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AMD、薄型ゲーミングノート向け「Ryzen 7040HS」登場。AIプロセッサ「XDNA」の詳細も

Ryzen 7040HSシリーズ

 米AMDは14日(現地時間)、ゲーミングノートPC向けの高性能CPU「Ryzen 7040HS」シリーズを発表した。

 開発コードネームPhoenixで知られる、Zen 4アーキテクチャのCPUと、RDNA 3アーキテクチャのGPUを組み合わせた4nmプロセス製造のプロセッサ。5月には、TDPが15~30W程度の薄型軽量ノート向けとなる「7040U」シリーズが投入されたのだが、7040HSはTDPが35~54Wをターゲットにしている。

 Zen 4アーキテクチャのCPUでは分岐予測の強化やOpキャッシュの大容量化、命令リタイアキューや整数/浮動小数点レジスタファイルの大容量化、AVX-512のサポート、ロードストアの強化などにより、Zen 3アーキテクチャよりIPCが13%向上している。

 AMDによれば、Ryzen 9 7940HSは競合のCore i9-13900H搭載モデルより薄型で高性能を実現できるとしたほか、より小さく薄いフォームファクタで、同等のGPUを搭載したとしても高い性能を実現できるとしている。

Ryzen 7040HSの主な特徴

 内蔵GPUはRDNA 3となっており、上位のRadeon 780M(Ryzen 9 7940HSに搭載)は12コア/最大2.8GHz駆動、中位のRadeon 760M(Ryzen 5 7640HSに搭載)は8コア/最大2.6GHzとなった。DDR5メモリによる高速化も実現している。このほか、AV1エンコード/デコードちった新メディアエンジン、レイトレーシングの強化も図られた。

Ryzen 7040HXとの差別
Zen4アーキテクチャのCPU
競合とのゲーミング性能比較
GeForce RTX 4070 Laptop搭載時の性能比較
Apple M2 Proと比較してもアプリケーション性能が高い
RDNA 3アーキテクチャのGPUを内蔵
内蔵GPUの性能
最大9時間の連続ビデオ再生を実現

AIエンジン「XDNA AI Engine」の詳細が明らかに

 なお、今回の事前説明会で、Ryzen 7040シリーズにおけるAIエンジンの詳細についても明らかにされ、新たに「XDNA AI Engine」という名前が付与された。XDNAでは、各AIエンジンにローカルメモリを設けている。このメモリはさほど大容量ではないが、キャッシュミスを発生させない広帯域幅なメモリとなっている。これを独立したインターコネクトで相互接続することで、AI処理に特化した構造を実現している。

 AIに使われるニューラルネットワーク処理では、ニューロン同士を複数の層にわけて繋いでいるわけだが、XDNAでは各層のニューロンの数が変わっても対応できるアダプティブインターコネクトを採用し、高性能/高効率/カスタマイズ可能なAIワークロードを実現するとしている。

 対応できるネットワークとしてはCNN、RNN、LSTMがあり、Int8/16/13およびBFloat16データタイプに対応。また、ファイングレインクロックゲーティングによる電力効率の向上、4つの同時空間ストリームのサポート、最大10TOPSの処理能力が謳われている。

従来のアルゴリズムとニューラルネットワークの違い
AIエンジンをWindowsラップトップにもたらす
従来のマルチコアプロセッサと、XDNA AI Engineの違い
ディープラーニングにおける各層のニューロンに合わせて伸縮可能なアーキテクチャ
XDNAアーキテクチャの性能

 Ryzen AIを一番最初にサポートするのがWindows Studioの機能で、Webカメラの入力画像に対し、人物の自動フレーミング、人物以外の背景ぼかし、アイコンタクトなどが利用できる。

 なお、CPUローンチ時は早期開発者アクセス向けにXDNAの一部機能へアクセスできる「Unified AI Stack」を提供。2023年第4四半期に、OEMや一般開発者、ISVベンダーにXDNAのすべての機能が利用できるよう解放するとしている。なお、対応モデルはONNX、TensorFlowおよびPyTorch。

 Ryzen 7040HSシリーズを搭載したノートは、Razerが同時発表を行なう「Blade 14」を皮切りに、ASUSの「ROG Zephyrus G14」、「ROG Flow X13」、「TUF 16 Advantage Edition」、HPの「Victus 16.1」、「OMEN 16.1」、Lenovoの「Legion Slim」、「LOQ 15"」などが予定されている。

AI機能を使わなかった場合のカメラ
AI機能を使えばアイコンタクトや背景ぼかしなどが利用できる
Windows標準機能でサポート
AIアプリの増加
サポートするフレームワーク
Ryzen AIの性能やセキュリティ機能など
Razer Blade 14では開封時からWindows Studioが利用
Ryzen AIの標準搭載
Ryzen 7040HSを搭載するノートPC
Ryzen 7040HSの仕様

Ryzen 7040HS搭載ノート第1弾のRazer Blade 14

薄型筐体のRazer Blade 14

 このうち、Razer Blade 14は310.7×228×17.99mm/約1.84kgの筐体に、Ryzen 9 7940HSを搭載している。米国では14日より予約し、出荷は20日、価格は2,399.99ドルより。0.05mmの超薄型フィンの採用、表面積59%をカバーするベイパーチャンバー採用の大型ヒートシンクで冷却性を高め、薄型軽量化を実現したという。

従来との性能比較

 ディスプレイは2,560×1,600ドット表示/240Hz対応の14型で、3msの高速応答、500cd/平方mの高輝度が謳われている。また、Blade 14シリーズとしては初めてDDR5-5600MHz対応のデュアルチャネルメモリスロットを採用し、容量を最大64GBまで拡張できるようになった。

 このほか、指紋防止コーティングを施した筐体、アルマイト処理を施したアルミ筐体、キーごとにカスタマイズ可能なRGBライティング付きキーボード、従来より50%大型化したタッチパッド、THX Spatial Audio実現可能な音声出力などが特徴。

 GPUとメモリ、本体色の違いで3モデルが用意されており、最下位モデルはメモリ16GB/GeForce RTX 4060/ブラックで2,399.99ドル、中位モデルはメモリ16GB/GeForce RTX 4070/ブラックで2,699.99ドル、上位モデルは32GB/GeForce RTX 4070/マーキュリーで2,799.99ドル。

 そのほかの仕様は共通で、CPUはRyzen 9 7940HS、SSDは1TB PCIe 4.0対応SSD(最大4TBまで拡張可能)、バッテリ駆動時間は最大10時間。なお、このモデルはRyzen AIが利用可能。またGeForce RTX 4070の最大TGPは140Wに設定されている。

大型ベイパーチャンバーの採用
搭載されるディスプレイは240Hz/QHD+
キーボードやスピーカーなどの特徴
そのほかの特徴
価格は2,399.99ドルより