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世界最速級のデータベース管理システム「劔」。NECとノーチラス・テクノロジーズが開発

劔(Tsurugi)

 日本電気株式会社(NEC)株式会社ノーチラス・テクノロジーズは10日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」において、世界最速クラスの性能を持つリレーショナルデータベース管理システム「劔(Tsurugi)」を開発したと発表した。

 これまでのデータベース管理システムでは、旧来のハードウェア環境を前提に設計されており、高性能なハードウェア環境で大量のデータを効率的かつ高速に処理できない課題があった。また、現行のデータベース管理システムは、主に海外企業が提供しており、日本の情報産業の競争力強化には国産のシステムの普及が重要とされている。

 劔は、メニーコアや大容量メモリといった、次世代のデータベースに用いられるハードウェア環境に対応し、ハードウェアの性能が向上するほど性能が高まる特性を持つ国産のデータベース管理システム。処理性能は、32以上のコア数を有するハードウェアにおいて世界最速クラスで、456万TPSと219ns(ナノ秒)の応答遅延を達成している。

劔のスループット性能について
劔のベンチマークテストの検証結果

 劔はデータベースの分散化を前提に設計されているため、従来のデータベースとは異なり、バッチ処理中でもデータの編集や新規データの追加が可能。たとえば、カメラで画像データを取り込みながらリアルタイムで解析を行なったり、ペタバイト級データの高速処理をしたりなど、複雑なバッチ処理とオンライン処理を高速かつ同時に実行できるという。

 また、同システムは以下の主要な4つのコンポーネントから構成されており、従来のリレーショナルデータベースと同様のSQL実行インターフェイス、または目的別に最適化されたインターフェイスを選択できる設計となっている。

  • 内部サービスのライフサイクル管理を行なうアプリケーション基盤「Tateyama」
  • SQLから分散処理用の実行計画を生成するSQL実行エンジン「Mizugaki」
  • 一貫性を担保するための並行性制御を高速に行なうトランザクションエンジン「Shirakami」
  • 非同期での先行ログ書き込みを並列で行なうログデータストア「Limestone」
劔の基本構成図

 なお、同システムはコミュニティサイトにてアーリーアクセス版を公開しており、9月中旬にオープンソース版の公開が予定されている。