ニュース

Microsoft 365で生成AIが使える「Copilot Pro」、個人向けに月額3,200円で提供

Microsoftが個人向けMicrosoft 365向けに投入するCopilot Pro。月額20ドル(税別。日本では税込み3,200円)/1ユーザーで提供される(写真提供:Microsoft)

 Microsoftは1月15日(米国時間)、既に大企業向けに対して一部提供を開始しているMicrosoft 365の生成AI機能拡張「Copilot for Microsoft 365」の個人向け版に相当する「Copilot Pro」を、1ユーザーあたり月額20ドル(税別)で提供開始することを明らかにした。日本では3,200円(税込み)となる。

【11時35分追記】日本価格を追記し、タイトルを変更しました

 これにより、「Microsoft 365 Personal/Family」を契約しているユーザーは、追加でCopilot Proを契約すると、OfficeアプリケーションからCopilot for Microsoft 365と同様の生成AI機能を利用できるようになる。

個人向けMicrosoft 365ユーザーに生成AIをもたらす「Copilot Pro」

Wordアプリケーションに実装されるCopilot(写真提供:Microsoft)

 Microsoftは、ChatGPTなどの提供で知られるOpenAIとの提携をいち早く行ない、大規模言語モデル(LLM)や画像生成モデルなどのいわゆる生成AIと呼ばれる大規模AIモデルを利用したAIのサービスを、競合他社に先駆けていち早く投入してきている。

 このうちCopilot for Microsoft 365に関しては、一般法人/大企業向けのMicrosoft 365向けのアドオンとなっており、1ユーザーあたり月額30ドルで、一部の大企業やアーリーアクセスプログラムに参加している企業など向けに提供が開始されていた。

 しかし、こちらはEntra ID(かつてのAzure ADアカウント)でMicrosoft 365を利用している法人ユーザーだけが対象で、Microsoftアカウントで利用している個人向けのMicrosoft 365 Personal/Familyを契約している個人ユーザーは対象外になっていた。

 Copilot Proのサブスクリプションプランは、そうした個人向けのMicrosoft 365 Personal/Familyを利用している個人ユーザーに対して、Copilot for Microsoft 365で提供される生成AIの機能をWord、Excel(現時点ではプレビューで英語版のみ)、PowerPoint、Outlook、OneNoteなどのOfficeアプリケーションで利用できるようにする。月額料金は20ドル/1ユーザー(日本では3,200円)で、利用するにはMicrosoft 365 PersonalないしはMicrosoft 365 Familyのいずれかの個人向けMicrosoft 365の契約が別途必要になる。

Dall-E 3モデルを利用した高度な画像生成などが活用可能になる(写真提供:Microsoft)
Copilot GPT Builder(写真提供:Microsoft)

 また、Copilot Proを契約したユーザーは、Copilotの生成AIモデルとして、OpenAIのGPT-4 Turboが利用できる。それにより、より高機能な画像生成などの機能を利用できるほか、生成AIの機能をより高いパフォーマンスで利用できる。さらに、ローコードでCopilotをカスタマイズできる「Copilot GPT Builder」をまもなく利用することが可能になる。

CopilotのモバイルアプリがAndroid、iOSに対して提供される(写真提供:Microsoft)

 ただし、Copilot Proと個人向けMicrosoft 365の組み合わせでは、Copilot in Teams、Microsoft Graph グラウンディング、エンタープライズグレードのデータ保護の機能は利用できない。

 また、Microsoftは既に導入されていた「Copilot in Android」に加えて、iPhoneなどで利用できる「Copilot in iOS」を導入する。さらに今後のアップデートでMicrosoft 365のモバイルアプリでもCopilotが利用できるようになるなど、モバイルアプリでもCopilotを利用できるようにしていく。

Copilotの料金プランを整理

 今回の発表の結果、今後Copilotは3段階に整理される。1つは無償版のCopilotで、Copilot in Bing、Copilot in Windows、Copilot in Android、そして今回投入が発表されたCopilot in iOSなどのサービスや各OS向けに投入されるツールなどを通じて利用することが可能。

 このCopilotを利用するにはMicrosoftアカウントがあればよく、追加のサブスクリプション契約などは必要なく無償で利用できる。無償版Copilotでは、基本的なCopilotの機能(AIチャットボットによる自然言語対応)やWebグラウンディング、商用データ保護の3つの機能が利用できる。

 Copilot Proは、前述の通りMicrosoft 365 Personal/Microsoft 365 Familyの契約が別途必要で、GPT-4 TurboのAIモデルが可能になり、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNoteのOfficeアプリケーションから生成AI機能を活用できる。また、Copilotのカスタマイズ機能としてCopilot GPT Builderが利用可能。1ユーザーあたりの価格は月額20ドル。

 Copilot for Microsoft 365では、Entra IDが必要になり、一般法人向けのMicrosoft 365 Business Standard/Business Premiumなど、大企業向けのMicrosoft 365 E3/E5などのMicrosoft 365のサブスクリプションと組み合わせて利用できる。Copilot Proの機能に加えて、Copilot in Teams、Microsoft Graphグラウンディング、エンタープライズグレードのデータ保護など法人向けに必要となる機能が利用できる。また、カスタマイズ機能としてCopilot Studioが利用できる。1ユーザーあたりの価格は月額30ドルとなる。

【表】3段階のCopilot(Microsoftの発表より筆者作成)
対象ユーザー個人向け個人向け一般法人/大企業
対象IDMicrosoftアカウントMicrosoftアカウントEntra ID
プランCopilotCopilot ProCopilot for Microsoft 365
価格/1ユーザーあたり無償20ドル30ドル
基本機能
Webグラウンディング
商用データ保護
最新モデルアクセス
OfficeアプリのCopilot
Copilot in Teams
Microsoft Graph グラウンディング
エンタープライズグレードデータ保護
カスタマイズCopilot GPT BuilderCopilot Studio

 なお、Microsoftはこれまで大企業でかつ300ユーザー以上のユーザーにのみCopilot for Microsoft 365を提供してきたが、その制限を撤廃し、大企業向けのMicrosoft 365 E3/E5などを300ユーザーより少ないユーザー数で利用している個人事業主や中小企業がCopilot for Microsoft 365の契約をできるようにする。

 同時に、これまでは提供されてこなかった一般法人向けのプランを契約している中小企業(たとえばMicrosoft 365 Business Standard/Business Premiumなどを契約しているユーザー)にも、Microsoftのクラウドサービスを通じてCopilot for Microsoft 365の提供を開始する。

 また、これまで提供されてこなかった教育向けのプラン(Office 365 A3/A5など)にも、Copilot for Microsoft 365の一般提供の計画がアナウンスされた。ただし、どのような形で提供されるかは未定で、今後数カ月の間に決定し共有されるとMicrosoftは説明している。

 Microsoftによれば、Copilot for Microsoft 365は現時点で、英語(米国、イギリス、オーストラリア、カナダ、インド)、スペイン語(スペイン、メキシコ)、日本語、フランス語(フランス、カナダ)、ドイツ語、ポルトガル語(ブラジル)、イタリア語、簡体字中国語の各言語向けに提供されている。

 また、アラビア語、繁体字中国語、チェコ語、デンマーク語、フィン語、ヘブライ語、ハンガリー語、韓国語、ノルウェー語、ポーランド語、ポルトガル語(ポルトガル)、ロシア語、スウェーデン語、タイ語、トルコ語、ウクライナ語などに関しては2024年の前半に提供開始予定だと明らかにされている。