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Adobeの生成AI「Firefly」が1周年。これまでの歩みや最新情報を紹介

 Adobeは、本日21日に1周年を迎えた生成AI「Firefly」の振り返りや最新情報を紹介する発表会を実施した。

 発表会では同社 常務執行役員 兼 CDOの西山正一氏が登壇し、同社の生成AIに関する1年間の軌跡を振り返るとともに、開発中の生成AI技術や、フェイク画像対策のCAI/C2PAの進捗などを紹介した。

アドビ株式会社 常務執行役員 兼 Chief Digital Officer 西山正一氏

 西山氏によると、同社の生成AIサービスは、安心して商用利用できることを重視して開発されている。たとえば、著作権侵害のないクリーンなデータでトレーニングしているほか、物議を醸し出すようなキーワードは除外されているという。

 加えて、生成AI機能は同社のアプリ内で利用可能であり、アプリユーザーは特別な学習なしに直感的に生成AIを使用できるのも特徴の1つだという。フェイク画像への対策も講じており、コンテンツ認証情報を生成時に付与することで、コンテンツが生成AIで作成されたことを追跡できるようになっていると説明した。

 この1年間でFireflyでは、画像生成や生成塗りつぶし、生成拡張、テキストからのベクター/テンプレート作成など、さまざまな機能がリリースされ、PhotoshopやIllustratorなど既存のアプリで使用できるようになった。

 西山氏は、本日21日に3D制作向けツール「Adobe Substance 3D」へのFirefly機能の追加を発表したことや、Adobe Acrobatにおける対話型AI「AI Assistant」など、Firefly以外の生成AI機能も開発していることにも触れ、生成AI機能は今後さらに進化していくと語った。

 西山氏はこのほか、開発中の生成AI新技術として、動画ファイルを話者の音声で翻訳しつつ、翻訳後の言語にあわせたリップシンクも作成する「Dubbing & Lip Sync」や、テキストプロンプトで音楽を生成できる「Project Music GenAI Control」も紹介した。

Dubbing & Lip Sync
Project Music GenAI Control

 同社が主導するCAI(Content Authenticity Initiative)やC2PAについても説明しており、12日にNHKが国内メディアでは初の加入を果たしたことを皮切りに、日本でも受け手がコンテンツが生成AIによるものかどうか、正しく見極められる環境が近い未来に整うだろうと同氏は述べている。

 同社は今後も生成AIに注力し、商用利用の促進やユースケースの情報共有、CAIおよびC2PA普及活動など、さまざまな活動に取り組み普及促進に努めていくという。