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サードウェーブが法人向けに本腰。GPUが必要な中小企業を支援
2023年4月19日 17:02
株式会社サードウェーブは19日、ドスパラプラスブランドで法人向けの高性能GPU搭載ワークステーションなど10製品を一挙投入。これに合わせて、都内で記者発表会を開催した。
冒頭では、同社の代表取締役社長 兼 最高執行責任者である尾崎健介氏が挨拶。「昨今、AIがブームとなっているが、その中で必要になってくるのがGPUである。今後はサードウェーブでは法人向けの「ドスパラプラス」ブランドを通じて、GPUを搭載したサーバーやワークステーションを展開して広げていきたいと考えている。
そのため、2月より(元インテルの)井田晶也氏を取締役 兼 上席執行役員副社長として迎え、マーケティングと製品開発にさらに注力する新体制で法人向けにフォーカスしていく」と意気込みを語った。
続いて壇上に上がった井田氏は「ChatGPTが4.0になったことでAIが爆発的な進化を遂げており、LLM(大規模言語モデル)がより身近なもの、つまりAIの民主化が始まった。今後はAIの開発や検証に際してのデバイスがますます重要になってくる。そのため、今回は高性能CPUとGPUを搭載したワークステーションを中心とした発表を行なった。また、NVIDIAとのパートナーシップを結ぶことで、法人向けラインナップの充実を図り、このニーズに応えられる体制づくりをしていきたい」と述べた。
今回サードウェーブがNVIDIAと結んだパートナーシップは「NVIDIA Partner Network」と呼ばれる、マーケティング面での協業。エヌビディア合同会社 プロフェッショナルビジュアライゼーション ビジネスデベロップメントマネージャーの高橋想氏は、「今回のパートナーシップではまずAmpereアーキテクチャのGPUが中心で、エントリーモデルから上位モデルまでを展開するが、Ada Lovelace世代も今後提供していく」などと語った。
用途に合わせた4つのシリーズ
続いて製品紹介に移ったが、各製品の詳細については別記事を参照されたい。ここでは、各製品がどのようなユーザーをターゲットにして開発されたのかについて、簡単に紹介したい。
THIRDWAVE Pro WORKSTATION X4620/X2614
「THIRDWAVE Pro WORKSTATION X4620」および「同X2614」の2機種は今回発表の核にもなっているが、厳選部材と検証による安定稼働の「高信頼性」、幅広いカスタマイズ性によるローエンドからハイエンドまで応えられる「オールレンジ」、複数GPUを搭載できる「プロフェッショナル」の3つを挙げた。
このため、業務効率化に必須な高パフォーマンス作業、4K/8K映像の制作や3D CAD、ゲーム制作、AIや解析/演算業務に向くとしている。なお、この2モデルは3年の翌営業日対応のオンサイト保証「ブロンズ」が標準で付属。また、当日営業日/4時間駆けつけ目標の「シルバー」や、24時間/365日対応可能な「ゴールド」といった保証プランも、3年または5年契約で用意している。
THIRDWAVE Pro Slim/Slim Ex
「THIRDWAVE Pro Slim」と「同Slim Ex」は、CAD、初歩的なデジタルコンテンツ製作、医療画像表示、PLMシステム、映像編集に向くモデル。実は、既に既存製品があったのだが、搭載GPUはより高性能なものであり、ミドルレンジ向けではなかった。また、ケースも大型で、よりスリムな筐体がほしいというニーズがあったという。
下位のSlimは、たとえば10bitカラー(10億色表示)が求められる画像/動画編集、マルチモニターが必要な監視システムやウォールディスプレイ、2Dもしくは3D簡易CADデータの作成に向く。
一方上位のSlim Exは、CUDAコアの演算機能をベースとした高度なシェーディングを利用するCG製作やDMU、3D表現を主軸とした本格CADに向くほか、Photoshopのニューラルフィルタを高速化できるRTX A2000が選択可能であるとする。
THIRDWAVE Pro HG
「THIRDWAVE Pro HG」は1.92Lの容積と約1.35kgの軽量性が特徴の製品。実は同社は過去にも同じサイズの製品を展開していたのだが、一時期製品ラインナップが途絶えたという。しかし法人からの要望で復活した形となる。
同ベアボーンを採用する製品は他社にもあるが、THIRDWAVE Proならではの特徴として、Noctuaの「NH-L9i-17xx」を採用することによる静音性と高信頼性を挙げた。また、最大4画面出力に対応できる作業効率性、Wi-Fi 6E/Bluetooth 5.2の標準搭載も特徴となっている。
発表会の最後を締めくくった同社 法人事業統括本部 上席執行役員の高橋良介氏は「ドスパラと言えば個人向けのイメージが強いが、実際のPC市場は法人が7割であり、その中でドスパラのシェアはまだ少ない。逆に言えば伸びしろがあるということでもあり、今後注力していきたい」と語った。
一方で、GPUへのニーズが特に高い大規模の企業向けには、専属のチームを介して提供をしているのだが、中堅/中小企業における、いわゆる“一人IT部門”にも今後寄り添っていきたいと考えている。今回の製品を皮切りに、そうした企業にも製品やソリューションを提供していきたい」と述べた。