。

 Work Trend Index 2024では、AIに関する世界のトレンドとして3つの結論を挙げている。従業員は職場でAIを使いたいと考えており、企業データを安全に活用するための対策が急務であること、AIを幅広く積極的に利用するパワーユーザーが台頭しており、未来の働き方を明らかにしていること、そしてキャリア設計のハードルがAI利用の習熟度により変化することが示されている。

 セミナーでは、AI導入の具体的な事例として、日本マイクロソフト社内における生成AIサービス「Copilot for Microsoft 365」の活用例を紹介している。同社では、全社員がCopilotを活用することを奨励しているほか、AIを使用する意義は感じても使用方法が分からない人向けにCopilotの活用事例を発掘し、それを社内で共有するためのコンテストを開催している。

 Copilot for Microsoft 365の具体的な活用例として、サポート部門では、顧客の問い合わせ内容を正確にまとめるためにCopilotを利用している。これにより、従来は5~10分かかっていたまとめ作業を5秒に短縮し、効率化と人的エラーの防止が実現している。また、Copilotを使うことで、事象/原因/解決策を素早くまとめることができ、精神的な負担も軽減されている。

 営業部門では、海外本社での顧客との重要な会議や連日の議事録作成にCopilotを活用している。Copilotは会議のトランスクリプトを要約し、初稿の議事録を迅速に提供することで、膨大な作業時間を必要とするまとめ工数を圧縮し、ビジネスディスカッションに集中できる環境を整えている。

 技術支援部門では、英語が飛び交う重要な定例会議で、ディスカッションに加わることを支援している。英語が得意ではない社員も、Copilotを使って会議の内容を効率よく把握し、適切なタイミングで発言することができるようになった。

 同社はAIを活用することで、創造性が必要な作業に時間を投資できるほか、AIによる客観的な意見を得ることで、アンコンシャスバイアスを取り除いて新たな気づきを得ることができるなど、複数のメリットを挙げている。