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「ストリートファイター6」での初代SFL王者はFAV gaming。来期は3チームが新参戦、6チームの2リーグ制に
2024年1月15日 16:33
1月13日、新宿住友ビル三角広場において、「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2023(以下SFL 2023)」の決勝戦が開催された。オフラインで行なわれ、会場には観客も動員されたほか、Zaikoによるリアルタイム有料配信も行なわれた。
グランドファイナルでは、11月まで行なわれたリーグ戦で1位となったFAV gamingに対して、12月に開催されたプレイオフを勝ち進んだDetonatioN FocusMeが挑む形となった。
FAV gamingが絶好調。ボンちゃんルークが止まらない!
グランドファイナルでも、リーグ戦の2nd Stage、プレイオフに引き続き、ホームアンドアウェイ方式が採用される。プレイオフを勝ち抜いたDetonatioN FocusMeがアウェイとして事前にオーダーを提出、それに対してホームのFAV gamingが対戦する選手を決めることができる。1巡が終わるとホームとアウェイが入れ替わり再度対戦を行なう。
1勝すると10ポイント獲得で大将戦は20ポイント。プレイオフではゴールポイントとして70ポイントが設定されていたが、グランドファイナルではこれが90ポイントとなっており、最短で3巡、最長で5巡まで順番が回る可能性がある。
注目ポイントの1つは、FAV gamingのエース、ボンちゃんのルークとDetonatioN FocusMeの最強助っ人、ふ~どのDee Jayを両チームがどのように攻略していくかだろう。両選手ともSFL 2023リーグ戦で絶好調だったため、ここをどう攻略するかが非常に重要な要素と言える。
そして答えはすぐに出る事となった。1巡目、DetonatioN FocusMeの大将にはふ~どDee Jayが待ち受ける。これを受けてFAV gaming側はボンちゃんルークが大将戦に挑む流れとなった。2巡目、3巡目も両チームとも大将は一切変化することなく、FAV gamingはボンちゃんルーク、DetonatioN FocusMeはふ~どDee Jayが常に大将のポジションに陣取っており、両チームの信頼度の高さが感じられた。
試合展開については、FAV gamingが王者の風格を見せつける流れとなった。リーグ中、ボンちゃんと並んで絶好調だったりゅうせいのJPが1巡目のホーム、2巡目のアウェイともに勝利してポイントを稼ぎ、さらにリーグ中はやや不調だったsakoの春麗も勝利するなど、2巡目の中堅戦までは負けなし全勝でポイントを稼ぎ、ここまで60-0と圧倒的な内容で試合を進めていく。
ここで待ったをかけたのがDetonatioN FocusMeの切り札とも言える最強助っ人ふ~どDee Jayだ。1巡目の大将戦ではボンちゃんルークがフルカウントフルラウンドの接戦を見事に制して3-2で勝利していたが、2巡目大将戦では、ふ~どDee Jayの読みがバッチリと決まって3-0で圧勝し、DetonatioN FocusMeが初のポイントをもぎ取る流れとなった。
DetonatioN FocusMeに逆転の兆しが見え始めたところで迎えた3巡目の先鋒戦。ここまで好調だったりゅうせいJPが激闘の末、竹内ジョンラシードに2-1で敗れ、いよいよ流れがDetonatioN FocusMeに向いたかに見えた次の中堅戦、試合前のコメントで「悪くなってきた流れを止める」と宣言したsakoの春麗がナウマンケンを相手に踏ん張りを見せて、2-0で見事に勝利して、悪い流れを見事に断ち切って見せた。
そして迎えた3巡目の大将戦。ここまで1勝1敗のボンちゃんルークとふ~どDee Jayの3度目のエース対決となったが、ここはボンちゃんルークが圧巻とも言える動きで、ふ~どDee Jayを圧倒。3-0で勝利を決めて、試合を決定づける形となった。
このボンちゃんの勝利により、FAV gamingが90-30の圧倒的大差で勝利し、SFL 2023優勝を勝ち取った。
2年前の雪辱を果たしたボンちゃん。休業復帰で気合い爆発のりゅうせい
