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ヒトは複雑な特徴を持つ場所を無意識に見る傾向。電通大調べ

各画像特徴量に対する注視誘引度の時間変化。層は画像特徴量に対応する

 電気通信大学(電通大)は3日、ヒトは複雑な特徴を持つ場所をより速く、より高頻度に見る傾向にあることを初めて実験的に発見したと発表した。

 同大学の赤松和昌研究支援員、西野智博氏、宮脇陽一教授らの研究グループが発表したもの。従来、視線予測のためのさまざまな計算プログラムなど、視線を予測することが主目的となっている研究が多く、どのような種類の特徴が優先して見られやすいのかなどは分かっていなかったという。

 今回の研究では、AI技術のひとつである深層ニューラルネットワークモデルを用いて、自然なシーン画像のどこに、どの程度の強さで、どのような種類の特徴量が分布しているのかを定量化。次に、その画像を観察した際のヒトの視線を計測することで、複雑な画像特徴量は単純な画像特徴量と比べてより速くより高頻度に視線を惹きつけることを発見したという。また、特定の物体の種類ではなく複雑な画像特徴量が注視されやすいことから、個人の興味関心ではなく反射的・無意識的に視線を向けている可能性が示唆されているとする。

 同研究グループは今回の研究成果について、道路標識のデザイン、使いやすい見た目のユーザーインターフェイス、効果的な広告の作成に役立てられる可能性を示唆した。基礎的な観点からは、複雑な画像特徴量を注視しやすいという現象がヒトの脳内のどこでどのように生じているのかを調べることが重要としている。