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「MSX0」のクラファン第2弾開始!カードサイズや切手サイズ登場。MSX0 Cardを安く手に入れる裏技も?

 ホビーパソコンMSXの生みの親 西和彦氏が主導する次世代MSXプロジェクトの1つ「MSX0」のクラウドファンディング第2弾が2023年11月18日、大手クラウドファンディングサイト「Kibidango」でスタートした。支援額は1万4,800円からで、締め切りは2024年1月15日である。今回は4つのプロジェクトに分かれており、合計10のプランが用意されている。前回と異なり、それぞれのプロジェクトの目標金額に満たない場合、プロジェクトは実行されず、支援金は引き落とされない。

【M5Stack CEO ジミー氏と西和彦氏】
左がM5Stack CEOのジミー氏。右が西和彦氏。M5StackがMSX0のハードウェアを製造する

第2弾ではIoT向けに特化した製品が中心

 MSX0については、以前Game Watchで解説記事を執筆したので、詳しくはそちらを見ていただきたいが、簡単に言うとMSX2+互換のIoT向けプロダクトである。

 MSX0はすでに2023年1月15日から3月21日まで、大手クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」で最初のクラウドファンディングを実施しており、目標金額の5,999万8,000円を上回る7,439万5,541円を達成し、支援者へのリターン品の送付が行なわれた(通信モジュールが付属するプランとセンサーは11月中旬時点では未送付)。

 今回のクラウドファンディングのターゲットとなる製品は、第1弾のものとは全て異なっており、よりIoT用途に適したサイズの小さい製品が中心となる。今回のクラウドファンディングの内容については、10月16日に記者向けの発表会が開催されているが、その発表内容から少し変更された部分もある。

ポケコンの再来か? クレジットカードサイズの「MSX0 Card」

 今回のクラウドファンディングは、「A2」、「B2」、「C2」、「D2」という4つのプロジェクトから構成されており、それぞれいくつかのプランが用意されている(C2のみ1プラン)。すべてMSX0ファミリであり、共通のMSX0システムソフトが動作するが、そのベースとなるハードウェアが異なる。

 プロジェクトA2は、M5Stackの新製品「Cardputer」をベースにした「MSX0 Card」のプロジェクトだ。MSX0 Cardは、84×54×17mmというクレジットカードサイズの小型端末で、240×135ドット表示の1.14型液晶と56キーを備えている。MSX0 Cardの本体は、右上に装着されているStamp S3であり、こちらはプロジェクトD2のものと基本的には同じだ。

 ソフトウェアとしては、「MSX-BASIC」と「MSX-BASICコンパイラ」などが付属するほか、今回のクラウドファンディングで唯一、表計算ソフトの「MSX-PLAN」とワープロソフトの「日本語MSX-WRITE」も付属する。「MSX-PLAN」と「日本語MSX-WRITE」については、クラウドファンディング第1弾でも提供されていない。

 なお、今回のクラウドファンディングの説明では、クラウドファンディング第1弾に付属していた「MSX-C」や「MSX-DOS」、「MSX-DOS2」などに関する記載がないが、基本的に第1弾に付属していたソフトや開発環境、リモートコントロールソフトなどは第2弾でも全て付属するようだ。

 見た目は昔のポケコンを彷彿させるが、サイズはもっと小さい。まさに手のひらコンピュータであり、筆者のような小さいコンピュータ好きな人にはたまらない製品であろう。

 プロジェクトA2では、「A2-1」、「A2-2」、「A2-3」、「A2-4」の4つのプランが用意されている。それぞれの構成と支援金額は以下の通りだ。

  • A2-1:MSX0 Card、1万9,800円
  • A2-2:MSX0 Card+M5 LoRaモジュール+MSX0モデムカード(LoRa)+強化バッテリー、3万9,800円
  • A2-3:MSX0 Card+MSX0モデムカード(LTE)+強化バッテリー、3万4,800円
  • A2-4: MSX0 Card+M5 LoRaモジュール+MSX0モデムカード(LoRa)+MSX0モデムカード(LTE)+強化バッテリー、4万9,800円

 A2-2とA2-4に含まれているM5 LoRaモジュールとMSX0モデムカード(LoRa)は、どちらも920MHz帯を利用する無線通信規格LoRaに対応しており、MSX0モデムカードはMSX0 Cardの底面にドッキングして利用できる。