試合終了直後のコメントにおいて、sakoは「めちゃめちゃうれしいです」とストレートに感情を示した。リーグ中不調だった点については、「それまでの取り組み方が間違っていたのかと心配だった。チームのみんなにも心配をかけたが、無事最後に結果が出せてよかった」と安堵の表情を見せた。
ときどは「今回はただ見てるだけでしたね。その分、できる限りサポート役には徹する事ができた」とコメント。2巡目の大将戦の中でボンちゃんに声を掛けた点について触れられると、「1試合目の決め手となったインパクトを使えと伝えました。ところがインパクト返しされてしまって……」とし、2巡目大将戦において、敗北の決め手となってしまったインパクト返しについて語り、ボンちゃんも「ときどに言われた通りにやったのに!」と笑いを交えて返した。
また、ときどはもう1つ「2年前にFAV gaming(当時のチーム名は「v6プラス FAV Rohto Z!」)が優勝した際に、ボンちゃんが不調だったため、自分の仕事だったのに大事な場面で役に立てなかったと悔しがっていたのが、今回2年越しに仕事ができて、当時の思いが実を結んだのがよかった」とボンちゃんの成果を讃えた。
りゅうせいは「自分くらいのポジションのプレーヤーが勝って結果を残さないといけないという思いがあった。今回キャラクター選びで最強と呼ばれるJPを選んだ以上、勝たねばならないというプレッシャーもあったが、それもモチベーションになった」とした。また2022年に休業していた点について「1年間リーグを見てるだけというのがすごく辛かった。しかし1年の休業がプロゲーマーとはどういうものか、という見直しにもつながったのでいい経験になった」とした。
ボンちゃんは「ストリートファイター6がリリースされて半年ちょっとで、それを楽しんでやれるというのはありがたいことだった。きつかった想いよりも楽しかった想いの方が強い。2年前は優勝はしたがチームに優勝させてもらったという感じが強かったが、今年は自分が優勝させたぞ、と言えるくらいの活躍ができたので、今回の結果についてはできすぎかな」とした。
また、国内優勝を決めたFAV gamingは、2月25日に行なわれる、他地域のリーグ優勝チームが集い、世界一を決める「STREET FIGHTER LEAGUE: WORLD CHAMPIONSHIP 2023」に参加する事が決定している。これについてsakoは、「日本代表になったからには世界一にならなければならないので、世界大会でも優勝して、日本最強と言えるように頑張りたい」と世界戦の抱負もコメントした。
配信終了後に行なわれた、記者向けの囲みインタビューでは、終始サポートに徹していたときどについての質問が出た。それについてときどは「板橋ザンギエフ選手の担当だったんですが、アウェイの際に出てこなかったので出番がありませんでした」と語った。また「sakoさん、りゅうせいが不調であれば代わりに出る考えもありましたが、2人とも好調でどんどん勝ってくれたので出番なしとなりました」とした。
アウェイでも出なかった理由について聞かれると「ボンちゃんが大将、りゅうせいが満遍なくいける状態だったので2人は出るとして、sakoさんか自分のどちらかがいこうと話していたのですが、sakoさんが勝ってくれたんで勝ち続ける限りは、とお願いしていたら好調だったので最後まで出る幕がありませんでした」とした。
大将を受け持ったエースのボンちゃんにDetonatioN FocusMeの全員が来る可能性があったと思うが、それに対する作戦はどうか、という質問にボンちゃんは「何があっても常に俺が大将でいくという作戦でいたので、誰が来てもいいように全員の対策を詰めていた。一応、板橋ザンギエフ選手が予選でザンギエフを使って勝利してたので、ザンギエフ対策もしていた」とし、誰がどのキャラできても万全の状態だったようだ。
そのため、2巡目でボンちゃんが大将戦を落とした際にも、メンバーたちは、次は動きを見直して対策できるだろうという信頼があったと語っていた。
ときどが観戦中のモニターをスマホで撮影していた件について質問されると、ときどは「直前の試合のリプレイをその場で見られないため、すぐに動きがチェックできるように録画していた」とした。アメフトの選手がやっていたのを見て、かっこいいと思ってやってみたそうだが、ボンちゃんは「最初は撮っておいた方がいいか聞かれた時に、別に大丈夫だと言っていたんですけど、負けた瞬間、ちょっと見せてとチェックしてすぐに反省できてそれが3巡目のリードにつながったという感じでした」とその効果について語った。
