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EU、罰金55億円のAI利用に関する規制法案に大筋合意。世界初

 ヨーロッパ連合(EU)は9日、リスクに応じてAIの利用などを規制する法案について大筋合意したと発表した。複数の報道機関の報道によると「AI規制法は世界初」という。

 JNNの報道によると、同法案はEU加盟国の閣僚理事会と立法機関のEU議会、執行機関のEU委員会が6日から大詰めの協議を行なってきたもの。同法案は加盟国とEU議会の最終承認を経たのちに成立する。JNNによると、適用開始は2026年ごろからと見込まれる。

 法案ではAIのリスクを4段階に分け、もっとも危険な分類で利用が禁止される「許容できないリスク」には、行政や企業が個人の信用度を評価するAI、子どもなど特定の人の弱みにつけこむAIが含まれる。また「高いリスク」として分類するものとして、教育機関への入学や企業の採用などで使われるAIが含まれる。これに関しては利用自体の禁止はないものの、偏った判断をしないように適切なデータによる学習、人間による監視などを求め、高度なサイバーセキュリティも要求する。

 そのほか、生成AIが作成した画像や文章などについて、AIによるものだと明示するなど透明性を義務づける。

 違反した企業には最大で3,500万ユーロ(日本円で約55億円)か、年間の売上高の7%、いずれか高い方を制裁金として課す。

 同法案について、ヨーロッパ委員会のフォンデアライエン委員長は「EUのAI規制法は世界で初めてのものだ。信頼できるAI開発のための唯一の法的枠組みで、人々と企業の安全と基本的権利を守るものである」とX(旧Twitter)上でコメントし、政治的合意を歓迎した。