 M5 LoRaモジュールは、MSX0 StackをはじめとするM5Stackのほかの製品に接続して利用でき、MSX0モデムカード(LoRa)と合体させたMSX0 Cardとの間で通信が可能になる。

 A2-3とA2-4に含まれているMSX0モデムカード(LTE)は、携帯電話網を利用してLTE通信が可能だ。なお、MSX0モデムカード(LTE)を利用するには、SIMカードが必要になるが、A2-3とA2-4については、プリペイドSIMカードも追加で付属することが新たに発表されており、届いたらすぐにLTE通信を利用できる。

 プロジェクトB2の支援金が目標金額に到達した場合、リターン品は2024年10月に送付される予定となっている。

【A2の各プランに含まれる製品】
「A2-1」に含まれるMSX0 Card本体
「A2-2」に含まれるMSX0 Card本体とM5 LoRaモジュール、MSX0モデムカード(LoRa)
「A2-3」に含まれるMSX0 Card本体とMSX0モデムカード(LTE)
「A2-4」に含まれるMSX0 Card本体とM5 LoRaモジュール、MSX0モデムカード(LoRa)、MSX0モデムカード(LTE)

MSX0を腕時計にするMSX0 Watch。カメラ搭載のMSX0 Stack CoreS3も

 プロジェクトB2は、「MSX0 Watch 3兄妹セット」と呼ばれており、MSX0を腕時計として利用するための時計ベルトが付属する。「B2-1」と「B2-2」の2つのプランが用意されており、それぞれの構成と支援金額は以下の通りだ。

  • B2-1:MSX0 Stack CoreS3(カメラ付き)Watchセット+MSX0 StickC Plus2(スピーカー付)Watchセット+MSX0 AtomS3 Watchセット、3万9,800円
  • B2-2:MSX0 Stack用Watchベルト+MSX0 StickC Plus2(スピーカー付)Watchセット+MSX0 AtomS3 Watchセット、1万9,800円

 B2-1は、MSX0 Stack CoreS3とより小型のMSX0 StrickC Plus2、MSX0 AtomS3の3種類のMSX0本体とそれぞれに対応した時計ベルトのセットだ。

 ここで注目したいのはMSX0 Stack CoreS3だ。最初のクラウドファンディングのMSX0 Stackは、M5Stack Core2をベースにした製品だが、こちらは新世代のM5Stack CoreS3がベースとなっている。CoreS3はCPUが新世代になり、処理能力が最大2倍に向上したほか、30万画素カメラも搭載されている。

 現時点で、M5Stack CoreS3ベースのMSX0を入手したいのなら、B2-1を選ぶしかない。カメラの画像もMSX-BASICで扱えるようにするとのことで、カメラ画像を活用するアプリを作ってみたいという人におすすめだ。

 B2-2は、MSX0 Stack本体は付属せず、時計ベルトだけが付属するので、最初のクラウドファンディングでMSX0 Stackを入手した人向けのプランである。なお、今回のクラウドファンディングで登場したMSX0ファミリのうち、MSX0 Stack CoreS3、MSX0 AtomS3、MAX0 StampS3の3モデルはCPUが最新のS3ベースになっているのだが、MSX0 StrickC Plus2のみ前世代のCore2ベースとなる。

 また、どちらのプランでも、ATOMの着せ替え用として半透明の8色の外装ケースが付属する。プロジェクトB2の支援金が目標金額に到達した場合、リターン品は2024年8月に送付される予定となっている。

【B2の各プランに含まれる製品】
「B2-1」に含まれるMSX0 Stack CoreS3(カメラ付き)Watchセット+MSX0 StickC Plus2(スピーカー付)Watchセット+MSX0 AtomS3 Watchセット
「B2-2」では、「B2-1」のMSX0 Stack CoreS3 Watchセットの代わりに、このMSX0 Stack用Watchベルトが含まれる
ATOMの着せ替え用として半透明の8色の外装ケースが付属