SFL 2024が7月開催決定。3チームが新たに参戦し、6チーム毎の2リーグ制を導入
SFL 2023の総括としては、2023年6月2日発売の新作「ストリートファイター6」に使用ゲームが変更になったことで、選手たちの新たなキャラクター選びが各チームの明暗をそのまま分けた印象だ。さらにはシーズン中にキャラクター変更を行なった選手がいるチームにおいては、その選手のフォローが結果に影響したとも言える。
FAV gamingにおいては、sakoとボンちゃんがかなり早い段階で自身のキャラクターを確立しており、遅れてときど、最後にりゅうせいがDee JayからJPにキャラクターを変更する流れとなったが、キャラクター変更後のりゅうせいはしばらく試合に出ず、仕上げる事に集中できた点が2nd Stage以降の好調を生んだと言える。
チームメンバー全員が一貫して1st Stageから同じキャラクターを使っていたチームもあるが、チーム内で選択したキャラクターのバランスが悪いと、2nd Stage以降のホームアンドアウェイ方式においては、アウェイ時に出にくくなってしまう面もある。こうしたバランスが最もよかったのがFAV gamingといえ、そのバランスの良さが今回の優勝につながったように感じた。
表彰式の後、カプコン代表取締役社長、社長執行役員、最高執行責任者(COO)の 辻本春弘氏からSFL 2024開催決定の発表が行なわれた。7月より開幕され、今期参戦した9チームはそのままに、来期は「Crazy Raccoon」、「FUKUSHIMA IBUSHIGIN」、「Yogibo REJECT」の3チームが新たに参戦すること、また、これら全12チームを6チームごと2リーグに分けて2リーグ制になることまでが発表された。
今回の発表はファンからするとかなり想像力を掻き立てられる内容だ。何しろ今回優勝のFAV gamingだが、ときどはREJECT所属の選手であるため、SFL 2024ではYogibo REJECTのメンバーとして出場する可能性が極めて高い。ほかにも今シーズンはCAGの助っ人として参加したどぐらだが、現在はCrazy Raccoon所属の選手であるため、こちらも自身のチームで参戦する可能性が極めて高いと言っていいだろう。
また、今シーズンはSaishunkan SOL 熊本と提携し、1st Stageにはササモ、2nd Stageとプレイオフにはかべを参加させていたFUKUSHIMA IBUSHIGINが単独参加を決めたことについてもファンにとってはうれしい一報と言えるだろう。なぜならサウジアラビアで開催されたゲーム大会「Gamers8: THE LAND OF HEROES」で優勝した翔がSFLに参戦する可能性が濃厚になったからだ。
ほかにもFUKUSHIMA IBUSHIGINと言えば、2年前のSFL 2021において、Saishunkan SOL 熊本でリーグ参加したYanaiも所属しており、チーム単独で4人のメンバーが参加できるのである。
そして、チームが増えることで、参加できる選手が増える点も注目ポイントだ。CPTの予選大会などを見ていると、Nobleやaiai、daikokuなど無所属ながらも活躍しているプレーヤーが多く見られるし、立川やかずのこ、大谷などBurning Core所属のメンバーや、ナリくん、きしり、キチパ、よっさん、ひかる、ひびきなど、チームとしての参戦はなくても、チームに所属して活動するプロ選手は多く、こうした選手たちの活躍の場が増えるという点で見ても興味深い。
どのチームにどの選手が参加するのか、また過去のSFLでも見られたようなトライアウトや、ドラフトのような仕掛けが用意されるのかなど、今後のSFLの動向からは目が離せない。
なお、2024年2月17日~26日にアメリカ、カリフォルニア州ハリウッドにてCAPCOM CUP Xが開催される予定だ。こちらは日本からは、ガチくん、カワノ、ふ~どの出場が決定している。7月からのSFL 2024も楽しみだが、直近2月のこれら大会からも目が離せない。
発売から半年が経過した「ストリートファイター6」だが、東京オートサロンでのイベントなどこれまで以上に幅広くイベントなどが開催されており、まだまだ盛り上がりを見せており、今後の更なる展開が楽しみだ。
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