超小型端末ATOM S3ベースのMSX0 Atom。マイクロゲーム機も

 プロジェクトC2は、「MSX0 Atom 3兄弟セット」と呼ばれており、プランは「C2」のみとなっている。

  • C2:MSX0 Atom Ring+MSX0 Atom Boy+MSX0 Atom Netsuke、2万9,800円

 C2には、MSX0 Atom RingとMSX0 Atom Boy、MSX0 Atom Netsukeと呼ばれる、3種類の形状のMSX0 Atomが含まれている。MSX0 Atom Ringは、指輪型コンピュータで、指にはめて利用できる。リングの大きさは大中小の3種類付属するので、指の太い人でも細い人でも利用できる。

 MSX0 Atom Boyは、マイクロゲーム機という位置付けで、MSX0 Atom Netsukeにはストラップが付いており、持ち運びに便利なほか、スマートフォンなどにストラップを結びつけることもできる。こちらにも、ATOMの着せ替え用の半透明の8色の外装ケースが付属する。

 プロジェクトC2の支援金が目標金額に到達した場合、リターン品は2024年8月に送付される予定だ。

【C2に含まれる製品】
「C2」に含まれるMSX0 Atom Boy、MSX0 Atom Ring、MSX0 Atom Netsuke
ATOMの着せ替え用として半透明の8色の外装ケースが付属

切手サイズのIoT端末「MSX0 Stamp」

 プロジェクトD2は、切手サイズのMSX0 Stampを中心にしたプロジェクトで、もっともIoT端末としての性格が濃く出ているプロジェクトといえる。

 MSX0 Stampは、ピンの間隔が1.17mmになっているM5Stack Stamp S3 PIN1.27をベースにしているが、通常のM5Stack Stamp S3と異なり、4MBのフラッシュメモリと2MBのPSRAM(疑似RAM)を搭載した特別仕様品である(MSX0 Cardに使われているStamp S3も同じ)。MSX0 Stampをバッテリ内蔵のMSX0 Capsuleに装着することで、バッテリ駆動が可能になる。プロジェクトD2では、「D2-1」、「D2-2」、「D2-3」の3つのプランが用意されている。それぞれの構成と支援金額は以下の通りだ。

  • D2-1:MSX0 Capsule+MSX0 StampS3、1万4,800円
  • D2-2:MSX0 Capsule+MSX0 StampS3×5、3万2,500円
  • D2-3:MSX0 Capsule+MSX0 StampS3×10、4万9,800円

 基本的に付属するMSX0 StampS3の数が異なっており、数が多いほど1つあたりの値段は安くなっている。

 なお、下の写真ではMSX0 StampS3の色がオレンジ色となっているが、リターン品は透明のMSXブルーとなる。

 また、耳寄りな情報として、D2のリターン品のMSX0 StampS3は、基板の裏側にCardputerと接続するフレキシブルケーブル用のコネクタが実装されており、単品のCardputerを購入して、StampS3をMSX0 StampS3に交換すれば、MSX0 Card相当品を安く実現できるという耳寄りな話を西和彦氏からお聞きした(ただし、MSX-PLANやMSX-日本語WRITEは含まれない)。友人と共同でD2-2やD2-3の支援を行ない、MSX0 StampS3を分けて、MSX0 Card相当品にするのもありだろう(ボディカラーは標準のグレーホワイトとなるが)。

 プロジェクトD2の支援金が目標金額に到達した場合、リターン品は2024年7月に送付される予定だ。

【D2に含まれる製品】
「D2-1」に含まれるMSX0 CapsuleとMSX0 StampS3
「D2-1」に含まれるMSX0 CapsuleとMSX0 StampS3×5
「D2-1」に含まれるMSX0 CapsuleとMSX0 StampS3×10
左がMSX0 StampS3、右が通常のM5Stack StampS3。MSX0 StampS3は、ピンのピッチが半分の1.17mmになり、フレキシブルケーブル用コネクタも実装されている
CardputerのStamp3を取り外して、代わりにMSX0 StampS3を装着すれば、MSX0 Card相当品ができる

 MSX0クラウドファンディング第2弾はプロジェクトが4つになり、プランの数も多いため、どれを選べばいいか悩ましいところだ。各プロジェクトで目標金額(正確には各デバイスが合計1,000台)に到達しないとプロジェクトは実行されず、リターン品も受け取れない(もちろん、支援金額も引き落とされない)ので、全てのプロジェクトが目標金額に到達することを期待している。